真水稔生の『ソフビ大好き!』


第158回 「熱く正しく」  2017.3

“同世代特撮ファンあるある” というのを考えました(僕は昭和39年生まれです)。
ただ、
レイザーラモンRGさんのようにオモシロく出来ないので、僕はすぐに言います(笑)。
下記の5つです。


・アンヌ隊員が好き。

・岸田森さんが好き。

・『帰ってきたウルトラマン』の主題歌の、
 最後の ♪ウ~ルト~ラ~マ~~ン ってトコがハモれる。

・ショッカーの戦闘員を “戦闘員” と言う。“ショッカー” とは言わない。

・死神カメレオンを、
 “死神カメレオン” と言うか “カメレオン男” と言うか、
 一瞬、迷う。


自信のある順に並べてみましたが、いかがでしょう?
まぁ、
最初の3つは “鉄板” ではないか、と思いますので、
残りの2つについて、
説明させていただきます。

まず、ショッカーの戦闘員について。

覆面を被ってワラワラ現れ、
「イーッ!」という甲高い掛け声をあげるあの人たちを、
いつ頃から、
何の影響で、
“ショッカー” と呼ぶようになったのでしょう?
『仮面ライダー』放映時には、
僕ら子供たちはみんな、“戦闘員” って呼んでたンですけどね。

僕らより下の世代、
リアルタイムで『仮面ライダー』を観ていなかった人たちは、
まず、“戦闘員” とは言いません。
“ショッカー”、“ショッカー”、って言います。
なんでですかね? 不思議。

“ショッカー” とは組織名ですので、
そこに所属する戦闘員たちを “ショッカー” と呼んでも、
まぁ、間違いではないのですが、
怪人や大幹部、
それこそ首領も、
みんな “ショッカー” なわけですから、
戦闘員たちだけを “ショッカー” って呼ぶ事には、
やはり違和感を覚えます。

劇中、
戦闘員たちが現れた際に、
本郷や一文字らが

 「出たな、ショッカー!」

って言う場面があったかもしれませんが、
あったとしても、それは、
戦闘員たちが現れた現象を受けて、
後から出てくるであろう怪人や
指揮している大幹部、
更にはそれらを差し向けている首領をも、
みんなひっくるめて、

 今回の怪しい事件も、
 やはりお前たち組織の仕業か!

って意味合いで、
ショッカーという組織全体を指して言っているのであって、
決して、
戦闘員たちだけに向かって
そのキャラクター名として呼んでいるわけではないのです。

番組をちゃんと観ていれば、
その辺のニュアンスは解るはずですので、
要は、
『仮面ライダー』の作品世界や設定等を正しく認識していない人たちが
テキトーに使っているものなンですよね、
ショッカーの戦闘員に対する “ショッカー” っていう呼称は。

“愛” が無いンです、そこには。
それゆえ、
軽く馬鹿にしてる感じに聞こえてしまうンです、ショッカーの戦闘員を。
延いては『仮面ライダー』をも。

なので、
先ほど述べた、
“違和感を覚える” の違和感には、少しだけ、不快感も含まれています。
気になっちゃうンですよね、いちいち。

僕は巣山プロダクションという事務所に所属していますが、
顔も名前も売れていない身の上、
初めての現場などでは
“真水さん” ではなく、“巣山プロさん” と事務所名で呼ばれる事もしばしば。
そんな時、
僕はいつも、心の中で、甲高く「イーッ!」って答えています(笑)。

ショッカーの戦闘員も、
“戦闘員” という名前がある以上、
組織名でなく、ちゃんと名前で呼んでもらった方が嬉しいはず。

だから、
『仮面ライダー』の話題になって、
周りの全員がショッカーの戦闘員の事を “ショッカー” と言っても、
“仮面ライダー愛” に満ちた僕らの世代が
それに合わせる事はありません。
必ず、
ちゃんと “戦闘員” って呼んであげます。

・・・あ、でも、
“戦闘員” というのも、
“戦闘に従事する人員” を指す団体名ですので、
どっちみち個人名では呼んであげられていないンですけどね(笑)。

 






ポピー製、全長約11センチ。

『仮面ライダー』放映時に商品化された戦闘員のソフビは、
このミニサイズの骨戦闘員のみ。





駄菓子屋でも売られていたチープトイゆえ、
細かな部分には塗装がしてありません。
なので、
覆面から露出している肌(目元や鼻や口元)も
そして白目も唇も、
全部、覆面と同じで真っ黒です。怖っ!(笑)


 
 
平成に入ってからは、
リアルな造形と塗装で、いろんなタイプの戦闘員がソフビ化されています。

まずは、
黒戦闘員赤戦闘員
  2体とも、
バンダイ製 仮面ライダー怪人シリーズ、全長約16センチ。
仮面ライダー(旧1号)と狼男と一緒に、
4体のソフビ人形がセットで、
平成14年に発売されました。
商品名は、“ショッカー秘密基地セット”。 
 

  食玩サイズのミニ人形も、
  雑誌フィギュア王の誌上限定ではありますが、同じく平成14年に発売されています。 
 






続いては、骨戦闘員








バンダイ製、全長約9センチ。
“悪魔の軍団ソフビセット” という商品名で、
ショッカーライダー6人と、計8体の人形がセットでした。 

戦闘員は、
劇中、アップになると、
覆面のせいでそう見えてしまうのか、
みんな、なんだか眠そうな目をしていた印象があります。
この人形では、
それがしっかり再現されていて、
黒戦闘員も赤戦闘員も、
このように、ちゃんと(笑)、眠そうな目になっています。










 



















向かって左側が、
バンダイ製 仮面ライダー怪人シリーズ、全長約16センチ。
先述の “ショッカー秘密基地セット”の型を用いて、
平成15年に発売されました。

右側は、
これまた同じ型を用いた、
バンダイ製 レジェンドライダーシリーズ、全長約16センチ。
ジャスコとプレミアムバンダイ限定で
平成21年に発売されました。

一見、同じ人形に見えますが、
塗装が微妙に異なります。
顔の肌色が若干薄く(色白に)なったのと、
骨の模様が、塗装のタッチの変更できれいな仕上がりになってます。






 

こちらは、赤の骨戦闘員。
バンダイ製 仮面ライダー怪人シリーズ、全長約16センチ。
“骨戦闘員(スイス支部)” という商品名で、
平成16年に、イベント会場及びバンダイミュージアムにて限定販売されました。 
赤の骨戦闘員は、
第67話に、
スイスのアルプス山脈地域を担当する戦闘員として登場。
全98話中、
たった一度しか登場していないようなマイナーキャラの商品化は、
マニア・コレクターには嬉しい限り。

とはいえ、
ずーっと同じ型で
色を塗り替えてるだけだけどね(笑)。
 
 
・・・で、
今度は型を変えてくれました(といっても、手だけですが(笑))。

握り手バージョン。
バンダイ製 仮面ライダー怪人シリーズ、全長約16センチ。
平成17年に発売された、
マガジンZコミックス『仮面ラーダーSPIRITS』第8巻の、特別付録でした。


     
     
    プライズソフビもあります。
  黒と赤の2種。

   バンプレスト製 コレクタブルソフビフィギュア、全長約14センチ。
   平成14年の、クレーンゲームの景品です。 
 
     
     そして、
   翌年の平成15年、
   黒の骨戦闘員のみ、大きなサイズも登場しました。
  バンプレスト製 ビッグサイズソフビフィギュア、全長約32センチ。

拳を握り、上目遣いで身をかがめ、
今にも相手に殴りかかろうか、という状態ですが、
どう角度を変えても、手にした人とは目が合いませんので、
とりあえず、襲われそうな恐怖は感じなくて済む、安心な人形です(笑)。 

       
    食玩ソフビもあります。
 
バンダイ製 ソフビ道、全長約11センチ。
平成14年の発売です。

眠そうな目をしていた、
先述の黒戦闘員と赤戦闘員の食玩(サイズ)ソフビに対し、
この骨戦闘員の食玩ソフビは、
眠そう、どころか、
もう、眠っちゃってます(笑)。


・・・と、
戦闘員のソフビの紹介が終わったところで、次は、
え~っと、
・・・死神カメレオン(うっ、またカメレオン男かどっちで言うか一瞬迷った(笑))について。

死神カメレオンかカメレオン男か、いったいどちらが正しいのか?
正解は、両方。
どちらも、正式名称とされているものです。

劇中ではどう呼ばれていたか
思い返してみると、
ショッカーの首領は、“カメレオン男” と呼んでいましたが、
本人は、
自らを “カメレオン男” とは言っていません。
“死神” と名乗ったり(第6話)、
“カメレオン” と名乗ったり(映画『仮面ライダー対ショッカー』)しています。

僕は
それら各シーンから、
首領が呼んだ “カメレオン男” を通称、
自らが名乗った
“死神” を姓、“カメレオン” を名、
って捉えて、
“死神カメレオン” が本名ではないか(笑)、と考え、
この『ソフビ大好き!』では、
“死神カメレオン” って表記する事にしています。

ショッカー怪人には、
ほかにも、
“蝙蝠男” と “人間蝙蝠”、
“サラセニアン” と “サラセニア人間”、
といったように、
1人の怪人で正式名称が複数ある者が何人かいますので、
これに関しては、
前述の、
ショッカーの戦闘員を
“戦闘員” と呼ぶか “ショッカー” と呼ぶか、とは異なり、
同世代であるかないか、や
“仮面ライダー愛” が有るか無いか、のリトマス紙にはなりません。
どちらで呼んでも正しいわけですからね。

ただ、
誤った名前で呼ぶ、なんてのは、
特撮ファンとして恥ずべき失態ですから、
“死神カメレオン” か “カメレオン男” か、
ちょっとだけ神経を使って、一瞬、迷い、

 確か、どちらでも良かったよな、

と心の中で確認してから、声にするのです。

またもや
顔も名前も売れていない身の上による体験になりますが、
僕は、
やはり初めての現場では、
“マミズさん” ではなくて、“マミヤさん” とか “シミズさん” とか
名前を間違って呼ばれたりする事もしばしば。
あと、
台本やエンドロールなどのクレジットに誤表記されたり、ってのも。
あれをされると、
結構ショックなんですよね。

そんな思いもあり、
怪獣や怪人も、ちゃんと正しい名前で呼んであげたいのです。
少年時代に夢をくれた、愛すべき存在ですしね。
失礼があっちゃいけない、って思うわけです。

・・・あぁ、そうそう、
なので
『超人バロム・1』に出てきたエビビルゲを “エビゲルゲ” って言う人、
許せません。

まぁ、
『超人バロム・1』をよく知らない・観た事が無い、って世代の人なら、
知識も愛情も持ち合わせていないでしょうから、

 あぁ、にわかマニアが知ったかぶりしてるな、

とでも思い、
鼻で笑って聞き流してあげられますが、
僕と同世代の特撮ファンなら、そうはいきません。
番組を観てたのにそこを間違えるなんて、ありえない事ですので。

だって、
「怪腕魔人エビビルゲ」ってサブタイトルの回に登場したエビビルゲ本人が、
自らを “エビビルゲ” と名乗ってるンですから、
間違えようがないでしょ?

誰も、ただの一度も、“エビゲルゲ” なんて言っていないンですから。

番組観てたのに
それを “エビゲルゲ” って呼ぶって事は、

 バロム・1の怪人なんか、みんなゲルゲ付けときゃいいンだ、

って具合に、
ドルゲ魔人の事を軽視して馬鹿にしてるか、
もしくは、

 他人の名前なんか少しくらい間違って呼んだっていい、

なんていう、 
無礼で誤った考えを持っているか、のどちらか。

どちらにせよ、無神経でガサツな輩です(・・・言い過ぎか?(笑))。

そもそも、
いつもの “○○ゲルゲ” じゃなくて、
エビの “ビ” がそのまま続いて “ビルゲ” になってる事を、
気づかない・気にしない、ってのが僕には解りません。
怪獣や怪人の名前って、
そういうところが面白いのに・・・。

山本リンダさんが『仮面ライダー』出演時を振り返り、

 「印象的だった怪人、っていますか?」

って問いに、

 「そうねぇ、サボテグロンとかクラゲダールとか、
  面白い名前が付いてて、台本が楽しかったわ」

って答えていらっしゃったインタビュー記事を憶えています。

ユニークでキャッチーで洒落た名前が付いてたからこそ、
特撮ヒーローや怪獣・怪人といったものに特に思い入れがあるわけでもない、
多忙の中、与えられた仕事を全うしただけの女性アイドルの感受性にも響いたわけです。

ネーミングの妙も、そのキャラクターの魅力の大きな要素のひとつ。
間違った呼び方しちゃあダメですよ、やっぱ。


   死神カメレオンのソフビ人形は、
 『仮面ライダー』放映時には、3種のサイズが発売されています。 
 
まずは、これ。
バンダイ製 スタンダードサイズ、全長約26センチ。 
リアルな表現は極力抑え、
人形にオモチャとしての愛嬌を持たせるよう
アレンジするのが身上の昭和ソフビゆえ、
実物の死神カメレオンとはずいぶん違った顔にデフォルメされてますが、
決して可愛らしくはなっておらず、
実物の容姿が放つ恐怖とは、また別の不気味さが感じられる顔になってしまっています。

それは、

 この顔、誰かに似てるンだけどなぁ・・・、誰だっけ?

という、
生々しい引っ掛かり。

“爬虫類の顔をした人間を可愛らしくする” なんて、土台無茶な作業であった事を物語る(笑)、
デフォルメ造形の限界が偶然生み出した、奇怪な味わいですね。

似てないじゃん、とか、顔が違うじゃん、とかでは済ませておけない、
妙な霊気が漂っています。
                              あなたの知ってる人に、
   なんとなく似た顔の人、いませんか?(笑) 
 
 













こちらは、大きいサイズ。
バンダイ製 キングサイズ、全長約36センチ。




    サイズだけでなく気色悪さもキング、
    って感じで、鳥肌が立って
    見ているこっちまでブツブツの皮膚になりそうですが、
    やはり、
    実物の死神カメレオンとは違う顔してます(笑)。 
 

 下の3体は、
 バンダイ製 ミニサイズ、全長約11センチ。
 
   目玉を黒く塗っていない分、
 このミニ人形が、いちばん実物の死神カメレオンに近い顔をしているように思えます。 
 成形色が、赤のものと緑のものがあります。
 
  緑の2体は、サイズが微妙に異なります。
また、
目と胸の茶色の塗装にも、
薄い・濃いの
これまた微妙な違いがありますが、
薄い方(向かって左側の人形)は、
重なった銀の塗装に圧されてその茶色がパールピンクに見えて、
なんだかオシャレです(笑)。 
     
 
     
  こちらは
平成14年発売のリアル造形ソフビ。
バンダイ製 仮面ライダー怪人シリーズ、全長約16センチ。

これが本当の死神カメレオンの顔と姿。
思い入れがあるのは
断然放映当時の人形だけど、
やっぱ、カッコいいですよね、平成のソフビは。
シビれます。
         
        実物そっくりのこのソフビを見て、

       死神カメレオンのデザイン・造形、って、
       やっぱ、傑作だなぁ・・・、

      と改めて思います。
      I Love ショッカー怪人、I Love 『仮面ライダー』。


   

アンヌ隊員が好きで、岸田森さんが好きで、
『帰ってきたウルトラマン』の主題歌の
 最後の ♪ウ~ルト~ラ~マ~~ン ってトコがハモれる僕らは、
悪役である怪獣や怪人に、
主役のヒーローと同等、あるいはそれ以上に強い思い入れを持つ、
特撮ファンの中でも特に熱い、突出した世代。

愛があるから、
ショッカーの戦闘員を “ショッカー” ではなく “戦闘員” って呼ぶし、
愛があるから、
“死神カメレオン” と言うか “カメレオン男” と言うか、一瞬迷うのであります。

まぁ、
僕と同世代じゃない人には通じない感覚でしょうけど・・・。



・・・そういえば、
死神カメレオンの回のラスト、
ナチスの財宝が埋まっているとされる場所にやってきた死神カメレオンが
目印のように立っていた白い十字架をどけて
その下を数十センチ掘ると、
そこには棺桶のような大きな宝箱が有り、

 ついに財宝を手に入れた!

と喜び勇んでフタを開けたら、中にはなんと仮面ライダーが隠れていました。
驚き焦った死神カメレオンは、
そのまま箱から飛び出したライダーに倒されて、めでたしめでたし・・・、
となるのですが、
あの時、
立花藤兵衛も緑川ルリ子もショッカーに捕まっていたから、
ライダーに協力者はいなかったはず。

ライダーは、
たった独りで、いったいどうやって、
自身が入った箱を地中に埋めて十字架まで立てたンですかね?

それを考えると、
僕、眠れなくなっちゃうンです(笑)。
       ↑
・・・あ、 これも同世代にしか通じないかも(汗)。



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