真水稔生の『ソフビ大好き!』


第71回「極私的ソフビ怪獣人形史・その2」  2009.12

この『ソフビ大好き!』が、
ゲイトウエイさんのホームページ上で毎月の連載になってから、
丸5年経った事を記念して、
マルサン → ブルマァク → ポピー → バンダイ というソフビ怪獣人形の歴史をコレクションする、
という僕の蒐集コンセプトに基づき、
約40年に亘るソフビ怪獣人形という玩具の移り変わりを、
前回と今回の2回に分けて紹介していますが、
今回はその後編、ポピー期とバンダイ期について、です。

もちろん今回も、
前回同様、時代による違いやメーカーによる違いをわかりやすくするため
対象怪獣をレッドキングに絞り、
その上で、僕の思いを綴っていこうと思います。

それでは、始まり始まりィ〜。



ポピー期(昭和53年〜57年)

昭和52年、ブルマァクが倒産。
すると、
当時バンダイの子会社(子供向けテレビ番組のキャラクター玩具の製造・販売を担当)だったポピーが、
すぐさま、新しいソフビ怪獣人形を、
一挙になんと35種類も市場に送り出して、業界を制圧しました。
それは、
マルサンやブルマァクとは大きさが異なるもので、
足の裏にそれぞれの怪獣の足型がモールドされた、新感覚のソフビ怪獣人形、と言えるものでした。
キングザウルスシリーズ(別名:足型シリーズ)という商品です。

ポピーは、
仮面ライダーやショッカー怪人のミニソフビをはじめとする、
いろんなソフビ人形を世に送り出していた実績があったし、
ソフビの人気が下火になってもブルマァクのように衰退したりせず、
変身ベルトや超合金やジャンボマシンダーなど、
子供の夢や期待に応える優れた玩具を続々と生み出しヒットさせていたので、
そんな地力の強さから、
いとも簡単にブルマァクに替わる事が出来たのだと思います。

ただし、
以前、第15回「足型の足跡」でも述べたように、
造形に関しては、
時代のニーズに応えて実物の怪獣に似せたリアルなものにするか、
それとも、
やはり、従来どおりデフォルメを施すか、
ポピーは迷っていました。
それくらい、
マルサンやブルマァクが玩具業界に遺したソフビ怪獣人形のイメージが強大だったンだと思います。
それゆえ、
怪獣によっては、
リアルな造形であったり、デフォルメされた造形であったり、
はたまた、どっちつかずの中途半端な造形であったり、と
実に興味深い広がりを見せています。

そんなポピーのレッドキング人形が、これです。

全長約16センチ。
キングザウルスシリーズ
マルサン・ブルマァク時代にミドルサイズとされていた大きさが、
ポピーではスタンダーダドサイズとなりました。

僕が中学から高校に上がる頃に発売されていた商品ですので、
このキングザウルスシリーズの事は、まったく知りませんでした。
社会に出てコレクターになって初めてその存在を知り、興味が湧いて集め始めたのですが、
最初、これがレッドキングだとはわかりませんでした。

 君は何? 誰?

って感じでした(笑)。
レッドキングをどんな人形にするか迷ったあげく、
玩具化の目的を見失ってしまった感じです。
キングザウルスシリーズの特徴を物語る、なかなか趣深い人形ではないでしょうか。
それに、
若干細身ではありますが、躍動感もあるし、
決して安易なデフォルメ路線には流れていない造形なので、
レッドキングだと思わなければ(笑)、
結構、イカしたソフビ怪獣人形だと思うのですが・・・。


こちらは、
お菓子の景品だったクリアー成形タイプの人形です。


キングザウルスシリーズと同じ型から作られているので、足型のモールドもちゃんとあります。
ただし、
型が横流しされて、
メーカーの刻印ごとコピーされたクリアー版が出回っていた、という噂もありますので、
海賊版の人形である可能性もあります。
もう今となっては、
どれが本物でどれが海賊版かなんて誰にもわかりませんので、
僕は、クリアー成形のものはお菓子の景品、という事にしています(笑)。


また、ポピーは、ブルマァク同様いろんなサイズの人形も発売しました。

全長約27センチのグレートザウルスシリーズ

キングザウルスシリーズのデッカいサイズ版、という事で、
こういう名称になっています。
シリーズと言っても、
ほかにはバルタン星人とゴジラしか、
このサイズでは発売されていませんが・・・。
足型のモールドもちゃんとあります。

そして、
以前、第46回「いかにも名古屋」の中でも紹介したましたが、
このサイズにも、海賊版が存在します。



向かって左から、
正規品、海賊版(赤)、海賊版(クリアーグリーン)、海賊版(蓄光)
海賊版は3種とも全て正規品と同じ型ですが、
サイズがひとまわり小さいので、
型の横流しではなく、
正規品そのものから型を抜いて作られたものかもしれません。

また、
海賊版の足の裏には、足型はモールドされていません。



こちらはミニサイズ。ともに全長約10センチ。


両者とも、
足型のモールドはありません。

向かって左側の人形は、
ペンダントとしても発売する予定だったのか、
このように、
鎖を通す穴の目印のようなくぼみが、
頭頂部にあります。





バンダイ期(昭和58年〜現在)

さぁ、いよいよ、バンダイの時代です。
昭和58年に、株式上場を目的としたバンダイグループの再編に伴い、
バンダイはポピーを吸収合併しました。
そして、
21世紀の今日まで続く超ロングラン商品となる、
ウルトラ怪獣シリーズ(当初の名称はウルトラ怪獣コレクション)というソフビ怪獣人形の発売を
開始します。
大きさは、ポピー時代のサイズが踏襲されましたが
足型のモールドは廃止され、
徹底したリアル志向の造形になりました。
その後、
カラーリングや造形を、あるいはソフビの素材を変更しながら、
今日まで四半世紀以上もの間、販売を続けています。
つまり、
ソフビ怪獣人形という玩具の歴史の半分以上が、
この商品の歴史になるわけですから、これは凄い事だと思います。
いったい、どれだけの世代の子供が、このシリーズのソフビで遊んできたのでしょうか。

  これが昭和58年に発売された、初版です。
  全長約17センチ。
  キングザウルスシリーズのレッドキング人形と異なり、
  ひと目でレッドキングだとわかります(笑)。
好きな色に塗装して
自分だけの怪獣を作ろう、という趣向か、
同じ型・同じサイズで、
白い成形色の無塗装人形も発売されていました。


・・・それにしても、昭和58年発売とは古いです。
26年も前のオモチャですので、
現在45歳の僕が成人する前に発売されていた商品、という事になります。
コレクターになった24歳の時に懐かしくて涙していたのは、
自分が5、6歳の頃のオモチャであるマルサンやブルマァクのソフビですから、
その時の振り返った20年の月日よりも、
更に多く振り返らないと、今この人形の思い出にはたどり着けないわけです。
バンダイという会社が倒産せずにちゃんと存在しているため、骨董玩具としての価値は低いかもしれませんが、
立派なアンティークTOYだと思います。



昭和62年、カラーリングが変わりました。
唯一この時期のみ、
マルサンやブルマァクと同じように、人形を袋に入れて販売していました。

僕はこの頃コレクターになったので、
初版の人形が
体にタグを打ち込まれて裸の状態で店頭に並んでいた事は知りませんでした。
なので、
それを知った時、
そして、この後そういう売り方に戻った時は、とてもショックを受けました。
なんだか人形が痛そうで可哀想だし、
子供が
買ってもらったオモチャの箱や袋を開けるワクワク感を持てないから、
楽しみがひとつ減らせれてる気がしたからです。
今でもそれは思っているし、ずっと不満に感じています。


カラーリングは、その後も何度か変更されています。

    平成3年発売      平成6年発売      平成7年発売

向かって右端の人形が、
真ン中の人形の翌年に発売されているのは、
PL法対策として、急きょ、素材を変更して、
軟質ソフビにして発売し直したためです。
その際に、カラーリングや大きさも変わったのです。

現在では『フィギュア王』や『ハイパーホビー』といった玩具情報誌があるので、
このような、カラーリング変更などのリニューアルがあれば、
それを事前に知る事が出来ますが、
僕が集めだした頃は、そんな雑誌も無かったので、
オモチャ屋さんで売られている怪獣人形が
自分の持っている怪獣人形と同じバージョンのものかどうかを
常に気にしていなければなりませんでした。
このレッドキング人形のように、明らかな違いがあればすぐにわかりますが、
中には、
一部の塗装が黄色からレモン色に変わった、とか、
薄く吹いてあったスプレーがなくなった、とか、
そんなレベルの、
実際に並べて見比べないと気づかないような変更の怪獣人形もありましたので、大変でした。

僕は、
自分のコレクションをオモチャ屋さんに持ち込み、店頭で見比べて、
違っていたら買う、という事をしていました。
ただ、
勝手にやってると万引犯と間違えられかねないので、
店員さんに、
僕はコレクターで、ソフビというのは微妙な違いがあって・・・、って事をいちいち説明し、
持ち込むコレクションを事前に見せて、
半笑いされながらもちゃんと許可をもらってから、その作業に取り掛かっていました(笑)。


結構マメにチェックしていたつもりですが、
見逃してしまったカラーリングバージョンがあったかもしれませんし、
セット売りされたものや
海外のみで発売されたものなど、まだ入手出来ていないものもあります。
調査・研究・蒐集の旅は、まだまだ途中なのであります。

このように
幾度もカラーリングを変更してきたバンダイのウルトラ怪獣シリーズのレッドキング人形ですが、
現在では、
よりリアルなものへと造形がリニューアルされています。
それが、この人形。

全長約17センチ。
平成12年に、この造形にリニューアルされたのですが、
この造形になってからも、
微妙なカラーリングの変更は行われています。
向かって左側が平成12年、
右側が平成19年に、それぞれ発売されたものです。

発売当時は “超リアルに再現” などと言われていた初版の人形も、
現在のこの人形と比べれば、
たとえば顔ひとつとってみても、
造形も塗装も、まだまだ未完・発展途上だった事がわかります。

これが、
バンダイ怪獣のいちばん哀しいところです。
実物の怪獣に似せる事だけを追求し作られているので、
カッコいい事は間違いないのですが、
オモチャとしての温かみや精神性が無いため、
より精巧なものにリニューアルされると、
古いものは “技術が低い過去の玩具” としてしか評価されません。
殺伐とした時代ならではのソフビ怪獣人形、と言えます。

だけど、
だからこそ、
何世代にも亘ってソフビ怪獣人形を作ってくる事が出来た、というのも事実。
マルサンやブルマァクのように潰れたりしないで、
バンダイは、制覇したキャラクター玩具の世界に君臨しているわけですから、
その都度その都度、時代のニーズに応えてきた証だと思います。
なので、
このウルトラ怪獣シリーズという商品を、
僕は、バンダイというメーカーそのものの象徴のように感じています。


また、
その四半世紀以上の間にバンダイが世に送り出してきたソフビ怪獣人形は、
このウルトラ怪獣シリーズだけではありません。
僕のような『ウルトラマン』を見て育った世代が
社会に出たり父親になったり、という時代の到来に合わせて、
大人(マニア)向けのものや、親子で楽しめるものなど、
多種多様なタイプのソフビ怪獣人形を発売しています。
以下に、
そんな、ウルトラ怪獣シリーズ以外のソフビ怪獣人形を紹介します。


まずは、このレッドキング人形。

昭和59年に限定発売された、
全長約36センチの大きなソフビ怪獣人形です。
とにかくデカくて迫力満点。
尻尾も30センチ以上ありますし、いちばん太いところで幅が8センチくらいあります。
バンダイ製のソフビ怪獣人形で、唯一、
アレンジして怪獣の魅力を表現しようという “デフォルメ心” が感じられるものでもあります。
ほかには、
バルタン星人とゴモラがありました。
平成に入ってから再販もされました。
塗装がちょっと変更されています。



大きなソフビの次は、小さなソフビを紹介します。
バンダイのミニソフビは、
セット売りされたり、
キャンディートイ(いわゆる食玩)としてお菓子のオマケになったり、
子会社からカラーリングを変えて販売されたり、
いろんなパターンがあります。

たとえば、
下記の3体はどれも同じ型で同じサイズ(全長約9センチ)ですが、
発売時期や販売形態が異なります。

向かって左端は、
昭和58年にセット売りされたもの、
真ン中は、
昭和63年の食玩(同様の人形が一般玩具としてセット売りもされていました)、
右端は、
同じく昭和63年に
当時バンダイの子会社であったユタカ(ハーティロビン)からセット売りされたものです。

昭和の終わり頃の商品ですので、
“オモチャは愛嬌のるもの” とか、“ミニソフビは造形がチープ”とか、
そんな古い常識は一切通用しない時代がやってきた事を、さりげなく物語っているような造形です。


これは、平成7年発売の食玩
全長約8センチ。
商品名は、確か “ウルトラマン全集” だったと思います。
ほかには、
ウインダム人形やアントラー人形などが
ラインナップされていました。

もう時代は平成ですし、
お菓子のオマケですら、
実物にそっくりのリアルな造形が
臆する事なく追求されていきます。



これは、
21世紀になってからの食玩、“ウルトラマンソフビ道” のレッドキング。
全長約9センチ。
平成14年の発売です。

ついに食玩もここまで来たか、というカッコいい造形で、
ミニソフビやお菓子のオマケの概念を完全に変えた人形だと思います。
このシリーズは、
レッドキングをはじめとするメジャー怪獣はもちろん、
ガヴァドンをAタイプとBタイプの両方商品化してくれたり、
グリーンモンスとかミイラ人間とか、通好みなマイナー怪獣まで商品化してくれて、
お気に入りのシリーズだったのですが、
クリアーソフビを利用した、テレポーテーションする際のウルトラマン人形とか、
胸部の反射板を開いてスペシウム光線を跳ね返しているところのバルタン星人2代目人形とか、
おかしなもの(マニアックすぎる、という意味で)がラインナップに登場しだしたので、

 あれ? なんかおかしいぞ。

と思っていたら、
案の定、不安が的中して、シリーズが終わってしまいました。
あのまま、普通に歴代のウルトラ怪獣を商品化し続けていってくれたら、
相当楽しかったのになぁ、と
いまだに残念に思っています。

それにしても、
商品としてはあくまでお菓子なのに、
“ソフビ道” などと、
オマケであるオモチャの材質が商品名になっているのは、
考えてみればおかしな話です。
まぁ、
この商品をお菓子目当てで買う人はまずいないでしょうから、
別にいいンですけど(笑)。


そして、
現在も続いている食玩のシリーズは、
主にヒーローと怪獣という形で、
2体のソフビがお菓子のオマケとして入っている、“対決セット” です。

対決セットのレッドキング人形。ともに全長約9センチ。
向かって左側の人形は、
ウルトラマン人形とのセットで、平成17年に発売されたものです。
右側の人形は、
同じ型でカラーリングを変えて、
『ウルトラマン80』に登場したレッドキング3代目の人形として発売されたものです。
もちろん、ウルトラマン80人形とのセットで、
こちらは平成19年の発売でした。

ちなみに、これは、
平成18年に、
食玩ではなく一般玩具のミニソフビとして、
ゼットン人形やキングジョー人形などとセット売りされた、
“不滅の怪獣セット” の中のレッドキング人形。
全長約11センチ。
食玩の対決セットのレッドキング人形とよく似ていますが、
このように大きさがかなり違うし、
よく見ると、異なる型から作られている事がわかります。


これは、
食玩やミニソフビとはうってかわって、
全長約30センチ、と
再びデカい人形です。
さきほど、レッドキング3代目の人形を紹介しましたが、
これは、レッドキング2代目の人形。

バンダイの子会社であるバンプレストが
コンビニで展開している “くじ引き商品” で、
レッドキング3代目の食玩人形と同じく、平成19年に登場しました。
ファミリーマートで1回500円のくじを買って、当たるともらえたもので、
ほかにはゴモラ人形もありました。

躍動感を出そうとしたのか、不自然なくらい体を捻っていて、
なんだか楽しそうな人形です。
・・・と思ったら、
ホントに楽しそうな顔してました(笑)。



このように2代目とか3代目とか、
レッドキングは人気怪獣であるがために、円谷プロのウルトラシリーズに何度も登場しています。
中には、
ちょっと容姿をアレンジされての登場もありました。

最後に紹介する2種の番外レッドキングは、
強引すぎる、というか、
初代に対するリスペクトがあまり感じられない、というか、
個人的には、あまり好きなものではありませんが、
レッドキングの人気の高さを物語るキャラクターであり、僕のコレクションには不可欠な存在です。

まず、
『ウルトラマン』をハリウッドの技術でリメイクする、という方針の下、
円谷プロが平成5年にアメリカで制作した、
オリジナルビデオ作品『ウルトラマンパワード』に登場したレッドキングから。

通称・パワードレッドキング。
全長約18センチ、パワードモンスターシリーズ
向かって右側の写真の、無塗装人形2体は試作品です。

どーでもいいけど、
ハリウッドの技術でリメイクするなら、
せめて初代よりカッコいい造形にしてほしかったものです。

 「気に入らないなら、買わなきゃいいじゃん!」

と、お叱りの声が聞こえてきそうですが、
そういうわけにはいきません。
怪獣は気に入らなくても、怪獣人形には惹かれてしまう僕なのです(笑)。


ミニサイズでも発売されました。
全長約9センチ。
向かって右側のものは、
ユタカ(ハーティロビン)から発売されたもので、
左側のバンダイ版と同じ型から作られていますが、
目や歯の塗装が省かれ、無塗装の人形になっています。

これも確か、
ユタカ(ハーティロビン)から発売されたものだったと思います。
全長約8センチ、と先述のものより少し小さいです。


次は、
データカードダスの “大怪獣バトル ULTRA MONSTERS” に登場する、EXレッドキング。
データカードダスとは、
バンダイが販売するバーコード付きカードを読み込ませて遊ぶ、
トレーディングカードアーケードゲームです。
また、
この “大怪獣バトル ULTRA MONSTERS” というゲームに連動したテレビシリーズも、
今年の春くらいまで放送されていました。

好きな人には申し訳ありませんが、
僕は初めてこのレッドキングを見た時、思わず吹き出してしまいました。
そして、

 「レッドキングをバカにしてるのか?」

と心の中でつぶやいてしまいました(笑)。

全長約14センチ、ウルトラ怪獣シリーズ

・・・天国の成田亨さん、怒ってると思うけどなぁ(笑)。


食玩にもなっています。
全長約9センチ。


思い起こせば、
2年前の夏、経営悪化に苦しむ円谷プロが
映像制作会社のティー・ワイ・オーの傘下に入る事が決定し、
複雑な思いでニュースを見ていたら、
ティー・ワイ・オーの代表の方が、

 「糸で吊って空を飛ぶウルトラマンなんて、もう誰も見たくないんだ。
  みんなが見たいのは、CGの、カッコいいウルトラマンだ。
  これからは、そういう、みんなが見たい『ウルトラマン』を作ります」

と、宣言されていました。
僕は、別に糸で吊って空を飛ぶウルトラマンでもカッコいいと思うし、
糸で吊るとかCGとかそんな問題じゃなくて、
夢や冒険心をかきたてられるような内容の作品を作ってほしいので、
あの発言には、少し違和感を、いや、嫌悪感を覚えました。
この人が言う “みんな” には、僕は入っていないンだろうな、と解釈しました。

このEXレッドキングを見て、それを更に確信した次第です(笑)。

でも、きっと、
何年かしたら、僕はこのEXレッドキングの人形にも愛着が湧いてきて、
夜な夜な慈しむように眺めたり磨いたりしている事でしょう(笑)。



・・・というわけで、
2回に亘って綴らせていただいた「極私的ソフビ怪獣人形史」、いかがでした?
ソフビ怪獣人形という玩具の、時代別やメーカー別の魅力、お解りいただけましたでしょうか?





僕は本当にソフビが大好きです。
久し振りに会う知人に僕がソフビの話をすると、

 「まだやってンの?」

と、よく呆れられたり驚かれたりしますが、
大好きなのだから当たり前です。

 「昔は集めてたけど、キリがないからやめちゃった」とか、

 「俺は、もうとっくに卒業したぜ」とか、

そんな科白を吐いて今では全く興味をしめさないような人は、
僕に言わせれば、
最初からオモチャや怪獣といったものをそれほど好きではなかっただけで、
そんな浅慮な人たちを基準に、
呆れられたり驚かれたりしても、困ってしまいます(笑)。
僕は大好きなものを大好き、と言っているだけなのですから。

「ソフビ大好き!」って言ってる以上、僕はソフビが大好きなのです。
大好きなものをやめるなんてつまらない事、僕はしたくありません。人生がもったいないです。
経済的な理由でなかなか増えないコレクションではありますが(涙)、
部屋に遊びに来てくれた人に見てもらったり、
コレクター同士熱く語り合ったり、
夜中に一人でこっそり酒の肴にしたり、
ずっとずっと、そうやって僕はソフビを楽しんでいきたいです。


そんなわけで、
来年も、この『ソフビ大好き!』、どうぞよろしくお願いします。
それでは、良いお年を・・・。



・・・あっ、忘れてた!
バンダイのレッドキング人形、まだありました。

これは、
より実物にそっくりなリアル造形のソフビ怪獣人形を追求するバンダイが、
今年のはじめに発売した、
怪獣標本” というシリーズのレッドキング人形です。全長約19センチ。

細部にまで着ぐるみの再現にこだわった、大人の鑑賞に堪える究極のクオリティ、

との事ですが、
頭部をクリアーパーツにしているせいで、
頭と胴体の色が完全に違って見えますし、
全体的に塗装が綺麗すぎる気がします。
頭の悪い暴れん坊、というレッドキングの特徴があまり感じられません。
でも、
どくろ怪獣の異名を持つレッドキングらしく、
どくろには、どことなく似ています(笑)。


それにしても、
ソフビを集め始めて21年、
その存在をうっかり忘れてしまうほど
沢山の種類のレッドキング人形を所有出来たなんて、
なんて幸せな事なのでしょう。
もっともっと集めて、もっともっと忘れよっ、と(笑)。



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