真水稔生の『ソフビ大好き!』


第210回 「長閑はふたたび・・・ってか永遠に」  2021.7

今年もまた、この季節がやってまいりました。
夏であります。
ホント、暑いですよねぇ~、毎日毎日・・・。
エアコンがぶっ壊れていて一切機能しない我が家は、特にこたえます。

ただ、前回紹介しましたように、
今はペットとしてモツゴとスジエビを飼ってますので、
水槽の中を気持ちよさそうに泳いで動き回る彼らを眺めてますと、涼しげな気分になるンですよねぇ。
なんだか落ち着きますし・・・。それで暑さを紛らわしてます。

さらに我が家には、
モツゴ・スジエビ水槽の下に、もうひとつ水槽がありまして、 
そこにいるのが、こちら、アカハライモリであります。
メスなので “美幸” と名付けたのですが(笑)、
或る同年代の知人に、

 「ネーミングのセンスが、
  以前飼っていた鳩に “サブレ” と名付けていた私と似てますね」

と指摘され、笑ってしまいました。

いかにもオッサンが思いつきそうなダジャレや地口の類、
言うなれば “オヤジギャグ” ですもんね。
・・・で、
このイモリ美幸ちゃんもまた、
僕を涼しげな気分にして落ち着かせてくれる、和みの存在なのですが、
写真を見てお解りいただけるように、愛嬌や可愛らしさでいったら、モツゴやスジエビ以上。
ずーっと見てられます。

しかも、
水槽が2段設置してある場所の、すぐ隣の部屋、
・・・そう、前回述べた、モツゴやスジエビの泳ぐ様子が動く影絵となって映る襖を
1枚隔てた隣の部屋は、
ソフビ怪獣人形が飾ってあるコレクションルームですので、
缶ビールか缶チューハイでも片手に
そこをのんびり行き来しながら、
ペットを眺めたりソフビを眺めたりしていれば、
暑さも忘れて、あっという間に数時間が過ぎてしまうのです。


・・・。

なんて長閑な日常を送っているのでしょう、僕は・・・(笑)。


・・・って、前回も言いましたね(苦笑)。

けど、

 モツゴ・スジエビ・アカハライモリによる “和みのクールスポット・水槽前” の隣が、
 ソフビ怪獣人形による “郷愁と癒しの空間・コレクションルーム”、

なのですから、
ここで暮す毎日は、本当に長閑です。


・・・と、ここで、
ずっと以前からこの『ソフビ大好き!』を読んで下さってる方なら、

 アカハライモリなんか飼っちゃって、昆虫とか爬虫類とか、苦手じゃなかったの?

って、お思いになるかもしれませんね。
モツゴやスジエビならまだしも、
アカハライモリなんて、生き物に詳しくない人からしたら、ただのトカゲ、でしょうから。

でも、違うンですよ、全然。
確かに、
昆虫とか爬虫類とかを、子供の頃は大好きだったのに、
大人になるにつれて、いつしか興味が薄れていき、
気がつけば、
触れなくなっちゃってただけでなく、もう、見るのもイヤ、ってくらい苦手になっちゃっていたンですけど、
アカハライモリは “別”、なンですよねぇ。

自分でもよく解らないのですが、
たぶん、
先ほど述べた、

 “涼しげな気分にしてくれる”、

ってのが、大きく影響している気がします。

アカハライモリは、
トカゲとは違って両生類ですから、
水の中にいますので(時々、陸地で休んだりもしますが)、

 “水の中にいる” → “涼しげ” → “快適”

って思考回路で好印象となり、苦手意識を忘れさせてくれるンだと思います。

それと、
干支が一巡する “還暦” まで、カウントダウンが始まる年齢になりましたので、

 意識や感覚が、
 昆虫や爬虫類といった生き物が大好きだった子供の頃へと、徐々に還っていく・・・、

ってのも、あるかもしれません。

なので、そのうち、
本当に昆虫や爬虫類まで飼い出すかも・・・。

・・・いや、違う。
無い無い、無い無い。それは無い。
絶対に無い。
自分で書いといて何ですが、想像したら気持ち悪くて鳥肌が立ってきました(苦笑)。

やっぱ、水の中にいる涼しげなヤツ限定、です。


ところで、
そんなうちの美幸ちゃん、
写真を見て判るように、鮮やかなオレンジ色のお腹をしていますが、
アカハライモリは、
個体によっては、このようなオレンジ色でなく、真っ赤なお腹の色をしたものもいます。
なんたって “アカハラ” っていうくらいですからね。

なので、
どこかで赤いお腹の個体も見つけてきて、美幸ちゃんと一緒に飼いたいンですよねぇ。 
色違いのソフビをコレクションするような感覚で・・・(笑)。

ジャーン!

オレンジ色と赤の色違いソフビといえば、
こちらでございます。
バンダイのウルトラ怪獣シリーズのバニラ

昭和59年に発売され、
それ以降、リニューアルが繰り返された中で、
このように、
オレンジ色をしたのものと赤い色をしたものが存在するのです。
   
昭和59年発売の初版。全長約17センチ。

鮮やかで温かい、
きれいなオレンジ色の成形色をしています。 
   
昭和63年発売の、いわゆる2期。
このシリーズで唯一、袋に入って販売されていた時期のものです。
全長約16センチ。

成形色は濃いオレンジ色で、上から赤が塗装されています。
   
平成3年、500円から600円への価格改定に伴い、リニューアルされたものです。
全長約16センチ。

成形色が赤になって、部分的にくすんだ黄緑が塗装されています。 
   
平成6年か7年でしたでしょうか、
オモチャ屋を覗いた際、
塗装色がにび色っぽいグレーに変更されている事に気づき、慌てて購入しました。

全長約16センチ。
   
平成7年の夏、PL法の施行により、素材が軟質のソフビに変更されました。
彩色はそのまま。 

全長約16センチ。

オレンジ色と赤・・・、
同系色ゆえ微妙な違いと思いきや、ソフビ人形になると、明らかに印象が異なるンですよねぇ。
まさに、彩色の妙。とても魅力的です。

ただ、600円に値上げされてから以降の、ちゃちな部分的塗装が残念。
塗装の仕方が雑ですし、
色のチョイスも、なんかミスってる感じがします。赤の成形色と合ってないンですよねぇ、全然・・・。


ところで、
このバニラが登場する『ウルトラマン』第19話「悪魔はふたたび」は、
子供の頃、大好きなエピソードでした。

国立競技場をぶっ壊しながらの、バニラとアボラスとの大格闘は、
今観ても興奮します。

前回述べた第35話「怪獣墓場」とは正反対の、

 これぞ『ウルトラマン』!

って回ですよね。
 


そういえば、
数年前、国立競技場が取り壊される際、
その解体作業を行う重機が、
バニラとアボラスを思い起こさせる、赤(オレンジ色)と青のツートーンカラーである事が、

 国立競技場はやっぱりバニラとアボラスにぶっ壊されるンだぁ・・・、

って、特撮ファンの間で感慨深く話題になってましたけど、

 こんな偶然、あるンだなぁ・・・、

なんて思いながら、ちょっと得した気分になりましたね。
だって、
ウルトラマン世代じゃなきゃ、
絶対にそんな事に気づいたり感動したり出来ませんもの。

必死で頑張って、努力と苦労の末、この国・この時代に生まれてきたのではなく、
たまたま、この国・この時代に生まれてきただけなのに、
ほかの世代の人たちが何とも思わない事に
しみじみ感動出来るンですから、
まことにもってありがたい、幸せな事だと思います。




ちなみに、
世代や時代って事で言うと、
僕が子供の頃に遊んだソフビ人形は、
当然の事ながら、
バンダイのウルトラ怪獣シリーズでなく、マルサン製やブルマァク製のもの。
バニラ人形は、こんなでした。
ジャーン!

どの人形も、
オレンジ色や赤ではありませんが、
実物のイメージを壊すところまではいっていない、
この、絶妙な加減の彩色センスが好きです。




3体とも、マルサン製で全長約23センチ。
向かって左端の人形が初版で、『ウルトラマン』放映時(昭和41年~42年)の商品です。
   
こちらは、
マルサンの金型を使って作られたブルマァク製のもの。
全長約23センチ。
昭和40年代後半の商品ですね。


さきほど、
実物のイメージを壊すところまではいっていない、絶妙な加減の彩色・・・と述べましたが、
造形の方も、
ほかの怪獣人形と比べますと、結構、実物に似せる配慮がされていますので、
今どきの、ソフビ怪獣人形にリアルさを当たり前のように求める人たちからも、大きく否定されるような人形ではないと思います。

ただ、
それでもやはり、
時代柄、“実物そっくり” とはいかないわけでして、愛嬌を持たせるためのデフォルメは、しっかりと施されています。

それは、顔ですね、やっぱ。
実物のバニラが知ったら怒るンじゃないか、って思うくらいブサイクに仕上げてあります(笑)。

これだもんね、なんたって(笑)。

でも、この顔が、
実物のバニラを愛するのとは別の次元で、僕は大好きなンですよね。

というのも、
以前、
第20回「誰かに似たソフビ」第45回「ソフビ怪獣人形は戦うオモチャ」の中でも述べてますが、
子供の頃に
よく母親に連れて行ってもらっていたおでん屋のオバチャンの顔が、
この人形の顔にそっくりだったからなンです。

つり目で、豚鼻で、
頬骨がボコッって出てて、いつもだらしなく口を開けてて・・・。
おまけに肌の色もこんなだったので、
本当にそっくりでした。

そのおでん屋に行くと、
まるで人間サイズのバニラ人形が歩いているようで、
楽しいような怖いような、
不思議な気持ちになったものです。
迫力満点でした。

なので、僕は、
この人形を見る度に、
そのオバチャンの事やそのおでん屋の風景、
延いては母親の事を思い出すンです。

昭和のデフォルメソフビならではの醍醐味、ですね。




・・・あ、そうそう、思い出す、といえば、
僕、小学生時代も、アカハライモリ飼ってました。

その時につけてた名前は、“ピーター”。
もちろん、
『ウルトラQ』第26話「燃えろ栄光」に登場したピーターに因んで、です。

そうだ!
赤いお腹のアカハライモリが手に入ったら、今度は “バニラ” って名付けよう!

・・・う~ん、ペットに怪獣の名前をつけたがるなんて、
やっぱり、
還暦に向けて、意識や感覚が子供の頃へと還っていくのかなぁ・・・。


・・・いや、違うな。
そんなの、子供のころからずっと変わってないもん。

だって、
高校生の時に飼ってたボタンインコに
“チカ(『光速エスパー』でエスパーをサポートする小鳥型ロボット・チカに因んで)” ってつけてたし、
20代半ばに飼ってたスッポンにも
“ベガ(顔や手の形が『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』に出てきたベガロンに似てたから)”ってつけてましたから。

僕の脳は、ずっと同じ発想しかしないようです。

 なんて長閑な日常を送っているのでしょう、僕は・・・、

などと、いちいち口にする必要は無いですね。
この脳で生きてる限り、
僕の日常は、過去も現在も未来も、ずっと長閑。永遠に長閑なのですから・・・(苦笑)。




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