真水稔生の『ソフビ大好き!』


第229回 「負けてたまるか」  2023.2

・・・寒いっ!

寒すぎる! めちゃくちゃ寒い!
どこが地球温暖化やねん! 絶対、ウソやろ、そんなもん!
地面、凍っとるがな!


・・・スミマセン。いきなり失礼いたしました。

けど、
これまでにも何度か述べているとおり、
僕は冬が大の苦手ですので、
こんなふうにブチギレて(笑)、せめて気力だけでも萎えさせないようにしていないと、
この身を切るような寒さに、
体の循環機能や神経機能を麻痺させられ、命を奪われる気がするのでね。
・・・いやいや、大袈裟に言ってるのではなく、
ホント、毎年、冬になると、“死” を意識してしまう僕なのです。

今朝も、
出かけようとしたら、
駐車場にとめてある車が
トドギラーにやられたみたいな状態になってて、

 まさに、死を呼ぶ季節だ・・・、

って痛感しましたから。


・・・え? 何を言っているのか解らない?

トドギラーですよ、トドギラー。
『仮面ライダー』に出てきた怪人の・・・。
あいつ、
口から “冷凍シュート” っていう吹雪みたいな冷気を吐いて、人や物を氷漬けにするでしょ?
僕の車があれを浴びせられたような状態になってたンです。
んでもって、
そのトドギラーが登場した回のサブタイトルが「死を呼ぶ氷魔人トドギラー」だったので、

 やっぱ、寒いと死を意識するのは当然か・・・、

って改めて納得した、というわけです。

・・・え? 車に霜が降りてただけだろ、って?

もぉ~、誰ですか、そんな夢の無い事を言うのは・・・。
そんな冷めた心では、
夢見て楽しむ事が出来ないから、生きてたって、もう死んでるも同然ですよ(笑)。


・・・そうそう、
“仮面ライダー” で夢の無い事を言う、
といえば、
ちょうどそのトドギラーで思い出すのが、
大学生の時、4,5人の友人たちと学食で雑談してた時の事です。

きっかけは何だったか憶えていませんが、

 『仮面ライダー』、懐かしいな・・・、

って話になって、
蜘蛛男が怖かった・・・、だの、
蜂女が好きだった・・・、だの、と
ショッカー怪人の思い出で楽しく盛り上がっていた際に、
僕と僕の隣にいた友人の2人が同時に、

 「トドギラーってさぁ・・・」

って言ったので、
思わずみんなで笑ってしまったのです。

いくらライダー世代とは言え、
蜘蛛男とか蜂女とかみたいにすぐに頭に浮かぶ怪人ではない “トドギラー” なんて名前が
同時に2人の口から出る、などという奇跡(笑)は、
なかなか起きないと思うのですが、
ちょうど今ぐらいの季節で寒かったし、雪がちらついている景色が窓から見えてたから、
思い出したンですよね、
雪を降らしながら現れる怪人トドギラーを・・・。

・・・で、その、

 トドギラーってさぁ・・・、

の後に続く言葉ですが、
僕がその時言いたかったのは、

 トドの怪人なのに牙があるの、おかしいよねぇ。
 あれ、スタッフの人が、トドとセイウチを間違えてるンじゃない?

みたいな事だったのですが、
隣の友人は違ってて、

 「口から出す冷凍光線(前述の “冷凍シュート” の事)、
  あれ、零下300℃、って言っとったけど、
  そんな温度、無いのにな・・・」

って言ったンです。

まぁ、絶対零度が零下273.15℃ですから、
言いたい事は解かるのですが、
その言い方が、
昔懐かしい子供番組のツッコミどころを愛して楽しむ、というのではなく、
明らかに小馬鹿にしたような感じだったので、
僕は、内心、

 夢の無い事を言うなよ・・・。
 シラけるなぁ、もぉ~。
 なんてつまらないヤツなンだ、こいつ・・・。

って思って、ちょっとイラッとしたンですよね。
しかも、
僕とその隣の友人以外の友人たちは、
トドギラー、って怪人をなんとなくは憶えてはいても、
そんな、口から吐く冷気が何℃だったか、なんて細かい事までは記憶してなかったので、

 「は? 何、それ・・・。
    そんなマニアックな事、知らんて~」

って急に我に返って、
本当にシラけてしまい、話がそこで終ってしまったンです。

もっとショッカー怪人の話、したかったのに・・・(恨)。

まぁ、それはそれとして(笑)、

 人や物を一瞬にして氷漬けにする、零下300℃の “冷凍シュート” ・・・、

いいじゃないですかねぇ? 全然・・・。
それくらい凄い、っていうオーバーな表現、
日本酒の盛りこぼしみたいなもので、サービスですよ、サービス。

絶対零度、と言われるより、
零下300℃、って言われた方が子供は解りやすく迫力を感じるし、
その怪人の “強敵感” も増して、テレビの前で胸がときめいたはずです。
それを、
大人になってちょっと理科の知識を得たからといって冷ややかに指摘して愚弄する、なんて、
実にナンセンスな事だと思うのです。


・・・とはいえ、
僕の言おうとした、

 トドの怪人なのに牙があるの、おかしいよねぇ、

ってのも、
夢が無い、っちゃあ、夢が無い話なンですけどね(苦笑)。

べつにいいですもんね、
モチーフとなった生き物に無い物をその怪人が具えていても。
牙なんて、あった方が断然カッコいいンだし・・・。


人は皆、大人になると、子供の頃に見てた夢の面白さを忘れてしまうンですよね。
それでは人生が退屈になるばかりですから、
僕はそこを意識して、
ずっと子供の頃の夢見る気持ちを忘れないために、

 子供の頃に遊んでいたソフビ怪獣人形を蒐集して、
 それを大切に愛しながら生きていこう・・・、

と、決めたのでした、そういえば。
大学を出た後、社会人2年目の時ですから、
今から、もう、35年も前の事です。

・・・あぁ、なんか、
いろいろ思い出して胸がジーンとしてきた。

冬に “死” を意識してしまう僕ゆえ、
脳のどこかの部分が、瞬時にそれを阻止しようと働き、
いちいち “仮面ライダー” やソフビの事を思い出させてくれて、

 夢見る人生・楽しい人生、

の素晴らしさを再認識して元気が湧いてくる仕組みに、体がなっているのかもしれません。
そんな気がします。


・・・ってなわけで、今回は、
トドギラーのソフビを、紹介させていただきましょう。

 



まずは、
スタンダードサイズの人形から・・・。

バンダイ製、全長約27センチ。
番組放映時(昭和46~48年)の商品です。






牙が頭部パーツと一体成形なのが残念・・・、って思う人も
いるかもしれませんが、
昭和のソフビにはよくある事ですし、
それで実際に遊んだで育った世代の僕としては、
特に気になりません。
そもそもソフビ人形というものは、
そこに子供が空想を足して遊ぶオモチャですので、
これでいい、とさえ思います(擁護がエグい?(笑))。
  実物のトドギラーの頭部や肩には、
何やら白い塊(おそらく雪)が乗っているのですが、
なんだか、こってりしていて、
見ようによっては、
雪でなく、フォンダン(砂糖衣)に見えなくもないので、
それを白でなく銀色で、しかもスプレー塗装で表現してある分、
人形の方が、
凍結している雰囲気がいい感じで出てるし、
その銀色を、牙の部分にも吹いてしまっているおかげで、
今、まさに、
零下300℃の “冷凍シュート” を口から吐いてるようにも見えて、
迫力が感じられます。
           
 
ミニサイズはポピーから、
こちらも番組放映当時に発売されていました。
全長約13センチ。
第169回「忘れじのソフビ通販」の中でも
紹介してますが、
パッと見、同じ人形に見えるこの2体、
実は足の裏に違いがあります。

向かって右側の人形の足の裏には、
なんと、“ハエ男” って彫られているンですよね。


これまで、
第68回「心は “せいたかさん”」をはじめ、
いろんな回で述べてますが、
ショッカー怪人のミニソフビは、
駄菓子屋などでも売られていた低価格な商品、
つまり “駄玩具” であり、
更には、
バカ売れしたヒット商品でもあったため、
おそらく、
次から次へと生産され、
ろくなチェックもされないまま
出荷されていったであろうと思われるので、
一つの下半身の型を
いろんな怪人で使いまわしていたり、
上半身とは違う怪人の下半身が
くっつけてあったりするンですよね。
杜撰な商品管理、っちゃあ、そうなンですけど(苦笑)、
当時の『仮面ライダー』人気の白熱ぶりを物語るものですし、
コレクターとしては、
それだからこそ集め甲斐があって楽しいゆえ、
これは、アンティークソフビのたまらない魅力の一つでもあるのです。


さてさて、今回は、
あまりに寒い毎日と、車に霜が降りてた事から、
零下300℃の “冷凍シュート” を放つ怪人・トドギラーを思い出したわけですが、
そういえば、
劇中、トドギラーが、

 「仮面ライダーをこうしてやる!」

って言って、
兎を “冷凍シュート” で凍らせた後、叩き潰して粉々にするシーンがありましたよね。

・・・って事は、
前回(1月)の第228回「安堵 ~幸せの白い子兎~」に続いて
今回(2月)も兎がらみ(笑)。

いやぁ~、旨い事、うさぎ年の始まりに相応しいエッセイになりました。
もっというと、
前々回(昨年の12月)の第227回「大事なお知らせ」では、

 ウサギのミミーちゃんが、
 『冒険ロックバット』にレギュラー出演しているキャラクターでありながら、
 番組放送当時に発売されていたソフビセットの中に入っていなかったのが謎・・・、

なんて事を述べてたので、

 年が明けたら、
 うさぎ年の始まりに相応しいエッセイにする、その前振りまでされていた・・・、

みたいになってるンですよね。
たまたま偶然、ではありますけども、実にきれいな流れで、満足しています。


・・・え?
そんな事を気にして喜んでるのはお前だけだ、って?

いいじゃないですか、それで。
人生は、いかに楽しむか、ですから。楽しんだ者勝ちですよ。ハハハ。

・・・あ、そうそう、
僕、毎年、
年賀状にソフビコレクションの写真を載せてるのですが
第6回「仮面ライダーソフビ讃歌」及び第108回「ヘビ年によせて」参照)、
うさぎ年の今年は、こんな年賀状にしました。

     

なぜ、ウーか? というと、

 子(ねー)、丑(うし)、寅(とら)、卯(うー)・・・、

で、ウーなのですが、
受け取った人の中に、一人だけ、気づいて指摘してきてくれた人がいて、
嬉しかったなぁ・・・(笑)。

寅年だった去年の年賀状は、
“オコゼ” を漢字で書くと “虎魚” という事で、オコゼルゲ人形の写真を使ったのですが、
それには、誰も気づいてくれませんでしたので・・・(苦笑)。

そんな事に気持ちや時間を費やして喜んでる事を、「馬鹿らしい」と鼻で笑う人もいるでしょうけど、
いいンです、これも。
やってる僕が楽しいのでね。

こういう事を単に「馬鹿らしい」と切り捨てる人は、
トドギラーの “冷凍シュート” を、

 「零下300℃、なんて温度は無い」

なんて言って小馬鹿にしていた僕の大学時代の友人と同じで、実に退屈な人です。
そんな人よりも、
こういう事を楽しめる僕の方が、断然、幸せ。
つまり、僕の勝ちです。
前述したように、人生は楽しんだもの勝ち、なのですから(笑)。

だから、
死を呼ぶ季節をも、僕は楽しみます。
負けたくないのでね、
寒さにも、僕を鼻で笑う人にも・・・。



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