真水稔生の『ソフビ大好き!』


第215回 「合言葉は・・・」  2021.12

師走ですねぇ、気がつけば。
今年は、
コロナ禍に翻弄される中、
夏が終わったら秋をすっ飛ばして急に冬がやって来たような
激しい寒暖差もあり、
なかなか生活リズムを整えにくい1年でありましたが、
それでもなんとか、
病気になる事も怪我をする事も無く、
ここまで無事に過ごしてくる事が出来ましたので、とりあえずホッとしています。

50代後半、という、
体のいろんな所にガタが来ている年齢ゆえ、
コロナ感染対策や体調管理には人一倍気を遣っていますが、
決して体が丈夫な方ではない僕が
こうして健康でいられるいちばんの理由は、
やはり、
第213回「クワァーッ!」の中でも述べたように、

 好きな事やって楽しく自由に生きているから・・・、

だと思うンですよね。
心の快活さが、体の衰えをカバーしてくれているのです。

夜勤のアルバイトも、
本業だけでは食えずに仕方なくやってるわけですから
本来なら辛く苦しいもののはずですが、
愉快な職場環境に恵まれて快適に働けているので、ストレスはほとんど感じません。

大きいですよね、これは。毎日の事ですから。

この、

 アルバイト先が愉快な職場である、

って事の理由の一つに、
これまでにも幾度か述べている、
一緒に働いている外国人の若い子たちの存在があります。
明るくて元気で、ホント、いい子ばかり。

なので今回は、また、
そのアルバイト先の外国人の若い子たちの話から
始めさせていただきましょう(・・・なんか、もう、シリーズ化してきた感じ(笑))。


先々月に入ってきた、
スリランカ人の女の子がいるのですが、
あまり積極的に日本人とは話そうとしない、おとなしい感じの子で、
最初の頃は、
異国の知らない大人たちに囲まれ、とても緊張しているようでしたので、
僕の方からすすんでコミュニケーションをとるようにしました。

3年前、第177回「夢のスリランカ」で、
僕にスリランカの料理を作ってきてくれた女の子の事を述べましたが、
その子との付き合いで覚えた、
スリランカの言葉や文化を会話の糸口にして、ちょくちょく声をかけるようにしたのです。
そしたら、
徐々に心を開いてくれたようで、
最近では、向こうからも話しかけてくれるようになりました。

誠意があれば、言葉以上に心は通じるようです。

・・・で、
昨日も作業の合間におしゃべりをしていたのですが、

 日本語は難しい・・・、

って話から、
漢字も勉強中だという事がわかり、

 簡単な漢字なら読める、

というので、
たまたま近くにあったダンボール箱に印刷されていた “山菜” という文字の “山” を指さし、

 「これ、読める?」

って聞いてみました。

すると、その子は、

 な~んだ、そんな簡単な問題、朝メシ前よ・・・、

って感じの、
自信満々の表情で頷いた後、

 「カワ」

って答えたンです。

思わず吹き出してしまいました。

また、その子も、
僕に笑われてすぐに自分の “凡ミス” に気づき、
慌てて「ヤマ」と言い直した後、
自分のやらかした事でありながら “ツボ” にハマったのか、ケラケラとずっと笑っていました。

なんとも清々しく温かい気持ちになりましたね。

“山” と “川”・・・、
漢字そのものの形が、縦に3本線があって似てなくもないから読み間違えたか、
あるいは、
“山” だと解っていて自分では「ヤマ」って答えたつもりが「カワ」と言い間違えてしまったか、
どちらにせよ、
日本語勉強中の外国人ならではの、可愛らしいほのぼのとしたハプニングに、心が和んだのです。

日本人で “山” と “川” を間違える人は、絶対にいませんからね。
なんたって、
300年以上も語り継がれている『忠臣蔵』では、
赤穂浪士たちが吉良邸討ち入りの際に
敵味方を区別するための “合言葉” として用いているくらいですから。
間違えたら、エラい事です。命に係わります(笑)。


そういえば、この、

 “合言葉”

で、思い出す事があります。
子供の頃に夢中で観ていた『仮面ライダー』の、あれはアリキメデスの回。
一文字隼人と滝和也が、
戦闘員のコスチュームを着てショッカーのアジトに潜入しようとした際、
入り口に門番として立っていた戦闘員に、

 「合言葉は?」

と聞かれ、
一文字隼人が、
 
 「仮面ライダー」

と答えるシーンがあったのです。

その時の本来のショッカーの合言葉が何だったかは不明ですが、
“仮面ライダー” というのは
やはりどうやら違っていたようで、

 それを聞いた門番の戦闘員が「え?」って一瞬戸惑った瞬間に、
 一文字隼人と滝和也はその門番の戦闘員を殴り倒し、アジト内へ入っていく・・・、

という展開だったのですが、
僕は、この、

 “「合言葉は?」・「仮面ライダー」”

ってのが、いたく気に入って、
早速、翌日、
学校で、遊びに取り入れました
(名古屋では『仮面ライダー』は日曜日の放送でしたので、
 月曜日の朝は、たいがい、昨夜観た『仮面ライダー』の話題で盛り上がったものです)。

教室へ入る際に、
クラスメイトに「合言葉は?」って言ってもらって、
「仮面ライダー」と答えてからドアをくぐったり、
あるいは、役を替えてその逆をしたり、
はたまた、
事情を知らないクラスメイトが教室に入って来ようとした際に、
「合言葉は?」と聞いて「仮面ライダー」と答えられなければ通せんぼしたり・・・、
そんな事を繰り返して、楽しんでいたのです。

・・・え? 何が面白いンだって?

ハハハ。
面白かったンですよ、当時は。
なんたって、子供(小学1年生)でしたから。

ただ、
あまりに何度も繰り返すので、
僕ほど『仮面ライダー』を崇拝していないクラスメイトは
そのうち飽きてしまって、
「合言葉は?」って聞いてくれなくなったり、
「合言葉は?」って聞いても「仮面ライダー」とは答えず、
「ウンコ」とか「プ~ッ」とか、
ふざけた答えを返してきたりするようになってしまいましたけどね。

もう一度言いますが、
なんたって、子供(小学1年生)でしたから(笑)。


・・・というわけで、
今回取り上げるキャラクターは、
その “「合言葉は?」・「仮面ライダー」” の回の登場怪人、アリキメデスです。
   
アリキメデスは、女王蟻の改造人間。
殺人蟻の大群を操り、
触覚から鋼鉄をも溶かす真紅の蟻酸を発する、恐ろしい怪人です。

子供の頃は、ただそのまま、

 女王蟻(=女)の怪人、

って認識で、
とくに強い思い入れもありませんでしたが、
大人になった今は、

 せっかく女王蟻(=女)なのですから、
 あんな蟻のお化けのような被り物ではなく、
 同じショッカー怪人の蜂女程度のメイクを施した “顔出し” で、
 例えば、杉本彩さんのような妖艶な美人女優が
 ボンテージ風なハイレグレオタードに網タイツ・・・
 とまではいかなくても、
 それっぽい衣装を着て、鞭でも持って演じてくれたら、
 さぞや魅力的であっただろうなぁ・・・、

って、ちょっぴり口惜しく思いますね。

・・・あ、“女王蟻” と “SMの女王様” は違うか(苦笑)。 
   
   





バンダイ製、全長約27センチ。

番組放映時に発売されていた、
いわゆるスタンダードサイズのアリキメデス人形です。

実物のアリキメデスは、蟻ゆえに複眼でしたが、
人形の方は、複眼にせず、このように大きな目ン玉を勝手に描き込んで、
愛嬌のある顔になるよう、幼い子供向けにデフォルメされています。

それにしても、
世の中にこんなにもつぶらな瞳があるのか、ってくらい、つぶら(笑)。

そのせいで、
僕が勝手に思い描いているSMの女王様のイメージからは
かなり遠退いてしまっていますが、
こんなあどけない表情で “女王様” と言われると、逆にゾクッとします。

深いですよねぇ、エロティシズムは・・・。
                  だから、“女王蟻” と “SMの女王様” は違う、って!  ←1人ボケツッコミ(笑)


とにかく、
このつぶらな瞳が発する理屈抜きの可愛らしさが、
以前、第187回「ソフビ怪人散歩」の中でも述べましたとおり、
この人形のいちばんの魅力、なのであります。


・・・本当に可愛らしい。
 
     
     
同じく番組放映時に、
ポピーからは
ミニサイズのアリキメデス人形が発売されていました。

全長約12センチ。
僕は子供の頃、赤い方を持っていたのですが、
買ってもらった時の事もよく憶えています。

法事で親戚一同が母親の実家に集まった際に、
その近所のオモチャ屋で、伯母が買ってくれたのですが、
その時一緒にいた3歳下の従弟が、
いつもは必ず僕と同じものを欲しがるのに、
その時だけは、

 「アリキメデスは女の怪人だで、要らん」

と言って、
ほかの怪人のミニ人形(トリカブト)を買ってもらったンですよね。
それが印象的だったので、記憶に残ってるンです。
     
確かに、アリキメデスは、
戦闘能力がそんなに高くないと思われる怪人なのですが、

 女の怪人は男の怪人より弱い。
 よって魅力無し、

っていう従弟の単純な思考を、

 幼稚だなぁ・・・、

って思ったのでした。

まぁ、
小学1年の僕より3歳下、って事は、幼稚園の年少ですから、
そりゃあ幼稚だろうし(笑)、
女性怪人の魅力など、解らなくて当然だったでしょうけど。 


ただ、
アリキメデスを見下された事が気に入らず、ずっと心に引っ掛かっていた僕は、
その従弟とミニ怪人人形で遊ぶ際には、
毎回、必ず、僕のアリキメデス人形と従弟のトリカブト人形を闘わせ、

 蟻酸を浴びせられてトリカブトが敗れる、

ってストーリーを展開させて、

 お前の買ってもらったトリカブトは、僕の買ってもらったアリキメデスより弱いンだ!

って事を
執拗にアピールしてたので(どっちが幼稚やねん(恥))、
或る時、

 「なんで、いっつもトリカブトが負けるンだぁ!?」

と、ついに反発してきた従弟と喧嘩になり、

 「仲良く遊びなさい!」

と、親に叱られました(苦笑)。
     



さて、
今回のアリキメデス人形紹介のきっかけとなった、
“山” を “川” と間違えた、そのアルバイト先のスリランカ人の女の子ですが、
今朝、帰り際に、

 「コトシ イツマデ シゴト?」

と聞いてきたので、

 「12月31日まで、ずっとだよ。1月1日も・・・」

と答えたら、
アリキメデス人形並みに目を丸くして驚いてました(笑)。



 「パーティー、シナイノ?」

とも聞かれ、

 「コロナが怖いから、しない」

と答えましたが、
彼女も家族もいない僕には、クリスマスも大晦日もお正月もありませんので、
コロナ禍に関係なく、
そもそも、パーティーなどあるはずもありません。

ひたすらアルバイト、の年末年始であります。

・・・あ、でも、
これは愚痴や嘆きではありませんよ。
この御時世、働き口があるというのは、とても幸運な事ですし、
しかもそこが、
心と体の健康が保てる愉快な職場なのですから、何の不満もありません。
ありがたい話です。感謝、感謝。


・・・でも、
役者としてもっと充実するには、
芝居だけでは食えずアルバイトしているこの現状に、少しは不満を抱いてなきゃダメですかね?(苦笑)


まぁ、そんなわけで、
皆さん、どうか良いお年をお迎え下さい。

来年もよろしくお願いしますね。
合言葉はもちろん、“「ソフビ」・「大好き!」” で・・・(笑)。








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