真水稔生の『ソフビ大好き!』


第232回 「なんでアルマジロ、だってアルマジロ」 2023.5

恥ずかしいなぁ、もぉ~。

・・・何が、って?
だって、あなた、
前回(第231回「ハラと呼ばないで」)の冒頭で、

 今年もプロ野球が開幕いたしました。
 我が愛する地元球団・中日ドラゴンズが、ここ10年ほど低迷しているため、
 悔しい、かつ、退屈な思いをずっとしているものの、
 毎年、この時季だけは、

  今年こそは・・・、

 と胸がときめきます、

・・・なんて述べたのに、
開幕してわずか1週間で
ドラゴンズが定位置(最下位)に落ち着いてしまったンですから。
恥ずかしすぎるでしょ、これ・・・。

 根拠も無く “今年こそは・・・” と期待して、
 ビール飲んで浮かれていたら、秒殺

・・・なんて、みっともないにも程があります。
ホント、バカみたい・・・ってか、バカですよね(苦笑)。

・・・で、そのまま淡々と1ヶ月が過ぎ去り、
恥ずかしさに、更には虚しさまで乗っかって、もう、ため息ばかりついてる始末です。
それにしても弱いなぁ、ドラゴンズ・・・。

負けてばっかり、だもんなぁ。
超つまンない。

 
・・・まぁ、でも、
毎年優勝争いをして、日本一や連覇をも達成する強い中日ドラゴンズを、

 落合さんの事が嫌い、

というだけで否定するファンや球団関係者がいて、
そのせいで強引に監督を変えた結果こうなったわけですから、
なるべくしてなった状態だとは思いますけどね。
地元球団が優勝する事を、
第一に望まないファンや球団関係者がいるンですから、
そりゃ強いチームではなくなりますよ。

常勝球団を持つには相応しくない地なのでしょうね、名古屋は。

哀しくてなさけなくて、嘆かわしい話です、まったく。
千葉とか福岡とか広島とかが羨ましいです。
ファンが一丸となって地元のチームを応援している感があるし、球団も変な人事しないし・・・。


・・・と腐っていたところ、
或る友人から、

 >何がきしょいだ!
 >野球は巨人っていうだろ。知らんのか?

って、メールが送られてきました。

同じく前回(第231回「ハラと呼ばないで」)の、

  名古屋で生まれ育ったのに
  ドラゴンズファンではなく巨人ファン、

 だなんて人に遭遇すると、

  なんで? きしょっ!

 って思う・・・、

って述べた箇所に対する反論(笑)、ってわけですね。

その友人は、まぎれもなく、

 名古屋で生まれ育ったのに
 ドラゴンズファンではなく巨人ファン、

って人なのですが、

 ・・・そうだ。
 こういう、地元愛に欠けたヤツが大手を振って歩いているから、ダメなンだ。
 名古屋が強い地元球団を持てないのは、こんな市民がいるからだ。
 全部、こいつが悪いンだ・・・、

と、怒りがメラメラと燃えてきたので(笑)、

 お前、日本人だから侍ジャパンを応援したンだろ?
 だったら、なんで、
 名古屋人なのに中日ドラゴンズを応援しないンだ?
 矛盾しとるがや。
 言っとって自分でおかしいと思わんのか?
 それに、
 今どき “野球は巨人”て・・・、ぷぷぷ(嘲笑)。
 さらには、
 それを理由に、名古屋人なのに巨人ファンである事の正当性を主張、とは、
 もう、時代遅れにして思慮浅薄で傍若無人。
 超ダサくて愚かしい言い分だ。恥を知れ、タワケ!

って返信して、戦闘開始。
その後、ラリーを4、5ターン続けましたので、
腐っていた気持ちはどこかへ吹き飛び、すっかり元気を取り戻した今日この頃です(笑)。
面倒くさがらず、ちゃんと相手してくれたその友人に、感謝。


それにしても、

 野球は巨人、

・・・懐かしいです。

 野球は巨人、司会は巨泉、

とか、

 野球は巨人、ガムはロッテ、

とか、
流行りましたからね、僕が子供の頃。
前者は、
『11PM』をはじめ多くの人気テレビ番組で司会をされていた大橋巨泉さんが
自ら発していた御自身のキャッチフレーズで、
後者は、
長嶋茂雄さん(当時の巨人の監督)と金田正一さん(当時のロッテの監督)が
それぞれのユニフォーム姿で共演された、ロッテガムのテレビCMにおけるキャッチコピー。
どちらも、
今からおよそ半世紀も昔のワードですので、
若い人は知らないかもしれません。
さすが僕の友人、いちいち懐古趣味です(・・・そういうわけじゃないか(笑))。

真面目な話、

 野球は巨人、

とは、つまり、

 野球と言えば巨人が決定版だ、

っていう意味ですから、
シンプルで解りやすく、おぼえやすくて、言いやすくて、実に優れたフレーズだとは思いますね。
それゆえ、
司会は巨泉、とか、ガムはロッテ、とか、いろんなものに流用も可能だったわけですし・・・。


そういえば、

 チョコレートは明治、

なんてコピーもありましたね。
こちらは、ただ言葉として存在するだけでなく、

 ♪チョコレートは め・い・じ

なんて節までついて有名でしたから、若い人でも知っているかもしれません。


それでふと思い出したのが、
明治チョコレートの懸賞品の、アルマジロのぬいぐるみです。

あれは、
長嶋さんと金田さんのロッテガムのCMと同じ頃だったと思いますが、

 ♪おいらは ア~ルマジロ~

っていう、
これまた節の付いたキャッチフレーズが流れるCMがありまして、
明治チョコレートの包み紙を送ると
抽選でアルマジロのぬいぐるみがもらえたンです。
確か、
そのぬいぐるみは、お腹の部分にファスナーが付いてて、
開けると、中にちょっとした小物が入れられる仕様になっていたと思います。

あれが欲しくて欲しくて、
当時、何度か応募してみたのですが、結局、当たらなくて、
とても悔しかった思い出があります。

 なんで男の子なのにぬいぐるみが欲しかったのか・・・、

っていうと、
あのアルマジロのぬいぐるみ、可愛くなかったンです(笑)。
ミッキーマウスとかウッドペッカーとかのような
動物を擬人化したものでなく、
只々、アルマジロがその姿のまま、ぬいぐるみになってる感じで、
そこが、
昆虫や爬虫類が大好きだった当時の僕にはカッコよく思えたンですよねぇ。

まぁ、アルマジロは哺乳類なのですが、
なんとなく爬虫類っぽいし、いわゆる珍獣だし、
どちらかというと、女の子よりは男の子に人気のある動物だったと思います。
なんたって、
『仮面ライダー』に登場するショッカーの怪人にもなってたくらいですからね。

そのアルマジロのぬいぐるみ、
ネットに画像があがってないか検索してみたところ、
当時懸賞で当てて、今でも持っている方がいらっしゃるようで、
ブログで紹介されたり、ネットオークションに出品されたりしてました。
久しぶりに見る事が出来、嬉しくて懐かしくて、思わず目頭が熱くなってしまいましたが、
ただ、やはり、
今見ても、決して可愛い造形とは思えませんでしたね(笑)。

当時、女の子であれを欲しがった人、いたのかなぁ・・・?

・・・ってか、
そもそも、なんでアルマジロだったンでしょう?
パンダやコアラみたいに爆発的人気があった動物でもないのに・・・。
チョコレートは明治、でも、
ぬいぐるみはアルマジロ、では、絶対なかったと思うンですけどね(笑)。


・・・というわけで、
今回、ソフビコレクション紹介の為ピックアップするのは、
さきほどチラッと述べました、
『仮面ライダー』に登場したアルマジロの怪人・アルマジロングです。
   
     


アルマジロングは、
第33話「鋼鉄怪人アルマジロング」において、
ブラジルから派遣されてきた怪人でしたが、
サブタイトルにもあるとおり、
鋼鉄並みの強度を誇る硬い皮膚を有しており、
それでライダーキックをも跳ね返す、なかなかの強敵でした。
 
ただ、お腹が弱点で、そこだけ皮膚が軟らかいンですよね。
戦闘中にライダーのパンチが、たまたまお腹に入った際、
急に、

 「きゃあ!」

みたいな(そう聞こえました(笑))、なよっとした悲鳴をあげて、

 そうか、弱点は腹だったのか・・・、

とライダーに知られてしまい、
そのお腹にライダーキックを喰らって、爆死しました。 


そういう、子供にわかりやすい怪人の特徴と、
それに伴うライダーと怪人の
律動的なバトル展開の心地良さが、
『仮面ライダー』が超人気番組である “理由” だったと思います。
       ホント、面白かったですから、『仮面ライダー』は・・・。
   
体を球状にして転がり、体当たりをしてくる、
“弾丸スクリューボール” なる必殺技を具えていましたが、
体を丸める習性があるのは
ミツオビアルマジロという種類だけだそうですから、
細かい事を言うと、
アルマジロングはミツオビアルマジロの怪人、って事ですかね。  
    そういえば、
当時(小学1年でした)、体育の授業でマット運動をするので、
体育倉庫からクラスメイトと一緒にマットを運んできて準備をしていた際、
アルマジロングのそれを真似て、敷いたマットの上を

 「弾丸スクリューボール!」

と叫んで、クラスメイトめがけてでんぐり返ししたら、
その子も、

 「とぉーっ!」

と叫んで、ライダーキックよろしく僕を蹴り返してきたのですが、
そこを先生に「何してる!?」と見つかり、
2人とも叱られて、ビンタされた思い出があります(苦笑)。

7歳の子供が大人から喰らうビンタは、
7歳の子供同士でじゃれ合う体当たりやキックの数百倍の威力で、とても痛かったです。
 
・・・閑話休題(笑)。
   

バンダイ製、スタンダードサイズ、全長約26センチ。

番組放映当時(昭和46年)に発売された商品です。
  第35回「ショッカー怪人に魅せられて」の中でも述べましたが、
この “充血した寄り目” が、

 怖いけど、どこかマヌケな・・・、

というショッカー怪人の愛すべき魅力を象徴しているようで、
僕はとても惹かれます。
しかも、
実物のアルマジロングよりも
黒目が大きくクリッと描かれているため愛嬌があり、
頭でっかちな不格好さ共々、
まさに “昭和の怪人ソフビ” って感じで、
見てると気持ちが安らぐンですよねぇ・・・。大好き。

   
   


ポピー製、全長約11センチ。

こちらも番組放映当時の商品。

ショッカー怪人のミニサイズソフビは、
駄菓子屋でも売られていた廉価版人形でもあるのですが、
このアルマジロング人形は、
わりと丁寧に作られた感のある造形で、好感が持てます。 

しかも、
ミニソフビならではの簡素なカラーリングながら、
“充血した寄り目(しかも、黒目を大きくクリッと・・・)” というポイントだけは、
スタンダードサイズに倣ってしっかりとおさえてあり、それもグッジョブ。
子供の時も買ってもらってよく遊んだし、
大人(コレクター)になってからも
すぐに探して結構早い時期に手に入れた、
半世紀以上に亘る僕のお気に入りソフビのひとつです。
 
                   


そういえば、
映画『シン・仮面ライダー』、
続編が作られるかも・・・、って話ですよね。
その際は、是非、
アルマジロング(って事は、アルマジロオーグかな)を登場させてほしいものです。

蜘蛛男や蜂女は、
『仮面ライダー』の代表的な敵怪人ゆえ、
リブート作品において真っ先にリメイクされるのは当然ですが、
世の中に “怪人” というもののイメージを浸透・定着させた “功労者” は、
実は彼らではなく、
サボテグロン、ドクガンダー、ドクダリアン、アルマジロング・・・といった、
いわゆる “2号ライダー編” に登場した怪人たちだと思うンですよね。
ただ不気味なだけでなく、
幻想的な面白さも要素として取り入れた、
その派手な見た目とユニークな特性が、“異形なるもの” を “キャラクター” として認知させ、
仮面ライダーシリーズのみならず、
その後の多くの特撮ヒーロー番組の悪役に、多大なる影響を与えましたから。

特にアルマジロングは、
先述したとおり、

 ライダーキックをも跳ね返す鋼鉄のような体でありながら、
 お腹だけが軟らかく、そこを攻撃されたらひとたまりもない・・・、

という解りやすい特徴で、面白く、
 
 怖いけど、どこかマヌケな・・・、


まさに、“ザ・ショッカー怪人” と呼ぶに相応しい存在でしたので、
『シン・仮面ライダー』の続編に
リメイクされて登場して然るべき怪人、と言えるのではないでしょうか。

それに、“続編” って事は、
一文字隼人が変身する2号ライダーとショッカーの闘いが描かれるわけですから、
“2号ライダー編” の怪人に出番がまわってくるのが、そもそもの道理。
真っ当なライダーファンなら、誰もが納得の登場、となるはず。

少なくとも、
その姿が劇場のスクリーンに映し出された際に、
同じアルマジロでも、
懸賞品がアルマジロのぬいぐるみであった時のような、

 なんで?

って事には、ならないと思います(笑)。




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