真水稔生の『ソフビ大好き!』



第223回 「いろいろ言いたくて・・・夏」  2022.8

先月の終わり頃でしたか、
新型コロナウイルスのワクチン接種を推奨したいあまり、

 「ワクチンを打つ・打たないは個人の自由、なんて事を言ってる人は、
  社会からいなくなってほしい」

と発言してネットニュースになってた人がいましたけど、
あまりに無配慮な言い方・・・、というより、
喧嘩売ってる、と取られても仕方のないくらいの “暴言” でしたので、

反ワクチンの人の中に、

 「どうせ社会からいなくなるのなら、
  “マスク未着用の方は入店お断り” という飲食店の店頭で、

   「食べてる時以外は、ずっとマスクしてなきゃいけないのか?」

  などという、しょうもない屁理屈で難癖をつけてお店側とモメた挙句、
  入店拒否された恨みから
  そのお店の悪口をSNSに書き込む・・・なんて事をする、幼稚で陰湿な人がいなくなった方が、
  社会は住みよくなると思いますよ」

くらいの事を言い返す人が出てくるかと思ったのですが、
バカだと思って端から相手にしていないのか、とくに強く反論の声をあげる人もおらず、
また、世間的にも、

 また、あの男か・・・。
    相も変わらず、偉そうに勝手な事ばかり言ってるな・・・、

って程度の反応で軽く聞き流しているようでしたので、
いわゆる “炎上” 騒ぎまでには至らず、ちょっと意外でした。

・・・だってェ、
誰かに対して、

 “社会からいなくなってほしい”

なんて、
人として絶対に言うべき言葉でない、と思うンですけどねぇ・・・。
許されるンですか? あんなの・・・。


まぁ、
その飲食店でのマスクの件をはじめとして、
礼儀や道徳心に欠けた言動を自信満々にする事で有名な人ですので、
今さら注意されたところで聞く耳を持たないでしょうし、
そもそも、
世の中にはいろんな人がいますから、

 いちいち気にしても疲れるだけ、

っていう事なンでしょう。

人それぞれ、
立場や境遇も違えば、価値観や思考回路も違いますので、
他人が自分と異なる感覚や意見を持っているのは、当たり前ですからね。

今までの人生で実際に接してきた人の中にも、

 なんでそんな事を言うのか(するのか)? 頭おかしいンじゃないの?

って思う人や、

 なんか、この人とはそりが合わないなぁ・・・、

って感じる人が、何人もいたし、
また逆にその人たちも、
僕に対してそんなふうに思ったり感じていたりしていたかもしれませんし・・・。


自分と他人は違う、ンですよね。

そういえば、
今から四半世紀前、
この『ソフビ大好き!』に “真水稔生の” なんて冠をわざわざ付けたのも、

 これは、あくまでも、
 真水稔生の、個人的な思いですよ、

って事をきちんと前置きしておきたかったからなンですよね。
書いてる僕と読んで下さる方が違う人間である以上、
内容に必ずしも共感してもらえるわけではありませんから。

或るアンティーク・トイ・ショップの店頭で、
マルサンやブルマァクのソフビがいかに魅力的か、って話を僕がコレクター仲間としていた際に、
近くにいた別の人から、

 「そんなの、
  自分の持ってる昔のソフビを売る時に高く売りたいから、
  無理矢理に価値を高めたいだけでしょ?」

などという、
的外れにも程がある素っ頓狂な意見で横槍を入れられて
唖然とした経験があったので、

 もしかしたら貴方とは物事の考え方がまったく異なるかもしれない僕の、
 個人的な思いや好みの話です、

って事を
タイトルで、殊更に強調しておこうと思ったのです。


ホント、いろんな人がいますから、世の中には。


・・・と、まぁ、そんなわけで、

 自分と他人は違う、

という当たり前の事を
改めて実感している今日この頃、
前回の第222回「真夏の象徴」を読んでくれた友人たちから、

 「アホか! 暑いのに元気なんか出るわけないがや!」

とか、

 「暑さを嫌がる事が罰当たりとか、マジ意味不明」

とか、

 「猛暑を楽しむ、なんて理解不能」

とか、
激しい反論の感想をいくつもいただきました。

あぁ、やっぱ、自分と他人は違う・・・(苦笑)。


・・・ってか、
みんな、本当に夏が嫌いなンですねぇ~。

そんなにイヤ? 暑いの・・・。

日本の1年間の半分は寒いンですから、
それを思えば、たかだか2ヶ月くらいめちゃくちゃ暑くても、べつにいいじゃん。・・・ダメなの?

そりゃあ僕だって猛暑はキツいですけど、
7月生まれだからなのか、生理的に夏が好きだし、
子供の頃に毎年感じた “夏休み” のワクワク感が、脳にこびりついているのでしょう、
暑くなってくると気持ちが躍って楽しくなってくるンです。

それに、
ビールだって美味しいし、ガリガリ君も美味しいし、
生きてる事の喜びを
これほどまでに強く実感させてくれる季節はない、と僕は思うンですよね。

なので、
いただいた反論に更に反論・・・というわけではないですけども、
今回のテーマも、“夏は明るく楽しい季節” って事にさせていただく事にしました。

・・・え? しつこい?
ハハハ。
そういう性分でなきゃあ、こんな自慰行為いみたいなエッセイ、四半世紀も続けられませんよ(笑)。


・・・で、
今、ビールやガリガリ君が美味しい、って言いましたけど、
夏に美味しい、と言えば、こちらもありますね。
     
  冷やし中華。

僕、大好きなンですよねぇ~。

彩り鮮やかな具材たちと中華麺が、甘酸っぱいタレ汁で絶妙に絡み合い、
濃厚な味なのにさっぱりとした清涼感を感じる、妙妙たる味わい・・・、
たまりません。

そんな冷やし中華、
僕ら名古屋人は、このように、マヨネーズをかけて食べます。
         
なので、
この地方のスーパーやコンビニで売ってるものには、もれなくマヨネーズのミニパックが付いてるし、
中華料理店で出てくるものにも、
マヨネーズが、
当たり前のようにかかっているか、もしくは、お皿の端に刺身のわさびの如く必ず添えてあります。

ところが、
そういう習慣の無い地域のお店では、全く論外のようで、
ずっと以前、
あれは、いちばん最初のウルトラマンフェスティバルに行った帰りでしたから、
今から33年前ですかね、
東京の或る中華料理店に入った際、
注文した冷やし中華が出てきたらマヨネーズがかかってなかったので、
座ってたカウンター席から厨房の中の店主さんに、

 「すいません、マヨネーズ、もらえますか?」

って頼んだのですが、
そしたら、

 「は? マヨネーズ?」

って、めっちゃ驚かれたのを憶えています。

首を傾げながら僕にマヨネーズのボトルを渡してくれたその店主さんと、
食べてる間、何度も目が合いましたが、
おそらく、

 変な味覚の人だなぁ・・・、

って思いながら、僕をチラチラ見ていたのでしょう。

めっちゃ居心地悪かったので、
その話を、後日東京へ出張に行った際に(当時の僕はサラリーマンでした)
東京本社の先輩や同期の社員たちに愚痴ったら、

 「はぁ? 冷やし中華にマヨネーズなんて、合うわけないじゃん!
  そんな食べ方、初めて聞いた。無い無い、絶対無い」

とか、

 「さっぱりしたいのに、
  マヨネーズなんかかけたら、油っぽくなって台無しじゃん。
  考えただけでゲボが出そう」

とか、
散々な言われ様で、全否定されました。

まぁ、僕は、
冒頭で述べた “礼儀や道徳心に欠けた言動を自信満々にする事で有名な人” とは違いますので、

 マヨネーズのかかった冷やし中華を否定する人は、社会からいなくなってほしい・・・、

なんて言いませんでしたけども(笑)、
べつに名古屋だけでなく、
山形とか福島とか、東北地方の人たちも、
冷やし中華にはマヨネーズをかけて食べてるそうですから、
そんなに驚いたり不思議がったり、ましてや全否定したりするような食文化ではないと思うンですよね。
それに、
せめて食べてから言ってほしいです。
本当に美味しいですから、マヨネーズのかかった冷やし中華は。超おススメ。


まぁ、とにかく、
ビールが美味しくて、
ガリガリ君が美味しくて、
そして冷やし中華も美味しい季節・・・、
こんな素晴らしい季節を嫌いだなんて、僕には考えられないのであります。

・・・あ、そうそう、
夏バテ、って暑さのせいじゃないですからね。

夏バテは、食事をしっかり摂らない人がなる自業自得の体調不良です。
朝御飯を食べなかったり、とか、
あれ嫌い、それ嫌い、って偏食したりとか、
そういう “食” に消極的な人が、バテるンです。

いつも言いますが、

 食べる事 = 生きる事

ですので、
“食” に消極的、って事は、
生きる事に消極的、って事になります。
バテて当然、体が弱って当然、ですよね。生きようとしていないンですから、本人が。
それを暑さのせいにされたら、
夏だってたまったもんじゃありませんよ。言いがかりです、そんなの。

よく夏バテする・・・、という人は、
暑さに萎れない健康な体をつくるため、どうか食事をしっかり摂って下さい。
この際、冷やし中華にマヨネーズをかけなくてもいいですから(笑)。


・・・と、
さっき自分で書いてて、ふと思ったのですが、
ウルトラマンフェスティバル(現・ウルトラヒーローズEXPO サマーフェスティバル)も、
そういえば夏の風物詩ですよね~。

毎年、夏休みの子供たちに向けて開催されるイベントですが、
今や “ウルトラマン” は
親子3代にわたって楽しめる国民的コンテンツゆえ、
夏がみんなに嬉しい季節である事を顕示している事象のひとつ・・・、そんな印象があります。

  平成元年に開催された記念すべき第1回の、チラシ。

この帰りに、居心地悪い店で冷やし中華を食べたわけです。


ちなみに、
この写真のポスターもあって、
嬉しくて、当時しばらくずっと部屋に貼ってました。

 
     
 
円谷プロの人からもらった、その第1回の、使用済み大入り袋。

当時は、円谷プロがウルトラシリーズを作っていない頃で、
今みたいに、
子供たちがみんな “ウルトラマン” を知っている、って状態ではありませんでしたので、

 ウルトラマンの大規模なイベントなんかやって、採算とれるの?

って、
円谷プロの人たちですら心配していたそうなのですが、
いざ開催してみたら、これが大盛況。
“ウルトラマン” の偉大さを、
僕ら大人のウルトラファンや当の円谷プロまでもが、強く再認識する事になるのでした。
 
   
ウルトラシリーズが上映されていたり、
特撮セットが再現されていたり、
撮影時の小道具や資料、ソフビをはじめとするの昔のオモチャなどが展示されていたり、
いろんなウルトラマングッズが販売されていたり・・・、
そんな夢いっぱいの会場内を、
多くの子供たちが目の色変えて飛び回ってるのを目の当たりにして、僕は、

 このイベントはいける、

って確信して、とても嬉しく思った事を憶えています。
べつにイベントスタッフでも円谷プロの関係者でもないのに・・・(笑)。 
     
  翌年の平成2年に開催された第2回のチラシ。

シルエットになってる新たなヒーロー、ってのは、ウルトラマングレートですね。

グレートの次がパワード、そしてティガ、そこからメビウスに至って現在へ・・・、という
新たなウルトラシリーズの流れが、ジワジワと動き出した頃です。
ウルトラマンフェスティバルの成功がそれを後押ししていった事は、言うまでもありません。
 


ところで、
この第2回ウルトラマンフェスティバルの会場で、

 バンダイ製の、
 一般に流通しているウルトラヒーローシリーズ・ウルトラ怪獣シリーズとは別バージョンの、
 ウルトラマンとバルタン星人のソフビが限定販売される、

との事だったのですが、
何某かの事情で予定が変更されたのか、
あるいは、
その事前情報がそもそも間違ってたのか、
実際には、
その限定版ソフビは、
ウルトラマンフェスティバルの会場ではなく、
当時、九州は熊本にあったウルトラシリーズのテーマパーク・ウルトラマンランドでの限定販売になっていました。

ウルトラマンフェスティバルの会場へ行ったら売っておらず、
売っているのはウルトラマンランドだ、と聞かされ、
さすがに
そこから九州まで買いに行く余裕が、
時間的にも経済的にも精神的にもありませんでしたので、
一旦諦め、
後日、コレクター仲間の横の繋がりを駆使して、なんとか手に入れた次第です。
   

これが、その限定版のウルトラマン人形とバルタン星人人形。
ウルトラマンランドが、
九州最大級の遊園地・三井グリーンランド(現・グリーンランド)の
敷地内にあったため、
マニアやコレクターの間では、
それぞれ、
“三井グリーンランド版” のウルトラマン、
“三井グリーンランド版” のバルタン星人、と呼ばれています。

     
 



全長約17センチ。
                 
             
当時の一般流通版の人形と比較すると、
単なるセコい(笑)色替えでなく、
完全に型が異なりますので、
“限定版” などと煽らなくても、
充分、価値のある人形だと思います。
 

     
 



全長約17センチ。
  バルタン星人のハサミは、
等身大の姿の際と巨大化した姿の際では左右が逆になり、
複数の四角いくぼみが並んで出来た列が、
等身大の姿の際にはハサミの外側に、
巨大化した姿の際にはハサミの内側に、それぞれ見られるのですが、
この人形は、外側でしたので、

 一般流通版と違って、これは等身大の姿の際のバルタン星人だ、

と購入当時は認識していました。
けど、
たまたま、こうなっていただけで、バンダイは、そんな事は一切気にしていなかったようです。
長年集めてきた中で、
この限定版に限らず、ウルトラ怪獣シリーズのバルタン星人人形のハサミは、
個体によって、左右が結構まちまちである事に気づきましたのでね。
要は、テキトーに付けてあっただけのようです(笑)。
       
 
ただ、
ハサミの左右はテキトーでも、
ウルトラマン人形と同じく、
当時の一般流通版の人形とは、完全に型が異なりますし、
下半身のギザギザの線に、
一般流通版よりもバージョンアップした人形にしよう、
という作り手の意思が感じられるので、
充分、魅力的な人形だと思います。
 
     
  そんな三井グリーンランド版のウルトラマン・バルタン星人の両人形、
当然ながら人気も高く、
3年後の平成5年(円谷プロ創立30周年)に、
再販された(今度はちゃんとウルトラマンフェスティバルの会場限定で)のですが、
ウルトラマン人形は、カラータイマーの色が変更されていました。
     
 

これは、
その三井グリーンランド版の再販人形と一緒に
同じく平成5年のウルトラマンフェスティバルの会場で限定販売されたタッコング人形。
バンダイ製 ウルトラ怪獣シリーズ、全長約11センチ。 
 
 
以前、第217回「定位置からの報告」でもチラッと紹介したソフビですが、

 高貴でスピリチュアルなイメージがある紫という色を成形色にして、
                   そこに、“ウルトラマンの色” である “銀と赤” の塗装を施す・・・、

という、怪獣の人形でありながらウルトラマンに対する敬意と憧れを感じる、ミステリアスな仕様でした。
     
  劇中のタッコングとほぼ同じ色をしている、
平成12年発売の一般流通版の人形と比べると、
いかにそのカラーリングがぶっ飛んでいたか、がよく判ります。
 

このぶっ飛んだカラーリングのタッコング人形や
三井グリーンランド版のウルトラマン人形とバルタン星人人形の再販が好評だったからか、
以降、ウルトラマンフェスティバルにおいて会場限定のソフビが発売されるのが恒例となり、
この『ソフビ大好き!』でも以前紹介した、
携帯式電子頭脳を持ってるザラブ星人人形(第67回「愛と美の法則」参照)や
クリア成型に三色吹きのネロンガ人形(第81回「ファンタジーと現実」参照)などのような、
マニアやコレクター向けの凝った商品が、毎夏、世に放たれるようになりました。
       
    これは、そんな中の一つ。
平成16年開催のウルトラマンフェスティバルで限定販売された、ダダ(B)人形。
バンダイ製 ウルトラ怪獣シリーズ、全長約16センチ。

御存知のように、
ダダは “三面怪人” の別名どおり、A、B、C、の3つの顔を使い分ける宇宙人ですが、
一般流通のソフビは、Aの顔をしたものしかなく、
ウルトラマンフェスティバルの会場限定で、このBの顔をしたダダ人形が発売された、という次第。
     
 



こちらが、
一般流通のダダ(A)人形。
バンダイ製 ウルトラ怪獣シリーズ、全長約16センチ。
   
 

じゃあ、Cの顔をしたダダ人形は? って話になりますが、
こちらは、
ハローマック(当時あった玩具量販店)での限定販売。 

ダダ(C)人形。
バンダイ製 ウルトラ怪獣シリーズ、全長約16センチ。



購入期間と購入場所を限定され、
暑い中をあっち行ったりこっち行ったり・・・、コレクターは大変です(笑)。


・・・あぁ、やっぱ、夏は楽しいなぁ。

以上、
ビールやガリガリ君が美味しくて、
冷やし中華も美味しくて、
そしてウルトラマンフェスティバルも開催される嬉しい季節・夏に
心が躍る僕・真水稔生の、『ソフビ大好き!』でした。

いつも読んで下さる他人の皆さま(笑)、どうもありがとうございます。
今後ともよろしくお願いしますね。
では、また来月。




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