真水稔生の『ソフビ大好き!』


第62回 「アナクロ 〜時代遅れのソフビ入手法〜」 2009.3

僕が蒐集しているソフビ怪獣人形は、
マルサンやブルマァクなどの古いものだと
30〜40年も昔の商品なので、
現在は絶版であり、当然、今オモチャ屋へ行っても売っていない。
バンダイ系の現行品は、
発売されたらすぐ買うようにしてきたけど、
コレクターになる以前(今から20年以上前)に発売された商品となると、
やはり絶版なので、オモチャ屋へ行っても売っていなかった。
とにかく、
当たり前の事ながら、
過去の商品は、今のオモチャ屋では買えないのである。

では、
そんな厄介な物を、どうやって手に入れるのか。

一般的には、
ネットオークションによる購入が最近の主流のようであるが、
実は、
僕はそのネットオークションというものが、とっても苦手。
誰かと購入額の高さを競い合う、という行為自体が
すでに性格的にも経済的にも向いていないのだが、
何より、そもそも、
どこの誰だかわからない人から
どんな状態かよくわからないソフビを買う、なんて事が僕には信じられないのである。
そんなの、ただ不安なだけで、
何が楽しいのか、さっぱりわからない。
それで、
購入していざ届いてみたら思っていた状態と違ってた、なんて話もよく聞くし、
お金を送ったのに商品が届かない、なんて酷い例もあるというのだから、
僕にはとても無理。
趣味・道楽の世界で、そんな悲しい思いはしたくない。

それでも、
 「安く買えた」
 「うまく落とせた」
なんて喜んでいる人が知り合いにも何人かいるので、
以前2、3度アクセスしてみたが、
もう、
目は疲れるし、肩は凝るし、腰は痛くなってくるし、ただ辛いだけだった。
やっぱり苦手だと痛感した。

アンティークソフビは、
実際に商品を手に取り、その良さを自分の目で確かめて、
売り手と話をして、納得して買うからこそ満足出来るものだし、
そこがいちばん楽しいところだと思う。
買い方や入手の際の状況は、ソフビ蒐集の魅力の重要なエレメントなのだ。

もしかしたら、
買ったものを眺めて悦に浸る至福の時よりも、
それを買う瞬間の方が、幸せな気持ちの盛り上がり度は高いかもしれない。

生活用品・消耗品を買うのではなく、
言ってみれば、夢や思い出を買うわけだから、
安く買えればそれでいい、なんてものではないのだ。

だから、
そんないちばん肝心な過程を排除して、しかも結果が一か八かの博打では、
いったい何のための趣味なのか、僕は首を傾げざるをえないのである。


なので、
そんな、流行についていけない僕のソフビ入手手段は、
いまだに、昔ながらのこの3つ。

@ 昔からやっているオモチャ屋や
  もう廃業してしまったオモチャ屋を調べて訪ね、
  倉庫の中を見せてもらい、売れ残り品を買う。

A 骨董市やTOYショーなどのフリーマーケットに出かけ、
  掘り出し物を探す。

B 専門店(いわゆるアンティークTOYショップ)で
  プレミア価格の物を買う。


今回は、
この@〜Bの、僕の “アンティークソフビ入手法” について、述べてみる事にする。

まず、@は、“ハンティング” と呼ばれている行為で、
オモチャを愛するマニアやコレクターとしては、基本中の基本である。
懐かしいオモチャと出逢うため、
常にアンテナを伸ばし、
ほんの少しでも情報や可能性があれば飛んでいく。

最近はめっきり機会が減ってしまったが、
10年くらい前までは、僕もいろんな所へよく出かけたものだ。

でも、
行けば必ずそこに目当てのオモチャがあるというわけではないし、
むしろ何も無い事の方が多い。
それに、
以前にも述べたように、
僕が始めた頃はゴールドラッシュの後の後、
先輩コレクターや古物業者の方々に、ほとんどのお店が開拓されていて、
表現はよくないが、“荒らされた状態” である場合が多かった。
だから、
運良く昔のオモチャが残っているお店に当たっても、
いわゆる “いいところ” は既に抜かれていて、
僕が買って帰るものは、残り物の残り物の、また更に残り物だったりした。
また、
マナーの悪い先輩もいたようで、
散々倉庫の中を引っかきまわしたあげく、
目当ての物が無かったからといって何も買わずに帰ったり、
ろくに挨拶もしないで立ち去ったりした非常識な人たちのおかげで、
僕とその店の人とは初対面であるにもかかわらず、
敵意むき出しの対応で門前払いされる事も何度かあった。

そんな廃った時期のハンティングではあったが、
もしかしたら今度こそ・・・、
と続ける宝探しのような感覚は、やはりたまらなく楽しかったし、ときめいた。

 あればラッキー、なくてもロマン、探す行為がすでに夢、

なんて誰かが言ってたけど、
まさにその通りで、
収穫があってもなくても胸が躍るという、実に愉快なものだったのだ。

それに、
なにも毎回毎回冷たく門前払いされるわけではなく、
「遠い所をよく来たね」なんて歓迎されて
お茶や食事を御馳走になったり、
世間話から発展して、
お店が繁盛していた頃(昭和40年代のオモチャ黄金期)の話を
いろいろ聞かせてもらえたりして、
充実した楽しい時間を過ごせる場合もあったので、
少ない収穫品とともに、その経験は、今でも僕に元気や癒しを与えてくれている。

たとえば、
こんな思い出がある。

何年か前に廃業した、という或る古い玩具店を訪ねたら、
当然のごとくシャッターが閉まっていたので、隣の喫茶店に入り、情報収集する事にした。
昼時でお腹も空いていたので
コーヒーとスパゲッティのナポリタンを注文し、
食べ終えてから、
カウンターの中にいた中年の男性(マスター)に

 「隣の玩具店をやられてた方と連絡が取りたいのですが・・・」

と話しかけたら、
なんと、その玩具店をやっていたという老夫婦の息子さんだった。
奥にある従業員専用の出入り口が、隣のシャッターの閉まった旧店舗に繋がっていて、
マスターは、

 「何も残ってないと思うけどなぁ」

と頭を掻きながら、
現在は家族の物置として使用しているというその中に、快く僕を通してくれた。

 「まぁ、好きなだけ見ていって」

と言われて、一人残された薄暗いその室内には、
積み木や手押し車など、玩具店営業時の売れ残り品と思われるものが
埃だらけのビニール袋をかぶって眠っていた。
床に転がっていた起き上がりこぼしを蹴飛ばしてしまい、
コロンコロンとチャイム音が鳴った。
宝探しスタートの合図のような気がした(笑)。

だが、
そんな数点の幼児玩具以外は、
衣類らしき物が入った半透明の収納ケースや
掃除機、ストーブ、携帯用ガスコンロ、工具箱などといった生活用品が
主な住人としてスチール棚に整理されているだけで、
確かに、そこは家族の物置と化していた。

僕が期待していたソフビ人形などのキャラクター玩具は、
全く残っていないようだった。

 「仕方が無い。積み木やさっき蹴飛ばした起き上がりこぼしでも買って帰ろう」

と、あきらめかけたその時、
スチール棚のいちばん下の段に入れてある紙袋からこぼれ落ちたと思われる、
通知表やテスト用紙が、床に散乱しているのが目に入った。
ずいぶん黄ばんでいたので、
マスターが学生時代のものかな、なんて思いながら拾い集め、
紙袋に戻してあげた。

すると、
その紙袋の奥に、ダンボール箱がひとつ押し込んであるのが見えた。
ガムテープなどで特に封はしていなかったので、
引っ張り出し、そっとフタを開けてみた。
その瞬間、
まるでポップアートを見た時のように、いろんな鮮やかな色が目に飛び込んできた。
薄暗い室内が急に明るくなった気がした。

オモチャだった。

ハンティングに出かけて初めての収穫だったので、
よく憶えている。
ビニール袋に入れられたスーパーボールやヨーヨーなどと一緒に、

 『ロンパールーム』の風船、
 『魔法のマコちゃん』や『原始少年リュウ』のジグソーパズル、
 『超人バロム・1』のかるた、
 『変身忍者嵐』のソノシート付き絵本、
 『ウルトラマンA』のコインケース、
 『仮面ライダーX3』の絵が付いたストップウオッチのオモチャ、
 『およげ!たいやきくん』の消しゴム人形、
 『ぐるぐるメダマン』の合金玩具、
 『5年3組魔法組』のマジッカーのプラモデル
 『コメットさん(大場久美子版)』の着せ替えセット、

などなど、
チープだけど僕の世代には涙物の懐かしいキャラクター玩具たちが、
いくつかダブりながら色々詰まっていた。

おそらく、
廃業時に残っていた細かい商品をこの箱にまとめて入れておいたのだろう。
しかも、底の方には、
目当てであるコレクションの対象も、ちゃんとあった。
ロボペチャとロボゲラのミニソフビが2個づつ。

嬉しかった。
めちゃくちゃ気持ちが高ぶった。

一旦喫茶店に戻り、
そのダンボールごと売ってほしい旨を伝えると、
マスターは、

 「そんなダンボールあったっけ?
     そんなのいくらで売ったらいいか、わかンないよォ」

と言って戸惑いながら、
コーヒーとナポリタン代よりも安い額を提示した。
商談成立。

僕はとても幸せな気持ちで隣に戻り、
そのダンボール箱を抱えてきた。
ウエイトレスの女の子の不思議そうな視線を感じつつも
ウキウキ気分でお金を払おうとした僕に、
マスターが、
ダンボール箱の中を覗きながら、

 「どっから引っ張り出してきたのォ?
         よく見つけたねぇ、こんなモン」

と言って笑ったので、

 「通知表の入った袋の奥にありました」

と答えた。
するとマスターは、

 「えっ、俺の通知表を見たの?
  ・・・参ったなぁ。
  このオモチャ全部タダであげるからさァ、
  成績悪かった事、近所の人には内緒にしといてよォ」

と言って、
お金を受け取らなかった。

こういうのを “粋な計らい” というのだな、と思った。
この時まだ二十代前半の若僧だった僕は、
大人のコミュニケーションを味わえた気がして、
なんだかちょっぴり得意な気持ちになったのだった。

家から車で片道2時間以上もかかる遠い場所だったが、
疲れる事など一切なく、
揚々とした気分で、鼻歌交じりに帰路についた次第である。

そもそも、売れ残っている商品を買ってくれるわけだから、
お店の人からすれば、ありがたい話である。
なので、
先輩方が礼儀正しくしておいてくれたお店や、
初めて倉庫に入る “ハンター(笑)” が僕であるお店では、
このように、
いつもお店の人は笑顔で優しくしてくれて、
とても楽しいひとときを過ごす事が出来るのである。

今、改めて、
おもちゃハンティングって良い趣味だなぁ、と
しみじみ思う。


ロボペチャ

ポピー製、全長約12センチ。
昭和49年の秋から約2年半にわたって放送された、
人気番組『がんばれ!!ロボコン』に登場する、
看護婦の見習いロボット。
ロボコンの事が好き好きでたまらず、
やたらとロボコンを追いかけまわしていたが、
この顔でロビンちゃんと張り合おうとするのだから、
あの強靭な精神力は、
我々人間も見習わなければならないだろう(笑)。
右腕の巨大な注射器を振りかざしての
「オチューするわよ」の決め台詞は、
今でも忘れらない強烈なインパクトがあった。

・・・この人形を見ていて、ふと思った。
女の人は強くて恐い、
というイメージを僕に植えつけたのはこいつか?(笑)



ロボゲラ

ポピー製、全長約12センチ。
同じく『がんばれ!!ロボコン』に出てきた、
僧侶の見習いロボット。
頭が木魚、というシンプルで解り易いデザインが好きだった。
ロボゲラと言いつつ、
ゲラゲラ笑ってばかりではなく、
エーンエーンと泣いてた印象も結構強い。
喜怒哀楽の激しいヤツだった。

でも、僕は、
この人形を、あの喫茶店の隣の倉庫から連れ出して約20年、
愛しいコレクションとして大切に大切にしてきたので、
エーンエーンと泣かした事は、一度も無いはずだ。
もちろん、
これからも今までどおり慈しみ、可愛がってやるつもり。
そして、僕自身も、
泣くよりも笑っていられる事の方が多い人生を、
歩んでいきたいものである。

   
   『がんばれ!!ロボコン』関連のオモチャで代表的なものは、
   やはり、時代的に超合金という事になるのだろうが、
   度重なる失敗にもめげず頑張るロボコンをはじめ、
   この、
   恋したために理性を失ってしまうロボペチャや
   笑ったり泣いたりが忙しいロボゲラなど、
   人間以上に人間臭いロボットたちのキャラクター性は、
   冷たい金属よりも、ソフビのなんだか湿った質感の方が似合っている気がする。

   20種以上ある、このサイズのロボコンの仲間たちのソフビを、
   僕は後に全員揃えた(第13回「玩具協力スタッフ奮闘記」参照)わけだが、
   このロボペチャとロボゲラは、
   その中でも特別の存在となった事は言うまでも無い。
   コーヒーやナポリタンの香りに乗せて、
   粋な大人のコミュニケーションを喫茶店のマスターが教えてくれた思い出の品、
   そして、記念すべき、
   おもちゃハンティングで収穫した僕のコレクション第1号だからである。



次に、Aの、骨董市やTOYショーで掘り出し物を探す事についてだが、
これも、ハンティング同様、
“何かあるかもしれない” と期待しながら胸躍らせる実に楽しい行為で、
そういうイベントがあると、今でもよく出かけている。

特に骨董市は、
朝早くから、神社やお寺の境内で開催される事が多く、
僕はあの雰囲気が生理的に好きなので、ついついテンションが上がってしまうのだ。
早朝の清々しさと、
神様の近くにいるという厳粛な空気感に、なぜか骨董品はよく似合う気がする。

お皿やランプや掛け軸などの中から、
目当てのソフビ人形を見つけ出した際には、
まさに “神様のおかげ” と手を合わせたくなってしまう。

それに、
あの独特のムードや光景は、
普通の買い物では絶対に味わえないものだ。

 朝っぱらから缶ビールやワンカップ大関などを片手に談笑している人たち、
 冗談を言いながら無茶な値段交渉する客、
 煙草を吸いながらタメグチで接客する出店者・・・。

その空間、その場所にいるだけで、なんだか楽しくなってくる。



ブロッケン

ブルマァク製、全長約15センチ。
昭和47年放映の『ウルトラマンA』に出てきた超獣。
こんなにも迫力に満ちた造形の人形を、
当時のブルマァクは当たり前のように連発していた。
技術力が乗りに乗っていた時期の商品である。

実は、これ、
20年前、初めて行った骨董市で購入した、
記念すべき人形なのだ。
すいぶんと色焼けしてしまっているので、
コレクター仲間に見せると
「状態が今イチ」などと言われて馬鹿にされるが、
僕としては、お気に入りの一品。


 神社の敷地内で開催されていた骨董市だったので、
 掘り出し物を探す前に、まず参拝した。
 それが良かったのか、
 その直後に見つける事が出来、
 なんだか
 神様が引き合わせてくれた気がしてならない。
  
 しかも、
 先客のご婦人(どことなく女優の朝丘雪路さんに
                  雰囲気が似ていた)が、

  「なんだかグロテスクだけど、
           おもしろい形だわね」
 
 と言って購入しようとしているところだったのだが、
 僕の熱い視線(笑)に気づいて、

  「これ、何のキャラクターか御存知?」

 と聞いてきたので、

  「『ウルトラマンA』に出てきたブロッケンです」

 と教えてあげたら、

  「お好きなのね。よかったら、どうぞ」

 と、僕に買う権利を譲ってくれたのだ。

  「え? いいンですか?」

 と驚く僕に、そのご婦人は、
 提げていた白いビニール袋から
 不二家のペコちゃん人形を取り出し、

  「今日はこれが買えたから、私、いいの」

 と微笑んだ。
 ペコちゃんの良さもブロッケンの良さも解るとは、
 「オヌシ、出来るな」と思いながら(笑)、
 ありがたく御言葉に甘えさせていただき、
 買わせてもらった。
 出店者のオジサンも、

  「お兄ちゃん、よかったね」

 と笑顔で売ってくれた。
 しかも、
 当時マニア間で取引きされている額より
 ゼロがひとつ少なかったので、
 まさに “掘り出し物” だった。

 その後、これまでに、
 色焼けしていない綺麗なブロッケン人形と
 何度か出逢ったが、
 そんな購入時の経緯もあり、
 買い換えよう、という気にならなかった。
 たぶん、
 これからも買い換える事は無いだろう。

  「コレクションすべきは、
       “物” ではなく “心” である」

 と、神様が、コレクターに成り立てだった僕に
 教えてくれた気がするからである。
 あのご婦人は、神様の遣いだったのかな(笑)。



最後に、Bの、アンティークTOYショップでの購入についてだが、
これは、もう、
この『ソフビ大好き!』の連載でお世話になっているゲイトウエイさんに
入り浸っている日常からして、
僕のライフワーク(笑)と言っても過言ではない。

興味の無い人からすれば、
信じられないくらい高い金額を支払っての買い物になるが、
安心して買える、最も確実な手段だし、
お店の人や、他の常客さんたちと話し込んだり仲良くなったりすれば、
世間話をしながら情報収集や知識の吸収も出来るし、
愚痴をこぼし合ったり、時には夢を語り合ったり、
こんなに楽しく有意義な事は無いのである。


 グランドキング
 バンダイ製、全長約16センチ。
 昭和59年公開の映画『ウルトラマン物語』に登場した超合体怪獣。

  まず、向かって左端のものは、
  映画公開時の市販品(いわゆる初版)で、
  僕がコレクションを始めた頃には絶版となっていたが、
  或るアンティークTOYショップを通して知り合った方が           
  四国方面のオモチャ屋へ
  ハンティングに行った際に見つけて、

   「真水さんが喜ぶと思って・・・」

  と余分に買ってきてくれた、泣かせる一品。
 

  真ん中のものは、
  平成3年のバンダイのキャンペーンにおける懸賞品で、
  残念ながら抽選には当たらなかったけど、
  ゲイトウエイさんに行ったら
  店長の杉林さんが
  値札を付けて商品棚に並べる瞬間だったので、
  迷わず即購入した、という幸運な一品。
  
  抽選に当たった人が
  ゲイトウエイさんに売りに来た直後だったらしい。             
               
   「これは問い合わせの多い商品だから、
    置いといたら、たぶんすぐ売れたと思うよ。
    真水さん、絶妙のタイミングだったね」

    「タイミングも何も、毎日来てますからね、僕(笑)」

    「それもそうだね。
     まぁ、こんな店でも、
     毎日来ればたまにはいい事もある、という事だよ」
 
  杉林さんとそんな会話をしながら、
  アンティークTOYショップをマメに覗く事の重要さを
  僕は改めて痛感し、
  また、自分の地元・名古屋に
  それが可能なお店がある事を幸せに思い、

   「いつもありがとうございます」

  と頭を下げた。
  すると、

   「それは、お店がお客さんに言う言葉」

  と杉林さん。
  二人で大笑いした。

  ちなみに、
  左の初版の人形と比べて、ひとまわり小さくなっているのは、
  金型が紛失していたため
  初版の人形から型を取り直して、この人形が作られたからである。
  ひとまわり大きさが違うだけで、ずいぶん迫力や存在感に差が出るものだ。

  右端のものは、
  平成5年に東京で開催された、
  ウルトラマンフェスティバルの会場限定商品で、
  東京の
  或るアンティークTOYショップで知り合った方が、           

   「名古屋じゃ手に入らないだろうから」

  と、わざわざ僕の分も買って送ってくれた、
  これまた泣かせる一品。

アンティークTOYショップでは、
このように、多くの人と知り合い、いろんないい思いをさせてもらえた。
コレクションの充実に比例して、
コレクション以外の財産もたくさん得る事が出来たのだ。
とても幸せに思うし、感謝してやまない。


長々と思い出話をしてきたが、
@もAもBも、
誰かとの “心の触れ合い・通い合い” が不可欠な入手手段であり、
また、
それだからこそ楽しい趣味・道楽と言える、という事が言いたいのである。
ひとりきりでは、
僕はきっと今日まで続けてこられなかったと思う。
続けてこられたとしても、
現在ほどの充実度や幸福感は持てていないだろう。

だから、僕には、
“ネットオークションでの購入” というのが、理解出来ないのである。

確かに便利だし、流行りだし、
これからも多くの人に重宝されていくだろう。
僕だって、マメにチェックすれば、コレクションは今より充実するかもしれない。

だけど、
ひとりでパソコンの画像を見ながら
マウスやキーボードをカチャカチャいじっていたって、
そこには、
粋な計らいをしてくれる喫茶店のマスターも、
思いやりで購入権を譲ってくれるご婦人も、
自分の買い物と一緒に僕の分も買っておいてくれる優しい友達も、
一切存在しない。

つまり、人の “心” に触れる事が出来ないのである。
淋しいかぎりである。

僕はソフビを安心して確実に手に入れたいし、
それが自分の趣味・道楽である以上、エンジョイしたい。
オモチャなのだから、優しさや温もりも欲しい。
“物を集める” という作業が、孤独で暗い印象である分、
誰かと繋がりながら、明るく元気良くやりたい。

だから、
古臭い、と言われようが、
遅れてる、と言われようが、
僕は、これからも
@〜Bのような方法で、ソフビを集めていくだろう。
ネットオークションが肌に合わない以上、
@〜Bのような方法でしか、僕は楽しめないのである。




ちなみに、
僕がネットで買うのは、
ソフビではなく、もっぱらこういう物。

大好きなAV女優・水野さくらさんのDVD。    
向かって左から、
『人質女の性的虐待』、
『秘密の時間』、
『完全調教SMファック』。

・・・え?
そんなの写真付きで紹介しなくていい?
失礼しました(笑)。



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