第13回「玩具協力スタッフ奮闘記」 2005.2
今から12年前のちょうど今頃、
中京テレビで『今甦る!昭和ヒーロー列伝』という番組の放送が始まった。
これは、
昭和の時代に活躍したヒーローはウルトラマンと仮面ライダーだけじゃない、というコンセプトの下、
時代の流れに埋もれてしまったマイナーな特撮ヒーロー番組を取り上げ、
解説を交えながら3本のエピソードを毎月1回再放送する、
というものだった。
月に1回、深夜に懐かしいヒーローに再会出来る、夢のような番組だった。
当時は、
ケーブルテレビも現在のように多チャンネル化されておらず利用者も少なかったし、
ビデオやLDもそんなに数多く世に出ていなかったので、
非常に価値ある企画だった。
東京や大阪をはじめ中京テレビが映らないエリアに住んでいる友人から、
名古屋に住んでいる事をずいぶん羨ましがられたものだ。
3年間も続いた、その涙もののラインナップは下記の通り。
平成5年 | 2月 『ファイヤーマン』 |
3月 『プロレスの星 アステカイザー』 | |
4月 『猿の軍団』 | |
5月 『ジャンボーグA』 | |
6月 『トリプルファイター』 | |
7月 『戦え!マイティジャック』 | |
8月 『アイアンキング』 | |
9月 『快傑ズバット』 | |
10月 『忍者キャプター』 | |
11月 『スーパーロボット レッドバロン』 | |
平成6年 | 1月 『電人ザボーガー』 |
2月 『がんばれ!!ロボコン』 | |
3月 『サンダーマスク』 | |
4月 『鉄人タイガーセブン』 | |
5月 『バトルホーク』 | |
6月 『魔神バンダー』 | |
7月 『スペクトルマン』 | |
8月 『愛の戦士 レインボーマン』 | |
9月 『恐竜探検隊ボーンフリー』 | |
10月 『UFO大戦争 戦え!レッドタイガー』 | |
11月 『妖術武芸帳』 | |
平成7年 | 1月 『大鉄人17』 |
2月 『好き!すき!魔女先生』 | |
3月 『ザ・カゲスター』 | |
4月 『ジャイアントロボ』 | |
5月 『星雲仮面マシンマン』 | |
6月 『超神ビビューン』 | |
7月 『恐竜大戦争アイゼンボーグ』 | |
8月 『快傑ライオン丸』 | |
9月 『緊急指令10−4・10−10』 | |
10月 『宇宙鉄人キョーダイン』 | |
11月 『白獅子仮面』 | |
平成8年 | 1月 『ぐるぐるメダマン』 |
2月 『メガロマン』 | |
3月 『ロボット刑事』 | |
6月 『宇宙からのメッセージ 銀河大戦』 |
この企画が通った時、
番組ディレクターの喜井竜児さんから、
当時のオモチャを番組の中で使いたい、という依頼が
キャラクター玩具専門店のゲイトウエイさん経由で僕のところにあり、
僕は、コレクションのソフビ怪獣人形を貸し出す “玩具協力スタッフ” として、
この栄えあるテレビ番組に参加する事となった。
玩具協力なんて、
なんだか西村祐次さんみたいでカッコいいなァ、
なんて最初のうちは呑気に考えてたけど、
番組が続いていくうち、
取り上げられる作品によっては、自分が持っていないキャラクターが必要とされるようになり、
そのオモチャを番組収録までに調達しなくてはならない事態が発生して、慌てふためく事となった。
西村祐次さんならばそんな事にはならないだろうが、
なんといっても当時の僕はコレクターとして未熟過ぎた。
テレビ番組を支えるには、
あまりにもコレクションが不足していたのだ(まぁ、今でもたいした事はないのだが(苦笑))。
でも、
担当者としての責任も感じてたし、
何より、コレクターとしての意地と見栄が「持っていません」という言葉を飲み込ませていた。
必死で探して入手するけど喜井さんには余裕の顔で渡す、
そんな、他人から見ればどーでもいいように思われるかもしれない事を、僕は一生懸命やった。
そんな中で一番印象的だったのが、ロボコンの仲間を全員揃えた事。
この『今甦る!昭和ヒーロー列伝』という番組は、
3ヶ月サイクルで、
巨大ヒーロー、等身大ヒーロー、団体ヒーローと順に紹介するスタイルを原則としていた。
主人公のロボコンだけでなく、
ロボガリやロボドロなど仲間全員の泣かせる話や愉快な活躍を描く『がんばれ!!ロボコン』を
団体ヒーローと位置付けた喜井さんは、
番組の構成・方針上、
“人形によるロボコンの仲間全員集合” を僕に要求した。
当然二つ返事で引き受けた僕だったが、
当時、ロボコンの仲間を僕は数体しか持っておらず、全員は揃っていなかった。
さぁ大変だ。
1体調達するのも大変なのに、何体も探し出さなければならないのだ。
僕はコレクター仲間に声をかけるのはもちろんの事、
知ってる限りのオモチャ屋さん、古いお土産物屋さん、問屋さん、アンティークTOYショップ等に
電話をかけまくり、あるいは出向いて行き、
自分のコレクションで抜けているロボコンの仲間を探しまわった。
ロボコンの仲間は、
スタンダードサイズのソフビだと15種くらいしか商品化されていないが、
ミニサイズのソフビならロボチャン以外は全員商品化されていたので、
とりあえず、ミニサイズに絞って探し集める事にした。
ロビンちゃんや番組後期に登場したロボメロやロボリキなど高値がついているものもあったが、
比較的安いものも多く、
東京は浅草のオモチャ屋さんから送ってもらったロボメカなどは、送料の方が高くついたりした(笑)。
それから、
『がんばれ!!ロボコン』というテレビ番組をお店の人がよく知らない場合だと、
ロボペケだと言ってロボパーを送ってこられたり、
店先でどーでもいい世間話を散々してやっとの思いで本題にこぎつけたのに、
もりもりぼっくんやロボット8ちゃんの人形を出してこられたりして、
お金や時間を無駄に使った事もあった。
あと、
いくつか持ってるという人を友人に紹介してもらい、
菓子折り持って訪ねたら、
出てきたのはミニソフビではなくてボロボロの錆びついた超合金だったり・・・。
今ではどれも懐かしい笑い話。
限られた短い期間で絶版玩具を探しだすのは大変な事だったけど、
楽しい作業だったし、
ロボコンの仲間に限らず、結果として自分のコレクションが充実したわけだから、
今思えば幸せな事だったと思う。
それに、
自分のコレクションが毎月テレビに登場したなんてとても名誉な事だ。
毎回、
自分のコレクションのアップから番組が始まるので、
いつもドキドキワクワクしながら放送を見てた。
山本正之さんの名曲『少年の夢は生きている』が流れ、
人形がモノクロで映し出されるエンディングなどは、
僕のコレクションのプロモーションビデオみたいに感じられて、この上ない喜びだった。
人形たちもきっと喜んでくれていたと思う。
汗と涙の結晶(笑)、 ロボコンシリーズのミニサイズ人形。 ロボコン、ロビンちゃん、ロボプーに バージョン違いがある事を この時初めて知った。 まだまだいろんなバージョン違いがある模様。 それにしても実に個性豊かな面々。 見てるだけで楽しい。 |
こちらはミニサイズより更に小さい人形。 なぜかロビンちゃんがみんなより大きい(笑)が、 両手をあげてワーッとみんなで走ってきそうで 実に微笑ましい。 番組の前期に登場した16体のセット売り。 けれど、ロボワルに このような赤とグレーのバージョン違いが存在する為、 1セット買っただけでは揃わない。ウララ〜。 |
忍者キャプターのミニサイズ人形。 7人のセット売りと 1人ずつの単品売りがあったが、 セット売りの人形には武器が付いていないので、 そこはこだわって 全員単品売りを購入して、武器付きで揃えた。 |
カゲスターとベルスター。 当時、ベルスターしか持っていなかったので、 番組を機にカゲスターも買って揃えた。 喜井さんに 「なんでベルスターしか持ってないの?」 と、突っ込まれた。 ・・・勝手じゃん!(笑) |
『好き!すき!魔女先生』関連のソフビ人形は 当時発売されていなかったようなので、 こんな女の子向け玩具を調達した。 月ひかる先生、アンドロ仮面、バルなど、 あの素敵なキャラクターたちを ソフビ人形で商品化してほしかったなぁ。残念。 |
ポピーの大鉄人17人形。 全長約17センチ。カッコいい。 このようにカラーリングなどのバージョン違いを 揃えるのがコレクションの醍醐味。 これ以外のバージョンもあるかも、 と思うとワクワクする。 |
喜井さんとは今でもお付き合いは続いていて、
役者として番組で使ってもらったり、一緒にオモチャのイベントに参加したりしている。
喜井さん以外にも、
この番組をきっかけにしていろんな人と知り合ったし、
この番組のおかげで、
僕がソフビ怪獣人形のコレクターである事を多くの人が認知してくれたので、
知らない人から、
声をかけられたり情報提供してもらえたりするようになった。
すべて、ソフビ怪獣人形が導いてくれた出逢いである。感謝してやまない。
そんなわけで、
玩具協力スタッフとしてこのテレビ番組に参加した事は、
僕がコレクターとして生きていく上でのモニュメント的な出来事となった。
コレクターである事の自意識をはっきりと持たせてくれたし、
コレクションを通じてさまざまな人と出逢い、その輪が広がっていく幸せを知った。
コレクションが縁で出逢い得た知人・友人は、僕の人生の財産であり、
コレクションと同様に大切な大切な宝物だ。
これからも素晴らしい出逢いがあるだろう。
明るく楽しく元気よく、
ソフビ怪獣人形のコレクションをずっとずっと続けていきたいと思う。