真水稔生の『ソフビ大好き!』


第214回 「グランドジャンプ(大いなる飛躍)」  2021.11

ちょうど1年前、
映画の撮影で漁港に来ている事を述べましたが(第202回「甦る感覚」参照)、
その映画がこちらです。
         ↓
『ノイズ』(監督:廣木隆一)
https://wwws.warnerbros.co.jp/noisemoviejp/

僕の役は、
お話の舞台となる孤島の住民(職業は漁師)。
予告編にも、2箇所、
チラッと一瞬ではありますが、映ってます(わかるかな?(笑))。

もちろん、
本編にはもっと出てますし、
台詞もちゃんとありますので(例によってまたカットされていなければ・・・、の話ですが(苦笑))、
1人でも多くの方に、是非、観ていただきたいです。
2022年1月28日(金)公開。
よろしくお願いします。


さて、この『ノイズ』、
原作は、
集英社さんの『グランドジャンプ』に連載されていた筒井哲也先生の漫画なンですよね。

なので、今回は、
『グランドジャンプ』の “グランド” に因みまして、グランドキングを取り上げたいと思います。


・・・え?
ただ “グランド” って名前についてるだけで、関係無さ過ぎ?

いえいえ、そんな事はありません。
グランドキングは、
昭和59年に公開された映画『ウルトラマン物語』に登場した怪獣ですから、
映画繋がり、でもあるのです。

・・・ってか、
そんな事を気にしているのは僕だけで、
どーでもいいですよね、“こじつけの出来” なんて(苦笑)。

では、とっととコレクションの紹介に移ります。

グランドキングは、
宇宙に漂ういくつもの怪獣の亡霊が集まって生まれた合体怪獣で、
その形状には、ゴモラの角やバルタン星人の手(ハサミ)などが見受けられます。  

 このグランドキングを、
 少年時代から猛特訓を受け成長したウルトラマンタロウが、
 5人の兄(ゾフィー、マン、セブン、帰りマン、エース)の協力の下、
 華々しくやっつける・・・、

というのが、
映画『ウルトラマン物語』のお話。
以前、第146回「涙のソフビ」の中で述べた、
少年時代のタロウ(子役のスーツアクターが演じた小っちゃいタロウ)が出てくる、あの映画です。

   

映画公開当時、僕は大学生(二十歳)で、
子供の頃に『ウルトラマンタロウ』の幼児向けな作風に辟易して
ウルトラシリーズから心が離れたQ・マン・セブン崇拝世代ゆえの偏見から、

 タロウが主役の映画なんて・・・、

と作品そのものを馬鹿にして映画館へは足を運びませんでしたので、
そこに登場する新怪獣・グランドキングにも、とくに興味や関心を持つ事無く過ごしていました。

でも、今思うと、
グランドキングは、
いろんな怪獣のパーツを寄せ集めたわりには無理矢理感が無く、
すっきりとしたシャープなデザインでカッコいいし、
また、それでいて
造形の所々に適度な野暮ったさもあるため
着ぐるみ怪獣独特の “味のある重量感” も損なわれておらず、
ウルトラ兄弟と闘う強敵として、絶妙にバランスのとれたビジュアルをしている、
とても魅力的な怪獣ですので、

 映画館の大きなスクリーンでしっかり観ておくべきだった・・・、

と後悔してます(苦笑)。
バンダイ製 ウルトラ怪獣コレクション、全長約17センチ。

映画公開時の昭和59年に発売された、初版の人形です。
実物の姿形を忠実に再現した “リアルな造形”・・・、
というよりは、
実物の姿形を小綺麗にまとめた “洗練された造形” で、
全盛期のブルマァクソフビを彷彿とさせます。
素晴らしい!


僕がソフビコレクションを始めた頃(昭和63年の夏)には、
バンダイのウルトラ怪獣コレクションの初版は
すでに絶版になっており、
この人形は、
ちょっと入手困難な状態にありました。

たまにアンティークTOYショップで見かけても、
その時の現行商品であった2期のラインナップから
グランドキングは外されていた事もあって、
結構な高値が付いてましたしね。

けれど、
以前、第62回「アナクロ ~時代遅れのソフビ入手法~」の中でも述べましたとおり、
或るアンティークTOYショップで知り合ったマニアの方が           
四国方面のオモチャ屋へハンティングに出かけた際に倉庫に残っていたのを見つけて、

 真水さんが喜ぶと思って・・・、

と、わざわざ僕のために買ってきてくれたので、手に入れる事が出来たンです。

嬉しかったなぁ・・・、あれは。

そこから30年以上の月日が過ぎた今日においても
僕が明るく楽しくソフビコレクターを続けていられるのは、
単に収集癖や怪獣愛だけによるものでなく、そういう幸せな体験も、大きく影響しているンですよね。
あの時、

 この趣味、永く続けたい・・・、

って、しみじみ思いましたから。

こちらは、
平成3年に販売促進キャンペーン賞品として作られた人形です。

バンダイ製 ウルトラ怪獣シリーズ、全長約16センチ。

       
    初版の人形の金型が、
紛失していたか破損していたか、の事情で使用出来ず、
初版の人形そのものから型取りしたため、
サイズが縮小されており、
初版の人形と比べると、このように、若干、迫力に欠けますが、 
彩色が微妙に変更されていて面白いですし、
何より、

 賞品、つまりは非売品であった、

というプレミア感が
コレクター心を刺激してくれるので、見劣りは感じさせません。

ただ、
この “初版の人形から型取りした” という事実には、実は悲劇の裏話がありまして・・・。

まぁ、あくまでも聞いた話、ではありますが、

 バンダイの社員さんの中にもソフビマニアの方がいらっしゃったそうで、
 その方が、
 或るアンティークTOYショップで購入した初版のグランドキング人形を
 会社の机の上に飾っておいたところ、
 所用で席を外していた間に、
 かねてから

  キャンペーンの賞品用にグランドキングの人形を再び作りたい・・・、

 と考えていた担当スタッフの方が、
 それを個人の私物(それも大枚をはたいて買った “お宝” )とは思わず、

  あぁ、こんな所に初版が1個残ってるじゃん、ラッキー!

 みたいな感覚の軽い気持ちで持ち出し、型取りに使用してしまった・・・、

というのです。

でもって、

 席に戻った持ち主の社員の方が
 机の上のグランドキング人形が無くなっている事に気づいて探し回まわるも見つからず、
 後日、金型を作る電鋳槽の中で溶けていった事実を聞かされた・・・、

とか。

・・・なんか、もう、胸が苦しくなります、他人事ながら。
  犠牲になったその初版人形の供養や、
持ち主の社員の方のやり場の無い怒りと哀しみに対する慰謝、
という意味でも、
僕はこの人形を大切に大切にしています。
 

でもって、こちらは、
その2年後の平成5年に、
ウルトラマンフェスティバルの会場で限定販売された人形。

バンダイ製 ウルトラ怪獣シリーズ、全長約16センチ。 
    ラメ成形になっているので、
先述の2種よりも、なんだか洒落た印象の見た目になっています。

このように、
キャンペーン賞品、ウルフェス限定販売、と
まるで “映画に出てきた怪獣” という “特別感” を
際立たせるかのごとく、
イレギュラーなソフビ人形化の展開がされてきたグランドキングですが、
平成21年、
映画公開時の昭和59年に発売された初版の人形以来、なんと四半世紀・25年ぶりに、一般流通の商品にラインナップ入りしました。 
 
その人形が、こちら。

バンダイ製 ウルトラ怪獣シリーズ、全長約15センチ。
    それでも、
ブロンズ彩色による豪華な見た目で “特別感” は継続。

いろんな怪獣の亡霊が結集してる、って事は、
きっと怨念もハンパないでしょうから、
その人形を製造・販売するメーカーとしては、
畏怖心から、
やはり特別扱いせざるを得ない・・・、のでしょうか?(笑)
 

  それにしても、
僕が大人になってから発売された商品に
こんなにもの長い歴史があり、
現在は、
そこから更に10年以上の歳月が流れているわけですから、

 いったい、僕は何歳なんだ?

と、前回(第213回「クワァーッ!」)同様、
改めて自身の実年齢を実感・自覚し、呆然としてしまいます(苦笑)。 


・・・が、
呆然としている暇などありません。
仕事(役者業)も趣味(ソフビ蒐集)も、目的地には、まだまだ程遠い僕ですからね。
大いなる夢に向かって、もっと飛躍しなきゃ。

    そう、まさにグランドジャンプ!

自分自身にそう発破をかけ、
これからも、明るく元気に生きていこうと思います。


・・・と、
最後まで “こじつけの出来” にこだわる僕(苦笑)。






そんなわけで、映画『ノイズ』、是非観て下さいね。



 




        前回へ        目次へ        次回へ