真水稔生の『ソフビ大好き!』


第63回 「今日もマグマは空を飛ぶ」  2009.4

今年もまたプロ野球が開幕しました。
毎年の事ながら、ワクワクします。
特に、落合さんが監督に就任してからのここ5年間は、
我が地元球団・中日ドラゴンズは毎年のように優勝争いをしておりますので、
僕は楽しくて仕方がありません。
子供の頃からずっとドラゴンズを応援してきましたが、
この歳になって、
ようやく、“地元球団が強い” という感覚を味わう事が出来、
実に幸せなのです。

ドラゴンズは、弱い球団でした。
Bクラスか良くても3位、というのが例年のパターン。
優勝争いなんて滅多にしてくれません。
たまにしてくれても、
結局最後は “力およばず” で敗れ去る場合が多かった気がします。

基本的に “負ける”、
いいところまでいってもやっぱり “負ける”、
ここ一番では必ず “負ける”、
そんな印象で、
僕の中には、“ドラゴンズは負ける” というイメージが、強く染み付いていました。
亡くなった父親の事を思い出しても、

 「また負けた」

と言って舌打ちをしながら
ナイター中継のラジオを切る姿が真っ先に浮かんでしまうほどです。
とにかくドラゴンズはよく負けました。

なかでも巨人には、
ただ負けるだけではなく、特別な屈辱を幾度と無く味わわされています。
僕が子供の頃は、
人工芝に変わったばかりの後楽園球場(当時の巨人の本拠地)で
19連敗という不名誉にも程がある記録を作らされましたし、
大人になってからも、
伝説の10.8決戦(同率首位で並んだドラゴンズと巨人が最終戦で直接対戦した試合)で
負けるべき者として巨人の優勝を盛り上げる格好の材料にされたり、
ナゴヤドームへの本拠地移転に伴うナゴヤ球場最後の公式戦では、
そんな、ドラゴンズにとって特別な試合であるにもかかわらず、
巨人の優勝決定試合の相手として
本拠地もろとも長嶋巨人の “メークドラマ” の総仕上げに使われたり、
もう、被虐性の情感すら湧いてきそうなくらい、とことん叩きのめされてきたのです。

巨人に負ける事が当たり前。
巨人に負けるための存在。
このエッセイに合わせて例えるなら、
我がドラゴンズは、
まるで正義のヒーローに倒される敵役の怪獣のようでした。

“宿敵巨人”、
なんて勝手にドラゴンズファンは呼んでいましたが、
実際には、かなりの力の差があり、
巨人はドラゴンズなど相手にしていなかった気がします。

また、
時々(10年に1度くらいのペースで)優勝して出場した日本シリーズでも、
ドラゴンズは決まって敗退しました。
しかも、
毎回、圧倒的な実力の差をパ・リーグの優勝チームには見せつけられ、
いとも簡単に倒されるばかり。
話になりませんでした。

愛する地元球団が巨人やパ・リーグに当たり前のように負けるのは、
とても悔しい事でした。
“燃える” だとか、“ガッツ” だとか、
そんなパフォーマンスはどーでもいいから、
巨人に勝ってくれよ、日本シリーズで勝ってくれよ、
って、ずっと思ってました。

だから、
3年前、巨人の本拠地・東京ドームで巨人を倒して優勝を決めてくれた時は、
溜飲が下がる痛快な思いで、とても嬉しかったし、
その翌年に、53年間の呪縛を解いて “日本一” に輝いてくれた時は、
もう、めちゃくちゃシビれました。
本当に、ここ5年間は夢のようなのです。
中日ドラゴンズをこんなに強いチームにしてくれた落合監督には、只々、感謝であります。


でも、落合さんには、
おそらく、
あの “人を喰ったような物言い” のせいだと思いますが、
嫌悪したり非難したりする人が決して少なくなく、ファンとして残念でなりません。

日本一に輝いた時でさえ、
落合監督の采配に妙なケチをつけるコメンテイターやスポーツジャーナリストがいたし、
元プロ野球選手の方の中にも、落合さんを批判(と言うより中傷)する人がいました。
結果として、
発言した本人たちが世間に大恥を曝しただけの事でしたが、
ウケ狙いだか妬みだか何だか知らないけど、
そんな素っ頓狂な意見や見苦しい暴言で
プロの真剣勝負が侮辱される事を、
ドラゴンズファンとして、いや、プロ野球ファンとして、
僕はとても不愉快に思いました。
と同時に、
落合さんを嫌いな人って本当にたくさんいるンだなぁ、と痛感しました。

以前、僕が所属している草野球チームが、
ナゴヤドームで開催されるトーナメント大会に出場した際にも、それを身にしみて感じました。
組み合わせ抽選会の冒頭の挨拶で、
その大会の主催者である某新聞社の方が、
 
 「あの監督の愛想が悪いから、
      うちのスポーツ新聞の売上は伸びない」

などという、
まるで言いがかりのような事を、冗談ではなく真顔で主張し、
“落合監督批判” を、さも世の中の常識だと言わんばかりに、当たり前のようにしたのです。

そんなの大会の挨拶でも何でもないし、
言ってる事に何の根拠も説得力も無いし、
捻じ曲がった個人的感情をぶちまけてるだけの、実に幼稚な内容でした。
そのあまりに無責任でみっともない言動に
僕は腹立たしさを覚えたのですが、
周りの大会出場者の中にも便乗して落合さんの悪口を話し出す人が何人かいて、
脱力感いっぱいで情けなくなってしまいました。

 「二度とお前ンとこの新聞なんか読むか!」

と心の中で宣言しましたが、
その新聞社とは、ドラゴンズの親会社でしたので、
実行は出来ぬまま今日に至っています(笑)。

とにかく、
落合さんを馬鹿にしたり忌み嫌ったりする人は多いのです。
僕は不思議でなりません。
落合さんの代名詞とも言える “オレ流” という言葉を、
“根拠の無い勝手なわがまま” とでも解釈しているのでしょうか?
だとしたら、
それは、“誤解” というより “皮相な見方” だと思います。
プロ野球界の不条理に立ち向かう言動や
ストイックなまでに野球に打ち込む姿が孤高な印象を持たせるだけで、
僕の知るかぎり、
落合さんが間違っていたり理不尽であったりした事は、ただの一度もありません。
ただひたすらに野球を愛し、真剣に勝利をめざしているだけです。

乱闘が少ないから最近のプロ野球は面白くない、などと
本気で思っているような人は問題外ですが、
野球というスポーツを愛する普通のプロ野球ファンになら、
落合さんの凄さは明白のはず。
数々の偉大な記録もさることながら、
記録には表れない素晴らしい面もたくさんあります。

たとえば、現役時代なら、
守備の時にマウンドまで行って投手に声をかけるタイミングの絶妙さは、
野球を知り尽くしているがゆえのものだったし、
四球の際にバットをそっと地面に置いて一塁へ向かう姿に象徴される、
道具を大切に扱う(グラブやバットを
              放り投げたり叩きつけたりなんて事は絶対しない)点や
相手投手に失礼だからと、
ヒットやホームランを打ってもガッツポーズをしない点などは、
他の選手とは、才能のみならず、
心構えや意識、あるいは次元すら異なるプレーヤーである事を物語るものでした。
その徹底したプロフェッショナルぶりは、無条件で尊敬に値します。

で、
そんな凄い選手が監督になったら、
今度は、
当たり前のように負ける弱い球団を毎年優勝争いする強いチームに作り上げ、
53年も遠ざかっていた “日本一” という栄冠までもたらしてくれるのですから、
もう感服するしかありません。

プロの世界は結果がすべて。
結果を出せない者が、
どれだけ不運を訴えようと、
どんなパフォーマンスをして見せようと、
それは言い訳にしかなりません。
落合さんは、
そんな厳しい世界で、
選手としても監督としても結果を出してきたプロの鑑なのです。

名選手にして名将、
鋭くて、奥が深くて、堂々としていて・・・、
そんな超一流の野球人・落合博満に、
野球ファンがケチなどつけられる道理が無いと思うのですが・・・。


でも、当の落合さんは誰に何を言われようと、一切気にしていません。
気にしていたとしても、そういった情念は絶対に見せません。

 「勝って文句言われる分には平気」

と、余裕綽々です。
そこがまた好きです。カッコいいなぁ、と思います。

僕がもし落合博満だったら、
わけのわからないド素人や
選手としても監督としても実績が自分より遥か下の元プロ野球選手から、
批判されたり否定されたりしたら、

 「てめェら、何様だ!? 偉そうに!
       俺と同じ事やってからものを言え!」

と、いちいち腹を立てて言い返し、喧嘩になってしまうと思います。
人間の出来が違うンですねぇ、僕なんかとは。
やはり、落合さんは偉大です。

勝負はやってみなくてはわからないので、
今年も落合監督率いるドラゴンズが優勝争いをするという保証はありません。
だけど、
落合さんが監督をやっている以上、
以前のような、当たり前のように負ける弱いドラゴンズには、ならないと思います。
誰が何と言おうと、落合さんは凄いのです。
今年も僕は、落合監督を信じて、精一杯ドラゴンズを応援します。 



ところで、
そんな落合さんの応援歌(テーマソング)は、
『マグマ大使』の主題歌の替え歌。
ナゴヤ球場で現役時代の落合さんを応援した事があるドラゴンズファンなら、
誰もが歌った事があるし、
ドラゴンズファンじゃない人でも、
テレビのプロ野球中継で何度か耳にした事があると思います。

 ♪ さーんかん おちあーい こうかくだほう
           レーフトへ ライトへ ホームラン

ってヤツ。あれです。

なので、
今回の『ソフビ大好き!』は、
ドラゴンズを毎年のように優勝争いする強いチームにしてくれた落合監督を
賞賛・応援する気持ちを込めまして、
『マグマ大使』を特集させていただきます。

巷に飛び交う “落合批判” に異を唱えたいあまり、
ついつい前置きが長くなってしまって申し訳ありませんでしたが、
ここからが本題であります。
ドラゴンズファンじゃない人も、落合さんが嫌いな人も、
よろしくお付き合い下さいませ。
・・・ムリか(笑)。


『マグマ大使』は、
御存知、手塚治虫先生の原作人気漫画の実写ドラマ化で、
昭和41年7月4日に放送が開始されました。
『ウルトラマン』より約2週間早くお茶の間に登場したわけで、
日本初の、カラーによる特撮ヒーロー番組、という事になります。
絶大なる人気を博して、
『ウルトラマン』とともに第1次怪獣ブームを大いに盛り上げました。
そして、
その後も何度か再放送されましたので、
僕の子供の頃の記憶に
はっきりと残っているテレビ番組であります。

マグマ大使、モル、ガム、ゴア・・・といった、
華やかで魅力的なキャラクター達がいきいきと描かれていて、快活な面白さがあったし、
個性的な怪獣たちの迫力、人間モドキの不気味さ、
あるいは、
充実したミニチュアセットやアニメーション動画の導入など、
その映像の持つバイタリティーがとても印象的で、実に楽しい作品でした。

また、
岡田真澄さん、江木俊夫さん、イーデス・ハンソンさん・・・、
といった豪華役者陣が支える独特の作品世界はものすごく見応えがあり、
幼い頃からドラマ好きだった僕の心を、グイグイと惹きつけてくれました。
そして、
そんな華やかな出演者の中でも、
まもる少年のママ役を演じられていた八代真矢子さんの上品な美しさは、
子供心に優しくあでやかで、鮮明に憶えています。
おそらく、
僕が生まれて初めて “綺麗だなぁ” と思った女性であろうかと思いますが、
その八代真矢子さんには、こんな思い出があります。

『マグマ大使』を夢中で見ていた頃の僕の家は、
三畳と四畳半の二間しかなく、
三畳の部屋で父親が、四畳半の部屋で母親と僕が、それぞれ寝ていました。
テレビは三畳の部屋にあったので、
父親のみ、布団に入ってからもテレビを見る事が可能で、
隣の部屋で寝ている僕は、
父親が寝ている部屋から漏れてくるテレビの音を聞きながら眠りにつく毎日でした。
でも、
僕は、父親が毎週見ている『プレイガール』というが番組がなぜか気になりだし、
どうしても見たくなって、
或る日、

 「パパと寝たい」

と嘘をつき、父親の布団に潜り込みました。
ところが、
寝たふりしながら薄目を開けて見ていると、なんと八代真矢子さんが画面に映り、
思わず「あっ!」と声をあげてしまい、
『プレイガール』をこっそり見ていた事がバレてしまいました(笑)。
八代真矢子さんは、
『プレイガール』のレギュラー出演者でもあったのです。
 (※『プレイガール』出演時の芸名は八代万智子)

 「この人、『マグマ大使』に出ていて、綺麗だから好き」

と僕が言うと、父親は、

 「お前は女を見る目があるな」

と言って笑っていました。

でも、“パパと寝たい”というのが嘘だと判明した以上、
来週以降も『プレイガール』を見るには、何か違う方法を打ち出さなければなりません。
僕は咄嗟に、
“八代真矢子さんが好き” という理由で
『プレイガール』を今後も見せてもらおうと目論みました。

・・・が、
子供は早く寝なきゃダメ、という事で、即、却下されました(笑)。

それからどれくらい月日が経過したかははっきり憶えていませんが、
或る時、
休みか早く仕事から帰ってきたか何かで
『マグマ大使』が放送されている時間帯に在宅していた父親は、
僕が『マグマ大使』を見ていると、

 「おっ、マグマ大使か」

などとわざとらしく言いながら、
僕の横に座りました。
八代真矢子さんを見ようという魂胆はバレバレでした。
自分だけ『プレイガール』も『マグマ大使』も両方見てズルいな、と思いましたが、
ちょうど、
八代真矢子さん演じるまもる少年のママは
ゴアに誘拐されていて、お話の中に出てこない回だったので、
父親は愛しの八代真矢子さんを拝む事が出来ず、「ざまぁみろ」でした(笑)。


さて、そんな、
魅力や思い出がぎっしり詰まったテレビ番組『マグマ大使』ですが、
関連のソフビ人形は、というと、
ブルマァクから、
マグマ大使とゴア、そして怪獣4匹が商品化されています。
どの人形も、造形が素晴らしく、
マルサンとは違った造形を目指すブルマァクの意志がすでに表面化していて、興味深いです。


 マグマ大使
 向かって左から、
 特大サイズ(全長約38センチ)、
 450円サイズ(全長約26センチ)、
 ミニサイズ(全長約11センチ)。


真ん中の450円サイズのものは、
子供の頃も持っていてお気に入りでしたが、
今見ても、
そのクオリティの高さに惚れ惚れしてしまいます。
アース(マグマ大使の生みの親)に対する
揺るぎない忠誠心と
正義を貫くたくましい精神を表す、
その凛とした佇まい、
気高く美しい顔の表情、
指の先にまでも表れている頼もしさ、
そんな、マグマ大使の威風堂々とした魅力を
巧みに捉えた造形だし、
黄金の肢体の神々しい輝きを
黄色の成形色に銀の塗装を吹いて表現するセンスも、
イカしています。
また、
ウルトラマンの人形と異なり、
両腕両脚以外の可動部が首ではなく腰である点が、
シャープでスピーディなウルトラマンとは対照的な、
重量感に訴えるマグマ大使の
どっしり構えたカッコよさに見事にマッチしていて、
人形の持つリアリティを高めています。
実に素敵な人形です。


  ただ、唯一残念なのが、
  この、お尻にある大きなメーカーの刻印。
  ウルトラマン人形のお尻や
  モスラ人形の背中にも見られる、
  ブルマァクの、毎度おなじみ、
  相変わらず無遠慮で無神経な所作であります。
  ただ、
  ウルトラマン人形やモスラ人形は
  マルサンが開発した金型ですので、
  それを手っ取り早く自社製品にしてしまうために
  わざと目立つように刻印を入れた、
  とも考えられます(それでも充分無神経ですが)。
  でも、マグマ大使人形は、
  ブルマァクが独自に造形したソフビ。
  実物の着ぐるみに似せた美しい造形を目指す一方で、
  こんな、人形の形体を乱すような行為を
  平気でやってしまうのですから、
  その粗雑さは、凡人には解釈不能であります(笑)。
  しかも、
  御丁寧に、このお尻の大きな刻印は、各サイズ共通。
  ミニサイズの人形なんて、お尻全部がブルマァクのマークになってしまっています。
  いやはや、なんとも。


   ちなみに、マグマ大使人形は上記3種のサイズのほかに、
   ジャイアントサイズ(特大サイズより大きいサイズ)と
   スタンダードサイズ(450円サイズより小さいサイズ)の人形も
   存在する・・・はずですが、
   僕は今まで一度も出逢った事がありません。
   スタンダードサイズの人形に関しては、
   金型は開発はされたものの何故か発売には至らなかった、と言われています。

     ※昭和50年代に入ってから、
       その金型を使用したと思われるマグマ大使のスタンダードサイズ人形が、
       アーク(オレンジ)というメーカーから発売されています。


ゴア
450円サイズ。全長約27センチ。

“地球を征服に来た宇宙の悪魔でありながら、子供が好き”。
そんな、
このゴアのキャラクター設定には、
原作者・手塚治虫先生の、
“絶対的な悪はこの世には存在しない” というメッセージが
込められていたのかもしれませんが、
幼かった僕は戸惑いました。
本当はいい人なのかな、って思ってたら、
正体は怪獣だったし(笑)。
子供心にとてもミステリアスな存在でした。



 僕の思い違いでなければ、
 ゴアは、
 己の醜貌に劣等感のようなものを持っていた(それを物語るシーンがあった)はずですが、
 その脂ぎったような顔の下品で不気味な印象が、この人形は巧く表現されていて、
 感心してしまいます。
 実物とそっくりの顔ではないけれど、ゴアの魅力がしっかりと伝わってきます。
 ボディが実物よりスリムなフォルムになってしまったのは
 ちょっと残念ですが、
 完成度の高いマグマ大使人形と並べても決して見劣りしない、
 ブルマァクらしい整った造形の、素敵な人形である事は間違いありません。

   と思った矢先、
   マントをめくると、またしてもお尻に大きくメーカーの刻印が・・・。
   ブルマァクは裏切りません(笑)。





        
    モグネス
      スタンダードサイズ、全長約20センチ。

     走ってくる新幹線を襲ったシーンがとても印象的だったため、
     僕はいまだに、新幹線に乗る度にこの怪獣の事を思い出します(笑)。
     人形の方は、
     実物のモグネスにそっくりの素晴らしい造形・・・と言いたいところですが、
     何の手違いか、
     はたまた無神経の極致か、
     尻尾がありません。
     デフォルメの次元では無いので、
     実物とイメージが無駄に大きく違ってしまうし、
     単に人形としての見映えからいっても、
     明らかに不恰好なので、実に残念です。 
     尻尾がちゃんと付いてたら、
     かなりカッコいい怪獣人形になったと思うのですが・・・。




グラニア
スタンダードサイズ、全長約22センチ。

独特の形状のボディが、
ブルマァクの綺麗で整った造形美と
表面の光沢によって美しく映える、
お洒落でアーティステックな人形です。
また、
そんな高尚志向にまるで反発するかの如く、
わざと気怠い感じを出しているような顔の表情が、
なんとも風趣に富んでいて、
人形の魅力の奥行きを深めています。
実物のグラニアもカッコいい人気怪獣でしたが、
ソフビ人形の方は、
その魅力を十二分に引き出しています。



 この人形を見ていたら、思い出した事があります。
 それは、
 数年前、友人が、

   「ブルマァクの怪獣に雰囲気が合うから、コレクションルームにどう?」

 と言って、
 イームズチェアを安く譲ってくれようとした事です。
 ハーマン・ミラーのアームシェルチエアで、
 赤いファブリックが付いた珍しいタイプのものでしたが、
 不粋な僕は、

   「部屋が狭くなるから」

 という理由で断ってしまいました。
 コレクションルームには中学生の時に買ったお気に入りのロッキングチエアを置いていたし、
 形状やデザイン(脚はエッフェル塔みたいな形だった)がお洒落すぎて、
 柄じゃないな、と思ってしまったのです。
 もったいない事をしたものです(恥)。
 もし、あの時、そのイームズチエアを買っていれば、
 このグラニア人形なんて、本当に雰囲気がピッタリ合うような気がします。



サソギラス
スタンダードサイズ、全長約20センチ。

人間を精神異常にしてしまう毒ガスを尻尾から放つ、恐ろしい怪獣です。
実物のサソギラスの目は渦巻きになっていて、
すでにサソギラス自身の精神が異常化しているのではないか、という感じでしたが、
人形の目は、
その印象的な渦巻きではなく、
こんな可愛らしいつぶらな瞳を選択してしまったため、
胴体と顔のマッチングに違和感が生まれてしまっています。
サソリの胴体に犬(ブルドッグ)の顔を無理矢理付けたみたいで、
まるでパチモン怪獣みたいな、安っぽい印象を見る者に与えます。
そこへもってきて、
両手のハサミは、シャープで精巧な作り。
このしっくりこない “ちぐはぐ” 具合がたまりません。
カッコいいようなカッコ悪いような、不思議な魅力の怪獣人形であります。




ジギラ
スタンダードサイズ、全長約22センチ。

頭部全体を金色でくるむ、という、
大胆と言うかヤケクソと言うか、そのなんともユニークな塗装が
奇妙なアクセントになっていて、
造形美に安定感がありすぎて地味な印象に陥りかけてる人形を
飽きの来ないものにしています。

ジギラは、
頭部の2本の角から磁力線を放つ怪獣なのですが、
人形からも、僕の心を引きつけて離さない強力な磁力線が出ているようで、
ついつい惹かれて、同じものを2体も買ってしまいました(笑)。


でも、
こうして並べてみると、
塗装色が
微妙に違う気がするのですが・・・、
気のせいかなぁ?


   マグマ大使怪獣のソフビ人形の発売は、
   このジギラをもって終了したようですが、4匹というのは少な過ぎます。
   まだほかにも、
   大恐竜(アロン)、フレニックス、ガレオン、ダコーダ、バルザス、ピドラ、
   そしてゴアゴンゴンなど、
   ブルマァクが開発したら
   絶対カッコよかったと思われる魅力的な怪獣がいっぱいいたので、
   残念でなりません。



       こちらは、
       ミニサイズの怪獣たち。全長約10センチ。
       ラインナップはスタンダードサイズと全く同じで、
       向かって左から、
       モグネス、グラニア(2種)、サソギラス、ジギラ。

       グラニアの2種は、
       成形色の違いだけではなく、サイズがひとまわり異なります。
       もしかすると、
       どちらか一方は、メーカーの刻印ごとコピーしてしまった海賊版かもしれません。



   怪獣もいいけど、
   ミニサイズなら、ぜひ、ガムやモルを商品化してもらいたかったものです。
   両者とも『マグマ大使』には欠かせない存在ですし、
   先に紹介した特大サイズや450円サイズのマグマ大使と並べれば、
   子供の頃の人形遊びも、かなり充実したものになったと思われます。

   とくにガムは主役のマグマ大使を食うほどの人気キャラクターでしたので、
   人形として商品化されていない事が不思議なくらいです。

   ガムといって思い出すのは、やはり、
   ガムを演じる子役の男の子(二宮秀樹さん)が、
   途中の数話だけ別の子役(吉田次昭さん)に代わってしまった事。

   何某かの事情があったのだとは思いますが、
   視聴者には何の説明もお断りもなく、
   突然、全くと言っていいほどイメージの異なる子に代わってしまっていたので、
   なんか、
    “どうせ見てるのは子供だから・・・”
   っていうノリで馬鹿にされた気がして、
   あまりいい気分がしませんでした。お話に感情移入も出来ないし。

   同世代の人と『マグマ大使』について語り合うと、
   この話題は決まって出てきますし、
   誰もが「あれは許せん」と言います。
   当時、僕ら視聴者がどれほどガムを愛していたかが、よくわかります。

   なので、
   そんな人気キャラクターがソフビ人形になってたら、
   かなり売れたンじゃないか、と思うのです。

   また、僕には、
   『マグマ大使』を見ていて、
   ガムの子役が代わった件以上に、不満に思っていた事があります。
   それは、
   同じレギュラー出演者でありながら、
   マグマ大使やガムに比べて、モルの活躍が極端に少ない事です。

   ご存知のとおり、
   マグマ大使らロケット人間は、
   まもる少年が超音波笛を吹いて呼ぶ事によって現れます。
   1回吹くとガム、2回吹くとモル、3回吹くとマグマ大使、が、
   無人の火山島からそれぞれ飛んでくるわけですが、
   まもる少年は、
   マグマ大使やガムは頻繁に呼ぶのに、
   モルの事は滅多に呼ばないのです。

   僕は納得がいきませんでした。
   モルは、
   マグマ大使のように巨大ではないので、
   怪獣と戦えるわけではありませんし、
   大人の女性ですので、
   ガムのようにまもる少年が友達として付き合える存在でもなかったので、
   仕方が無いのかもしれませんが、
   もう少しストーリーを工夫して出番を増やせなかったか、と思うのです。

   いちばん可哀想だったのは、
   超音波笛が使えなくなり、代わりに信号弾をまもる少年が使っていた時です。
   超音波笛と同様に
   1回撃つとガム、2回撃つとモル、3回撃つとマグマ大使が
   それぞれ飛んでくるものでしたが、
   ゴアに捕らえられたまもる少年がマグマ大使を呼ぼうとした時、
   捕らわれの身であるがために自由がきかず、
   3回撃ちたいところを2回しか撃てなかったため、
   マグマ大使ではなく、モルが飛んできてしまいました。
   自分が呼ばれたと思って張り切って飛んできたのに、実はお呼びでなかったモル。
   僕は彼女が気の毒で仕方がありませんでした。

   でも、モルは、イジける事もクサる事もなく、
   一生懸命、地球の平和を守るために、常に最善の努力をしてくれていました。
   素敵な女性です。

   なので、モルのソフビ人形があれば、
   絶対手に入れて、
   その健気さを称えて、労わって可愛がって、大切に大切にしてあげるのになぁ、
   と強く思う今日この頃なのです。

   ガムとモルがソフビ人形になっていないのは、つくづく残念な事であります。

   そういえば、
   モルを演じていらした三瀬滋子(現・應蘭芳)さんも、
   八代真矢子さんと同じ『プレイガール』のレギュラー出演者だったような・・・。
   うーん、
   『マグマ大使』のキャスティングした人、女を見る目があるなぁ(笑)。



思いつくままにダラダラ書いてきたので、
なんだかまとまりがありませんでしたが、
このように、
『マグマ大使』は、出演者や登場キャラクターに思い入れが強く、
忘れられないテレビ番組なのであります。
幼い頃ずっと愛用していたお茶碗も、
マグマ大使のお茶碗(水色のプラスチック製)だったので、
ご飯を食べながら、いつも、
そこに描かれた凛々しいマグマ大使のイラストを見つめていました。
子供の頃の時間のあちらこちらに、『マグマ大使』は刷り込まれています。
僕は『マグマ大使』が大好きでした。

だから、
22年前、トレードでドラゴンズにやってきた“三冠王・落合” の応援歌に、
その『マグマ大使』の主題歌が使われているのを知った時は、とても嬉しかったです。
落合選手がスタンドめがけて放つ打球に、
僕は、空を飛ぶマグマ大使の勇姿を重ね合わせ、
夢見るような感覚で応援していました。

しかも、
そうやって現役時代にドラゴンズに在籍した事が縁で
落合さんが今日ドラゴンズの監督になり、
負ける事が当たり前だった地元球団が毎年優勝争いをする強いチームになったわけですから、
喜ばしい事この上ありません。
『マグマ大使』の主題歌は、
子供の頃だけではなく、大人になってからの僕にも “夢” を届けてくれた、
元気の源を生み出すメロディなのであります。
また、それは、
明るく楽しく毎日を生きるための、僕自身の応援歌のような気もしています。

マグマ大使の絵が描かれたお茶碗でご飯を食べていた幼い子供が、
ビールを飲みながらプロ野球を見るオッサンになってしまうほど長い月日が流れても、
それでもなお、
心に活力を与え続けてくれる不滅のメロディ、
それは、永遠に輝き続けるヒーローのパワーを象徴するもの。
マグマ大使は、
今日も、あの主題歌に合わせて、僕の心の空を飛んでいるのです。


今、僕は、ラジオのナイター中継を聞きながら、この原稿を書いています。
連敗中の落合ドラゴンズですので、
なんとか今日は勝ってもらいた・・・、
試合終了。

また負けた。

・・・あれ?


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