真水稔生の『ソフビ大好き!』


第227回「大事なお知らせ」 2022.12

以前、“同世代特撮ファンあるある” というのを考えて
第158回「熱く正しく」の中で5つ述べましたが、
もう1つありました。
しかも、鉄板ともいうべきものが・・・。
それは、

 豊臣秀吉が木下藤吉郎だった、って事を、
 就学して日本の歴史を学ぶずっと前から知っていた・・・、

です。

言うまでもなく、『仮面の忍者 赤影』の影響ですね。

 千年蝦蟇(甲賀忍者の蟇法師が操る蛙の怪獣)が
 吠え猛りながら瓦屋根を突き破って現れ暴れ出す衝撃的な映像に被さる、

  豊臣秀吉が、まだ、木下藤吉郎だった頃、
  琵琶湖の南に “金目教” という怪しい宗教が・・・、

 という重厚なナレーション、
 その途中、
 絶妙のタイミングで流れ出す名曲主題歌『忍者マーチ』の軽快なイントロ、
 そして、僕らの赤影が現れ、
 「赤影、参上!」と勇ましく名乗りをあげたところで、歌い出しへ・・・、

という、あの胸躍るオープニングは、もう、傑作中の傑作。
毎回、一瞬にして
作品世界へ引き込まれていた僕ら当時の子供たちの心に焼き付いたまま、
そのときめきは、今でも色褪せる事なく残っています。

特に、ナレーションの冒頭、

 豊臣秀吉が、まだ、木下藤吉郎だった頃・・・、

って部分は、
えも言われぬ味わいの、高揚感を誘う強烈なインパクトがありましたし、
なんたって、毎回聞かされるわけですから、
昭和39年生まれの僕と同世代の人間なら、誰もが、
物心がついたころから、自然と脳に刷り込まれていった、名フレーズでしょう。
これを外してはいけませんよね。

豊臣秀吉が木下藤吉郎だった事を
当たり前のように知っている3、4歳の子供を見て、
子供向けテレビ番組でそんなナレーションが流れている事を知らない当時の大人たちは、
たいそう驚き、感心し、

 末は博士か大臣か・・・、

なんて思ったかもしれません(笑)。

べつに勉強して知ってたわけでなく、夢中で『仮面の忍者 赤影』を観ていただけの話ですので、
もちろん、僕は、博士や大臣などにはなれませんでしたが、
はばかりながら “役者” として、
“演じる” という道を歩む現在の日常に、
幼い頃『仮面の忍者 赤影』に抱いた憧れは少なからず影響していますので、
あのナレーションのフレーズが人生の導きに加担した事は、間違いないようです。

実は、その『仮面の忍者 赤影』に子役時代に出演された和泉ちぬさんと、
今から5年ほど前でしたでしょうか、
ラジオドラマの仕事で御一緒させていただいた事があり、
当然、僕は、
ちぬさんが子役時代に『仮面の忍者 赤影』に出演された事は
知っていましたので(ちぬさんは、甲賀の抜け忍・黒蝙蝠の娘役でした)、
収録の合間にお話させて頂いた際には、自然とその話題になりましたけども、
僕が、嬉しくて思わず、

 「豊臣秀吉が、まだ、木下藤吉郎だった頃・・・」

って始めたら、
ちぬさんは、優しそうに微笑んで、

 「みんな、それ(ナレーションのフレーズの事)、言うのよねぇ」

って、おっしゃってました。

やっぱ、みんな憶えてるンですよね。
黒蝙蝠の娘が言うンですから、間違いないでしょう(笑)。
“同世代特撮ファンあるある” に確定です。
第158回「熱く正しく」の中で述べた5つに、遅ればせながら加えさせて頂きます。


・・・で、
なんで、今頃になってそんな話をするのか、と言いますと、
この、

 豊臣秀吉が木下藤吉郎だった、

ように、
昔の人は年齢や地位が変わると名前も変わる、って事から、

 徳川家康が子供の頃は “竹千代” って名前だった、

って話に繋げたかったからであります。

・・・というのも、
徳川家康が、まだ、竹千代だった頃・・・(笑)、
その竹千代を、
人質として今川義元の元に送り届けねばならなかったのを
離反して織田家へ売り渡した、とされる、戸田宗光(後の康光)という武将がいたのですが、
その戸田宗光を、
来年のNHK大河ドラマ『どうする家康』で、この僕が演じさせて頂いておりますので、
今回はその宣伝、というわけなンです。

いやぁ~、まわりっくどい前置きで失礼いたしました(笑)。

けど、

 ・・・え? 来年の大河ドラマ、って、
 あんた、オーディションに落ちたンじゃないの?

って、
この『ソフビ大好き!』を毎回読んで下さってる方でしたら思われるかもしれませんね。
そうなンです、
第218回「シガんで生きる」の中で述べたとおり、落ちたンです、僕。
ただ、そのオーディションは、
歩兵・足軽のエキストラを選ぶものでして、
それには選外とされたものの、顔と名前はどうやら憶えて頂けてたようで、
脚本が作られていく中、

 この役なら、あいつにやらせてみてもいいンじゃないか・・・、

ってなったらしく、
オーディションに落ちてから2ヶ月くらい経った頃でしたでしょうか、

 戸田宗光役で・・・、

とオファーを頂いた次第です。

第2回の、ほんの1シーンに登場するだけですけど、
それでもめちゃくちゃ嬉しかったですね。
マネージャーから電話をもらって、思わずガッツポーズをしてしまいました。

なんたって、
久々の全国区のテレビドラマですし、
それもNHKの大河ドラマともなれば、
間違いなく、いつもより、かなり多くの方に観て頂けますからね。
こんな幸せな事はありません。

ってか、
もう、これは、
僕の役者人生のピーク(笑)。
ですので、
この『ソフビ大好き!』を読んで下さっている方にも、是非、観て頂きたいのです。

 2023年(令和5年)1月15日 午後8時~
 NHK大河ドラマ『どうする家康』 第2回「兎と狼」


です。
どうぞよろしくお願いします。


・・・ただ、NHKさんには、
これまで、出演シーンのオールカットやクレジット誤表記など、
散々な目に遭わされてきましたので(苦笑)、オンエアを見届けるまでは手放しで喜べません。

先述した、和泉ちぬさんと共演させていただいたラジオドラマも、
実はNHKの番組で、
僕の出演シーン(その時も、ほんの1シーンのみの出演でした)は、
やっぱり、バッサリとカットされてましたし・・・。
しかも、
その時の監督さんが
今回の『どうする家康』のスタッフの中にいて、なんだか縁起も悪いのです(笑)。

心配だなぁ・・・。


・・・まぁ、もし、
またしても、

 どこにも出てなかった・・・、

なんていう、悔しい結果に終わりましたら、
例によって、
この『ソフビ大好き!』の中で、
嘆いて愚痴って泣きながらボヤく、という見苦しい醜態をさらしますので(苦笑)、
その時は、
身の程知らずの夢に人生を捧げてしまったオッサンの “悲哀” を、笑ってやって下さいまし。

そんな意味も含めまして、
来年のNHK大河ドラマ『どうする家康』、どうぞお楽しみに・・・(笑)。

大事な事なので、もう一度言いますね。

 2023年(令和5年)1月15日 午後8時~
 NHK大河ドラマ『どうする家康』 第2回「兎と狼」


よろしくお願いします。



・・・で、
今回、僕のコレクションの中から紹介するソフビは、

 徳川家康といえば “たぬき親父”、

ですので、
タヌキに因みまして、ドラダヌギー、
及び、そのドラダヌギーが登場する『冒険ロックバット』に関連するキャラクター達に
させて頂く事にしました。

『冒険ロックバット』は、
昭和50年にピー・プロダクションが製作し、フジテレビ系列で放送された、
月曜~土曜の5分枠の帯番組で、

 お話の舞台は、擬人化された動物たちが暮らす “どうぶつ国”。
 そのどうぶつ国を支配しようと企む黒雲ワルジャンが差し向けた怪人ドラダヌギーに、
 主人公のロボット・ロックバットが、
 平和を守るために敢然と立ち向かう物語・・・なのですが、
 実際は、
 いつもロックバットはドラダヌギーに簡単にやられてしまい、
 ドラダヌギーをやっつけて事件を解決するのは、
 決まってロックバットの弟ロボット・ブレイザーである・・・、
 
という、特撮ドタバタコメディです。



以前、第33回「実写ドラマ大好き!』の中でも述べたとおり、
子供の頃から僕はアニメ番組に興味が無く(日本はアニメ大国なのに(恥))、
実写ドラマでしか楽しめないので、
こういう、
アニメ番組だったとしても何ら違和感を覚えない(っていうか、その方がむしろ自然な)作品を
あえて実写ドラマで描いている、っていうテレビ番組に、とてもありがた味を感じちゃうンですよねぇ。

絵ではなく実写、
読んで字のごとく際にされている映像なので、

 このドラマの世界は、虚構でなく本当にどこかに存在するンだ・・・、

って錯覚出来るのが、嬉しいンです。
『快獣ブースカ』とか『チビラくん』とか、あるいは『クレクレタコラ』とかもそうでしたが、
あんなぶっ飛んだ “非日常” を、
坦々とした “日常” として受け入れられる感覚は、
思い出してもワクワクしてきちゃいます。

なので、
純粋な心で素直に観る子供の頃は、当然、大いに夢見させてもらったし、
大人になってから、たとえ、汚れた心で(笑)斜に構えて観たとしても、
懐かしさとともに甦るその愉快なときめきが、
夢見る事の面白さや大切さを、今一度、思い起こさせてくれるので、
やっぱ、ありがたいンですよね。

そんな中でも、
特にこの『冒険ロックバット』は、
怪獣ブーム・変身ブームが去って、
アニメ番組が児童文化の主導権を完全に握り始めた頃の作品なので、
そんな時代に実写・特撮ドラマが存在していた事自体にも貴重な価値があって、
ありがた味倍増、なのです。

関連ソフビは、
すべて、ブルマァクから発売されていました。


ドラダヌギー
全長約14センチ。

一応、悪者なので、こんなオオカミのような怖い顔してますが、
間違いなく、タヌキですし、
間違いなく、怖くありません(笑)。

独り、川の流れを見つめながら、

 「どうして俺はいつもブレイザーに負けてしまうンだぁ・・・」

って泣いていた事もありました。

 ♪敵はずるいぞ ドラダヌギー

なんて、主題歌で歌われていますが、
ずるいだけで、決してずる賢くはなく(笑)、
そのドジっぷりはロックバットといい勝負。
憎めないヤツです。

このソフビは、
下の写真のように、
ほかの登場キャラクターたちと5体セットの商品でした。

ロックバット
全長約14センチ。

兄貴風を吹かせて、ブレイザーよりも先に強引に出動するものの、
「おまかせロック!」なんていう自信満々な口癖も虚しく
いつも失敗して、結局ブレイザーに助けられてばかりいますが、
不屈の精神を持っていて、時々(笑)活躍するし、
自身の命と引き換えにどうぶつ国の宮殿を守ろうとした事もあります。
こんな可愛らしい顔して、
正義のためなら命がけ、という熱い男(ロボットだけど)なのです。そこが素敵。
 



ブレイザー
全長約14センチ。

“鉄のプリンス” の異名を持つ、
馬力も性能も、兄のロックバットのそれをはるかに超えるスーパーロボット。
『がんばれ!!ロボコン』のロボガリとロボメカもそうでしたが、
兄(旧型)より弟(新型)の方が優れているのは、
機械で出来ているがゆえの、ロボット兄弟の宿命のようです。


 ・・・ってか、
 馬力や性能以前に、
 こんなにも容姿の異なる兄弟、って珍しいですね(笑)。
 



ズク博士
全長約14センチ。

ロックバットやブレイザーを作ったミミズクの天才科学者で、
お爺さんなンだけど背筋がピンと張った、シャープなキャラクターでしたが、
ソフビからも、その凛々しさが感じられます。



ブータレ記者
全長約13センチ。

ブタの新聞記者。
 何やら魅力的なキャラクターではありますが、
 実は、このブータレ記者、
 毎回、お話に登場するわけではないンですよね。
 ・・・ってか、どこで出てきました? こんなヤツ。
 僕、記憶に無いンですよねぇ。

 毎回登場するレギュラーは、
 ロックバット、ブレイザー、ドラダヌギー、ズク博士と、
 あと、ウサギの “ミミーちゃん” という、ズク博士の助手の女の子の5人なのに、
 ソフビ人形としての商品化からは、
 なぜか、ミミーちゃんが外され、
 このブータレ記者が、さもレギュラー出演者であるかのようにセットに入っているンです。

 ミミーちゃんが外された事も、このブータレ記者が選ばれた事も、まったくもって謎。

 まぁ、いつも言っているように、
 ブルマァクというのは大味な社風のメーカーですので、
 そんな細かい事を、いちいち気にして考えるのはナンセンスかもしれませんが、本当に謎です。
 だって、
 サザエさんファミリーのソフビセットから、
 ワカメちゃんが外され、代わりに花沢さんのお父さんが入っているようなものですからね。

  なんで?

 って、思うでしょ? 普通の感覚の人なら・・・。

 けれど、
 ソフビコレクターとしては、マイナーキャラがソフビ人形になっているのは嬉しい事。
 普通の感覚じゃないブルマァク(笑)に、感謝。
 

それにしても、“ブータレ記者” て・・・。

名前を考えた人、天才ですよね(笑)。
 
   
   
もう少しサイズの小さい、5体セットもありました。
 
             
ドラダヌギー
全長約12センチ。
      ロックバット
全長約12センチ。 
ブレイザー
全長約13センチ。 
      ズク博士
全長約12センチ。 


ブータレ記者
全長約11センチ。 
 


さっきの人形もそうだけど、
よく見たら、
メガネが耳にかかってないンですよね。
かかってないどころか、先セルが耳の下に行っちゃってます。
パンパンに張った顔の肉のおかげで
落ちないンでしょうけど(どんな仕組みやねん!)、
実物もそうなのかなぁ?
なんせ、記憶に無いキャラなので・・・(苦笑)。

 


 ロックバットとブレイザーの人形は、単品売りもあり、ほかにもいろんなサイズがありましたので、
 続けて紹介させて頂きましょう。

 まずは、ロックバットから・・・。



全長約25センチ。

両手足は、
なぜか、ラメ入りのクリアソフビ。 
   



全長約19センチ。

実物より、
ちょっと上品な顔立ちに仕上がっています。
   



全長約15センチ。 


 次に、ブレイザー。



全長約38センチ。 

デカい! 大迫力!
             
       
 全長約27センチ。       全長約18センチ。       全長約15センチ。 
             
             
 



さてさて、今回は
『どうする家康』の宣伝、
そして、
家康(たぬき親父)に因んで
タヌキの怪人・ドラダヌギーが登場する『冒険ロックバット』関連のソフビの紹介をさせて頂きましたが、
今、ふと、
『どうする家康』の最初の打ち合わせの時に資料としてスタッフの方から見せて頂いた、
出演者の顔写真入り相関図の事を思い出しました。
徳川家康役の松本潤さんや
織田信長役の岡田准一さんらと同等のように
戸田宗光役として僕の顔写真も載っていて、

 あぁ、僕、大河ドラマに出るンだなぁ・・・、

って実感が、感激とともに湧いてきたのですが、
今思えば、
あの相関図の中の僕、
ロックバットやドラダヌギーらレギュラー陣と同等のように
『冒険ロックバット』のソフビセットの中にしれっと入っていた、ブータレ記者みたいでした(笑)。

ごまんといる役者の中から僕を選んで下さった、
普通の感覚じゃない(笑)NHKさんに、感謝であります。

あとは、もう、ホント、
僕の出演シーンがカットされずに、無事オンエアされる事を祈るばかり。
“どうする家康” ならぬ、“どうなる稔生” でございます。


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