真水稔生の『ソフビ大好き!』


第247回 「還る・その2」 2024.8

 え~、先月に引き続きまして・・・、

いやぁ~、暑いですねぇ、毎日、毎日・・・。
あまりに暑すぎて、
蚊すらも、夏バテ気味なのか(笑)、全然、飛んでないンですよねぇ。
今朝も、家の周りの草むしりを1時間ほどしたンですけど、まったく刺されませんでした。

・・・待てよ。
セミもうるさくない、蚊にも刺されない・・・、って、なんだか快適な夏じゃね?

んなわけないか(笑)。


・・・と、まぁ、そんな中、
先日、『セーラーファイト!』のスタッフ&共演者の人たちが、
なんと、喜井監督と僕の “還暦祝いの会” を開いてくれました。

第238回「老人の夢は生きている」の中で述べましたが、
昨年、『セーラーファイト!』の30周年を記念して飲み会が開かれ、
その際、

 来年、喜井監督と僕が還暦になる・・・、

って話題になって、
誰かが、

 「それじゃあ、来年は二人の還暦祝いでまた集まろう!」

なんて言ってくれていたンですよね。

けど、まさか、
本当にそんな会を開いてもらえるとは思っていなかったので、驚きました。
そして、とても嬉しかったです。

だって、
他人が自分の誕生日を祝ってくれる・・・、って、決して当たり前の事じゃないですからね。凄く特別な事ですから。
しかも、わざわざ東京から新幹線に乗って駆けつけてくれた人もいて、もう、泣きそうになりました。

 喜井監督も僕も、なんて幸せ者なのだろう・・・、

って、しみじみ思った次第。
ありがたい話です、本当に・・・。
60年も生きてると、たまには、いい事もあるようです(笑)。


事前に、

 赤いちゃんちゃんこの贈呈がある・・・、

と聞かされていて、

 ついにそんなものを着る時が来たのか・・・。
 けど、どうせちゃんちゃんこを着るのなら、
 赤よりも、
 黄色と黒の方
  (御存知、ゲゲゲの鬼太郎が着てるヤツ)がいいなぁ・・・(笑)、

なんて思っていたら、
実際には、赤いちゃんちゃんこでなく、赤いTシャツでした。
 
     








30年前の『セーラーファイト!』撮影時の写真がプリントされている、特製2点もの。
わざわざ、こんなものまで作ってもらえて、感激してしまいました。


それにしても、
30年前は、みんな若いなぁ・・・(当たり前(笑))。



ところで、
“ちゃんちゃんこ” と “Tシャツ” で思い出した事があったので、
タンスの奥から、
こんなものを引っ張り出してみました。
     前面は無地で、背面に鬼太郎の後ろ姿のプリント、

っていう、洒落たデザインのTシャツなンですけど、
これ、
『セーラーファイト!』の撮影の際に、
セーラーファイターのスーツアクトレスの女の子から、もらったものなンですよね。

奇しくも、先ほど、
鬼太郎の黄色と黒のちゃんちゃんこが着たい旨を述べましたが、
30年前も、僕、
“赤いちゃんちゃんこ” でなく “赤いTシャツ” だった今回同様に、
“黄色と黒のちゃんちゃんこ” でなく “黄色と黒のちゃんちゃんこの(絵が描いてある)Tシャツ” を
プレゼントされていたンです。
 

なんでも、
ゲーセンのUFOキャッチャーで取ったそうで、

 「真水さん、妖怪が好き、って言ってたでしょ? だから、これ、あげます」

って、撮影現場で手渡されました。

さすがに30年も前の物ですので、
脇や袖の辺りが破れちゃってボロボロゆえ、今は着ていませんけど、
彼女の気持ちが嬉しかったので、ずっと取ってあったンです。
だって、
これをゲーセンで取って、鬼太郎のTシャツだ、って判った際に僕の事を思い出して、
わざわざ撮影現場まで持ってきてくれたンですから、
嬉しいでしょ、そりゃあ。

ただ、この事を彼女に話したら、まったく憶えていませんでしたけどね(苦笑)。

とはいえ、
僕の大切な思い出の品。
今回の赤いTシャツ共々、これからもずっと大事に持っていたい、と思います。



スミマセン、脱線しました。
話を “還暦祝いの会” に戻します。

・・・で、
その “赤いちゃんちゃんこ” ならぬ “赤いTシャツ” を受け取った後、

 ちゃんちゃんこは、なんで “ちゃんちゃんこ” っていうのか、

って話題になり、

 江戸時代に袖無しの羽織を着た清国の子どもが
 鉦をチャンチャンと叩きながら飴を売り歩いていたのが由来で、
 そこから、
 袖無しの半纏の事を “ちゃんちゃんこ(チャンチャン子)” って呼ぶようになった・・・、

って或るスタッフの人が説明してくれたのですが、
その際、
さすが特撮ファンのじじぃの集い、斜め前の席では、仮面ライダーがどうのこうの、って話で盛り上がっていて、
その話も耳に入ってきていたので、
ちゃんちゃんこの名称の由来の飴売りの “飴” と、“仮面ライダー” がキーワードとなり、
僕は、
カンロの “仮面ライダーキャンデー” の事を思い出し、ノスタルジーに浸っていました。


御存知ですかね? カンロの “仮面ライダーキャンデー”・・・。

『仮面ライダー』放映当時(昭和46~48年)、
カルビーが発売した “仮面ライダースナック” に
おまけでついてきたライダーカードが、僕ら当時の子供たちの間で大流行したのですが、
その陰で、
カンロが “仮面ライダーキャンディー” って飴
(チェーン付きの筒状の缶に入っていて、その缶にはライダーや怪人たちの絵が描かれていました)を発売して、
それにも、ライダーカードが、おまけで付いてきたンですよね。
確か、カルビーのライダーカードよりも、やや大きめのサイズのカードで、
裏に書いてある番号が1000番台のものばかりだった・・・、と記憶していますが、
こちらは、やはり、“二番煎じ” ゆえ偽物感が強く、全然流行らなくて、
周りにも集めてる子はほとんどいませんでした。
ただ、僕は、

 “仮面ライダー愛” なら誰にも負けない、

って子供でしたので(苦笑)、
カルビーのライダーカードと同等・・・とまではいかずとも、頑張って結構な枚数、集めたンですよね。

・・・で、憶えているのが、
そのカンロのライダーカードに、
毒トカゲ男が両手を胸の前でクロスにしてる写真のカードがあったンですけど、
それが子供心にめちゃくちゃカッコよく思えて、
カルビーのライダーカードの毒トカゲ男のカード
(毒トカゲ男が空中でキックをしている写真で、これまたカッコよかった)と
並べて飾ってたンですよね。

当時、我が家にあった大きな本箱の上部に、
ガラス扉のショーケースがくっついてまして、
そのショーケースの中には、
鮭をくわえた熊の木彫りの人形とか、東京タワーと霞が関ビルが並んでる置物とか、
そういう、誰かからもらったお土産が色々と飾ってあったのですが、
僕は、それらを隅っこに追いやり、
ど真ン中のいちばん手前に、サイクロンに乗った仮面ライダーのプラモデルを飾っていて、
そのプラモデルに、
2枚の毒トカゲ男のカードを並べて立てかけたンです。

もう、毎日、眺めてましたね。
レコードをかけて、
『レッツゴー!!ライダーキック』や『ロンリー仮面ライダー』なんかを聴きながら、
そのショーケースの中をマジマジと覗き込むと、
胸が弾みながらも、和みややすらぎみたいなものも感じられる・・・、という最高の気分を味わう事が出来ました。

・・・ん?
考えてみたら、
片手に缶ビールが有るか無いか、の違いだけで、
現在の、コレクションルームでくつろいでる時の僕と、なんら変わらないなぁ・・・(苦笑)。



 
 


というわけで、こちらは、
現在のショーケースの中にいる(笑)、毒トカゲ男のソフビ。
ポピー製、全長約12センチ。



 
    番組放映時に発売された商品ですが、
昭和のミニソフビにしては、
実物のイメージを重要視したリアルな造形をしています。

彩色は、実物とは異なるものの、
胴体のこってりとしたクリーム色で “爬虫類感” を狂おしく匂わせ、
かつ、頭部に吹かれたシルバーで、
成形色の黒が持つ “闇” のイメージに “科学” の手が加わった印象を与え、
この怪人が “爬虫類(トカゲ)の改造人間である” という事を、端的に伝えています。

また、
目の部分の赤が、いいアクセントになって、

 いかにも悪者、

って感じで、
実に素敵なショッカー怪人の人形ではないか、と思うンですよね。 大好きです、これ。
              いい顔してます・・・。
                 
  このように、
首の周りが襟巻をしているような形態になっていたので、
子供の頃、
ドクトカゲとはエリマキトカゲの事だと、ずっと思い込んでいたンですけど、
或る時、
モリサダ君
(このエッセイに何度も登場している、
 近所に住んでた1歳上の友達で、一人っ子の僕が兄のように慕っていた存在)が、
黒い体に赤の斑模様が入ったトカゲ(アメリカドクトカゲ)の写真のシール
(モリサダ君の家はお金持ちでしたので、
 応接間のテーブルの上やキッチンに、常に外国製のお菓子が置いてあって、
 その中のチョコレートだったかキャンディだったかに、
 野生動物の写真のシールがおまけで付いていて、その中の1枚)を見せてくれて、

 「これがドクトカゲだよ。毒トカゲ男は、これの怪人」

って教えてくれました。 
            けど、
アメリカドクトカゲに毒トカゲ男はまったく似ていないし、
そもそも、“トカゲロン” という大人気怪人が “ドクトカゲの怪人” として既にいたので、

 “毒トカゲ男” なんて紛らわしい名前にせず、
 見た目のまま、エリマキトカゲ男でいいじゃないか・・・、

って思った事を憶えています(笑)。
             
         



さてさて、今回も結局、
赤ちゃんに還る意の還暦の話題から、
赤ちゃんの頃でなく、『仮面ライダー』を観ていた頃に還ってしまいましたが(苦笑)、
僕の人生を振り返ってみると、
やっぱり、“仮面ライダー” で、
決まった、というか、変わった、というか、
あの時の “ときめき” が、すべての根幹になってると思うンですよね。

もちろん、
それ以前に “ゴジラ” や “ウルトラマン” があって今でも大好きなンですけど、
小学校に上がって『仮面ライダー』を観て、
初めて、

 大人になったら俳優(佐々木剛さんや藤岡弘さんや千葉治郎さんみたいに)になりたい、

って憧れを抱いたし、
自身のアイデンティティとなる収集癖も、
明らかに開花したのは、先述のライダーカードのブームがあったからだし、

 僕という人間の土台は “仮面ライダー” で出来ている・・・、

と言っても過言ではないほど、影響を受けているンですよね。

特別なンです、“仮面ライダー” は・・・。 

                 
              ちなみに、毒トカゲ男、
口からい毒液を吐くンですけど、
還暦になったら、この怪人をしみじみ思い出す運命だったのでしょうか・・・。

違いますね。重々承知しております(笑)。
 
 

そんなわけで、では、また次回。
今月も、どーでもいい僕の思い出話(苦笑)にお付き合い下さり、ありがとうございました。




               前回へ               目次へ               次回へ