真水稔生の『ソフビ大好き!』



第236回 「お茶は濁しても水は濁さず」  2023.9

モツゴとスジエビとアカハライモリを飼っている事を
以前述べましたが
第209回「ソフビバトルの根源」第210回「長閑はふたたび・・・ってか永遠に」第217回「定位置からの報告」参照)、
   
そんな、
我が家のアクアリウムに、先日、新しい仲間が加わりました。 






ヨシノボリ。

まだ全長2センチほどですが、
成長しても4、5センチくらいにしかならない小さな淡水魚で、
ハゼの仲間です。 

ハゼといえば、
僕と同世代の人なら、
テレビアニメ『ハゼドン』を思い出す人も、少なくないでしょうね。
昭和47年、
僕が小学2年の時の2学期から、放送が始まった番組で、
主人公のハゼドン(ハゼ)が
シーラン(人魚)とプーヤン(フグ)とともに海の中の世界を旅する、冒険物語でした。

毎回、この『ソフビ大好き!』を読んで下さっている方なら、
僕が、テレビアニメには全くと言っていいほど興味が無く、
アニメの子供番組を観るくらいなら、
たとえお話の内容が解らなくても、
大人が観るドラマ(ホームドラマや刑事ドラマや時代劇など)を観ていた方が楽しい、という、
変な子供(苦笑)だった事を御存知でしょうから、

 なんで『ハゼドン』の話なんかするのか?
 観てないくせに・・・、
 思い出も思い入れも、何にも無いくせに・・・、


って思われるかもしれませんね。

けど、
一応、観た事はあるし、
一応、思い出や思い入れもあるンです。

というのも、

 当時、読んでた学研の『2年のかがく』って雑誌に、
 2体のフィギュア(ハゼドンとプーヤンでした)が並んでるカラー写真の頁がありまして、
 そこに、

  『ハゼドン』というテレビ番組が始まります・・・、

 といった内容の宣伝文句が書かれていたので、
 僕は、てっきり、

  『ハゼドン』という実写(モデルアニメーション)番組が始まるンだ!

 と思い込み、めちゃくちゃ喜んだのですが、
 楽しみに待ってた初回放送日、番組にチャンネルを合わせたら、
 なんとそれがフツーのアニメ(セルアニメーション)番組だったので、

  何、これ・・・。 話が違うじゃん!

 とガッカリ、
 そして腹も立って、

  「嘘つくな、学研のかがく!」

 って、心の中で叫び、
 翌週からは、
 裏番組の『真理ちゃんとデイト』(当時のトップアイドル・天地真理さん司会の音楽バラエティー)を
 当て付けるように(誰に?(笑))観ていた・・・、

という次第なンですよね。
だから、
先述のとおり、“2学期から放送が始まった” なんていう細かい記憶まで残っているわけです。

けど、
なにも “学研のかがくが嘘をついた” のではなく(苦笑)、
番組と同時に
その学研の『2年のかがく』の誌上でも、『ハゼドン』の連載が始まりまして、
それが、
海の中のジオラマをバックにした、
そのハゼドンたちのフィギュアの写真で展開される “絵物語” だったので、
おそらく、

 『ハゼドン』という絵物語が始まります・・・、

っていう誌上連載の宣伝の頁に、

 ちなみにテレビ番組にもなりますよ、

って感じで、
あくまでも補足の情報として、書いてあったのではないか・・・、と思われます。

そんな、いちいち、

 この雑誌で連載されるのはフィギュアの写真を使った絵物語ですが、
 テレビ番組の方はセルアニメです、

なんて断らないでしょうしね。

ただ、まぁ、
フツーの子供は、
実写かアニメか、なんて事には大してこだわりませんので、
それでも問題は無かった、つまり、
モデルアニメーションでなくセルアニメーションでテレビ番組化された『ハゼドン』を観ても、
なんとも思わなかったでしょうけど(むしろ喜んだくらいだったかもしれません)、
僕としては本当にショックで、
例えるなら、

 「かに料理をごちそうしてあげる」

と言われて喜んでたら、
出てきたのが、“かにかま” だったような、
騙された、というか、嫌がらせをされた、というか、そんな気分だったンです。
大問題でしたよ、あれは・・・(苦笑)。

今でも、主題歌『ハゼドン音頭』の歌い始めの、

 「ハゼドンだよォーっ!」

って箇所を聴くと、

 「ハゼドンじゃないよォーっ!」

って言い返したくなります(笑)。


・・・って、
話がいきなり横道にそれてしまいました。スミマセン(苦笑)。

戻します。
・・・で、このハゼの仲間のヨシノボリ、
水槽の中でいろんな動きをするので、観てると、とても面白いンですよねぇ。
水を切るように泳ぐ、“いかにも川魚” って感じのモツゴとは異なり、砂利の上を這うように進んだり、
ジッとしてるなと思ったら、何かを思い出したみたいに急に凄い勢いで泳ぎ出したり、
あるいは、
吸盤状の腹びれを使って水槽のガラス面に張りついたり・・・、と実にユニーク。
楽しい魚なのです。
 
     
    モツゴの水槽同様に、スジエビと混泳させてます。

有明海の干潟で
同じエサ(泥に付着している藻)を取り合ってシオマネキと喧嘩する、
あの有名なムツゴロウ(ヨシノボリと同くハゼの仲間)で良く知られるとおり、
ハゼ科の魚は、
縄張り意識が強く、好戦的ゆえ、混泳はちょっと心配だったのですが、
今のところ、
ヨシノボリもスジエビも、お互いを攻撃し合うような事は一切せず、
穏やかに暮らしているようなので、安心しています。
エサをあげた時も、
それぞれが黙々と食べるだけなので、とても平和ですしね。

 

・・・まぁ、
モツゴもスジエビもヨシノボリも、
同じ池で捕獲してきた生き物ですので、
元々、仲良く暮らしていた者同士だったのかもしれません(笑)。
   
それにしても、
やはり、
水の中に棲む生き物を飼育・観賞するのは、良いですね。
楽しいし、面白いし、
特にこの季節は、
気持ちを涼しくしてくれて、
暑さをしのぐのに一役買ってくれますから、ありがたいですし・・・。
今年の夏も、

 これでもかっ!

ってくらいの猛暑で、
暑さで目がくらむような毎日がまだまだ続くようですが、
彼らのおかげもあって、なんとか無事、明るく元気に乗り超えられそうです。



・・・というわけで、
毎度おなじみソフビコレクションの紹介ですが、
今回は、
ヨシノボリの怪獣を・・・、
と行きたいところなのですが、いないンですよねぇ、そんなの(苦笑)。

せめてハゼドンのソフビでも持っていればなぁ・・・。

キャラクター玩具のマニアやコレクターの方なら御存知でしょうけど、
ありますよねぇ、
ハゼドンとシーランとプーヤンの、
番組放映時のめちゃくちゃ可愛いソフビ・・・。
過去に2、3回、
アンティーク・トイ・ショップや即売会の会場で見かけた事があります。
あれが今手元にあれば良かったのですが、
アニメキャラクターのソフビはコレクションの対象外ゆえ、持ってないンですよねぇ、僕。
持ってたら、紹介出来るのに・・・。スミマセン。


1回だけとはいえ、
子供の頃にリアルタイムで観た番組の、
一応ですが、思い出も思い入れもあるキャラクターなのだし、
良さや魅力だって解かるし、
なんたってソフビコレクターなンですから、
本来なら、見かけた時に迷わず買って所有してなきゃ、おかしいンですけどね(苦笑)。
ホント、スミマセン。

仕方がないので、今回は、
さきほど、ハゼ科の魚の特徴を説明する際に、
ムツゴロウの喧嘩相手として名前を出した、
シオマネキ(・・・そう、片方の鋏脚だけが大きい、あのカニです)、
そのシオマネキの怪人が、
『仮面ライダー』に登場したショッカー怪人の中にいますので、そのソフビ人形を紹介して、
お茶を濁す事にします(・・・はっきり言っちゃった(苦笑))。





シオマネキング

バンプレスト(ユニファイブ)製 、全長約27センチ。
平成15年に、
なぜか突然、“仮面ライダー怪人シリーズ” として、
サラセニアンとシオマネキングの2体が世に放たれたのですが、
あまり人気がなかったのか、
それから20年経った現在でも、ラインナップはその2体のみのまま。

 いかにも平成ソフビなリアルでカッコいい造形でありながら、
 サイズは昭和のスタンダードソフビを彷彿とさせる・・・、

という、面白い魅力のソフビだと思って、
更なるラインナップの充実を期待したンですけど、

 サラセニアンとシオマネキング、

というチョイスが、
玩具のシリーズのスタートとしては、マニアック過ぎたかもしれません。
とくにシオマネキングが、
人気が出るのを妨げる、悪い “気” を、取り込んでしまった可能性大。

というのも、
シオマネキングは、
鮮やかで重厚なデザイン・造形による、魅力的な姿をした怪人であり、
しかも、

 通常の回とは異なるロケーション(紀伊勝浦)を舞台に
 ダブルライダーの活躍が展開される・・・、

という印象的なエピソードである、
第72話「吸血モスキラス対二人ライダー」
および
第73話「ダブルラーダー 倒せ!!シオマネキング」に
登場した、インパクト大な “強敵” であるにも関わらず、
僕ら当時の子供たちから、そこまで圧倒的な支持を得るには至らなかった、
言わば “曰く付きの存在” なンですよね。
人気ナンバーワンになってもおかしくない要素を具えながらも
それが果たせなかった要因は、
やはり、

 「アビィーッ! アビアビアビ、アビィーッ!」

という、いかにも頭の悪そうな、あの甲高い鳴き声が、
すべてをぶち壊していたからではないか・・・、と思います。

監督の指示だったのか、台本にそう書いてあったのか、
あるいは、声優のアドリブか、
詳細は知りませんけども、
悪ふざけのようで、まことに残念。
絶対に、強敵怪人の鳴き声ではないですから、あれは・・・。 
初めてシオマネキングを観た時(メインで登場する第73話の、前週の第72話のラストで、チラッと出てきます)、
僕は、
その、不気味でカッコいい、芸術的香気に満ちた見た目とは、あまりに結びつかない素っ頓狂な鳴き声に、
なんとも受け入れがたい、モヤモヤした違和感を抱いた事を憶えています(笑)。 
         
 「アビィーッ! アビアビアビ、アビィーッ!」


・・・。

改めて、

 何やねん、それ(怒)。







そんなシオマネキング、

 2号ライダーの大力で空高く放り投げられたところを、
 1号ライダーの “ライダー返し” で地面に叩きつけられ、
 ふらふらと立ち上がった瞬間、“ライダーダブルキック” を喰らって果てる・・・、

という、怪人冥利に尽きる最期を遂げましたが、
よく見ると、
あの時の “ライダーダブルキック”、
1号ライダーの足はシオマネキングの体に当たってなかったンですよね。
だから、正確には、
ダブルライダーの “ライダーダブルキック” でなく、
2号ライダーの、普通の “ライダーキック” で、トドメを刺された、ってのが真実です(笑)。

おそらく、1号ライダーは、
あの、真剣に闘っているとは到底思えないシオマネキングの鳴き声を
ずっと聞かされてるうちに、
つい、緊張が緩んで、的を外してしまったのではないでしょうか・・・(笑)。



こちらは、食玩ソフビ。
バンダイ製 プレイヒーローVS仮面ライダー対決セット、全長約11センチ。 

平成19年の発売で、2号ライダー人形とのセットでしたが、
このセットは、実に納得のいくものでした。

だって、
第72話と第73話の目玉は、
なんといっても、

 赤い手袋と赤いブーツ、
 という、感動的にカッコいい姿に進化して、
 鮮やかに帰ってきた2号ライダー、

だったと思うし、
しかも、シオマネキングを倒したのは、
実は、ライダーダブルキックではなく、
その2号ライダー単独の
ライダーキックだったのですから(笑)、

 断然・必然・当然の組み合わせ、

と言えますもの。気が利いてます。
 
           


さてさて、
我が家のアクアリウムに新しい仲間が加わった事から、
『ハゼドン』と『仮面ライダー』の思い出を述べる事になったわけですが、
テレビ番組に一喜一憂、
あの頃の気持ちや感覚といったものは、実に純粋で汚れなきものだったなぁ・・・、と改めて思います。
大人になった今と比べたら、当然、
知らなかった事や解ってなかった事はいっぱいありましたけども、
その分、邪念が無いンですよね。ホント、澄んでました。
あんな心にはもう戻る事は出来ないけれど、努めて、ずっと忘れずにいたいものです。


・・・あ、そうそう、
“忘れずに” といえば、水槽の水替えです(笑)。
2週間に1回行っていますが、今日はその水替えの日。
忘れてませんよ、僕は。
愛するペットたちゆえ、きれいな水の中で過ごさせてやりたいし、

 水槽の水の濁りは心の濁り、

と稽え、常に気をつけてますから。
子供の頃の純粋で澄んだ心を忘れないためにも濁してはならぬ、とね(笑)。


それでは、
その水替え、今から始めたいと思いますので、
そろそろ失礼させていただきます。
今月も読みに来てくださり、どうもありがとうございました。
来月も、また是非、よろしくお願いしますね。
   
     





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