第149回 「ソフビ妖怪散歩」 2016.6
【出演】 油・・・油すまし(日東科学教材製、全長約17センチ) 角・・・一角大王(日東科学教材製、全長約17センチ) 目・・・一つ目小僧(日東科学教材製、全長約18センチ) 傘・・・からかさ(日東科学教材製、全長約20センチ) 牛・・・うしおに(日東科学教材製、全長約15センチ) |
油「やってまいりました! ここは鳥取県・・・」 牛「うわっ!」 傘「あぁ、ゴメンナサイ、うしおにさん。大丈夫ですか?」 牛「大丈夫、大丈夫。 からかさ君こそ、ケガしなかった?」 傘「はい、大丈夫です」 目「一本足で一本歯下駄履いてるンだから、 バランス取りづらいよね」 角「雨で足場も滑るしな」 油「気をつけてね」 傘「はい、スミマセン」 |
油「それでは、 気を取り直してもう一度。 やってまいりました! ここは鳥取県境港。 偉大なる、 妖怪漫画の第一人者・水木しげる先生の、 故郷・出身地でありま~す!」 目「やっほーい!」 牛「いやぁ、来ましたねぇ~、はるばる名古屋から・・・」 |
油「昨年の9月に、 ソフビ怪獣散歩、というのをやりましたが、 今回は、 あれの “妖怪版” って事で、 御主人様のソフビコレクションの中から、 僕たち昭和の妖怪ソフビ5体が選ばれまして、 ここ鳥取県境港にあります “水木しげるロード” を 楽しく散歩しよう、 という企画でございます」 傘「わーい!」 |
目「なんか、 いきなり凄いンですけど・・・。 何ですか?これ」 油「妖怪トーテムポール。 水木先生がこのために描きおろした原画をもとに、 妖怪たちの絵が 高さ4メートルの杉丸太に彫り込まれてるンだよ」 目「へぇ~」 油「JR境線の鬼太郎列車で境港駅に着いたら、 まずは、 そのトーテムポールや この巨大イラストボードと一緒に記念撮影、ってのが定番だね」 目「なるほど」 |
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傘「あ、僕の像がある! わーい!」 目「からかさ君は、 水木先生の漫画では “傘化け” って呼ばれてるよね」 牛「ほかにも、 “からかさ小僧” とか “一本足の傘” とか、 からかさ君にはいろんな呼称があるけど、 それって、 日本中のいろんな所で愛されてる証拠だよな」 油「人気者だよね、からかさ君は」 角「一本歯下駄を履いた一本足でずっと立ってるのは 大変かもしれないけど、 そのバランスの悪い姿形だからこそ愛嬌があって、 みんなは、そんなお前が好きなンだから、 さっきみたいに倒れたり転んじゃったりしても、嘆く事無いンだぞ。 いつも、そうやって舌出して笑顔でいればいい」 傘「ありがとうございます!」 |
油「ちなみに、 水木しげるロードは、 この紹介文にあるように いろんな妖怪のブロンズ像が建っているから、 からかさ君だけじゃなくて、 僕らも自分の像に出会えるかも・・・」 目「わぉ、それは楽しみ!」 |
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角「それにしても、 153体とは凄いなぁ・・・」 牛「百物語すら、とうに超えちゃってますもんね」 油「平成5年のオープン当初は、 20体ちょっとしか建ってなかったそうですよ」 牛「それが どんどん増えていって、この数かぁ・・・。 水木先生の描く世界が 人々からいかに親しまれ愛され続けてきたか、を物語ってますね」 目「じゃぁ、 その妖怪ブロンズ像たちに早速会いに行きましょう!」 |
角「天気が悪いのが残念だなぁ・・・」 |
目「からかさ君、パァッと開いて傘になってよ」 傘「無理だよォ、そんな事。僕、ソフビの人形だもん」 目「あ、そうか」 牛「ってか、みんなソフビなンだから、濡れたっていいじゃん。 濡れても錆びたり壊れたりしないのが、僕たちなンだから」 目「なるほど」 油「それに、 “雨の水木しげるロード”、 ってのも、なかなか情緒があっていいンじゃない?」 角「それもそうだな。 よしっ、じゃぁ、はりきって行こう!」 |
目「わぁ、いるいるぅ~」 油「これは、あかなめ。風呂場の垢を舐める妖怪だね。 観光客を お得意のポーズでお出迎え、ってトコかな。 生き生きとした、いい表情してます」 |
牛「こちらは、豆腐小僧。 あれ? 豆腐の上に、お賽銭が置いてあるよ」 油「豆腐屋さんが ここを通りかかった際に商売繁盛でも祈願していったのかな」 角「ご利益、あるのかぁ?(笑)」 |
角「おっ、輪入道! これを見た者は魂を抜かれる、と伝わる妖怪だな」 牛「でも、ブロンズ像だから、 道行く人たちも安心して見る事が出来ますね(笑)」 |
牛「つづきましては、 御存知、ろくろ首姐さん」 角「おぉ、伸びてるぞ、伸びてるぞ。今日も絶好調!」 牛「妖怪って、楽しいですね(笑)」 |
目「・・・むむ? なんか、凄い妖気が漂ってますけど、ここは?」 油「妖怪神社だよ。 みんなで参拝していこう」 目「え? いいンですか? ソフビ怪獣散歩の時、 確か、 神聖な場所に相応しくない、って理由で、 神社仏閣では撮影NGだったはずですけど・・・」 油「メフィラス星人さんたちは、怪獣だからね。 けど、僕たちは妖怪。 神社仏閣には、逆に相応しいくらいだよ」 牛「それに、ここ、妖怪神社だし・・・。 妖怪が妖怪神社からNG喰らうなんて、 そんな馬鹿な話は無いでしょ(笑)」 目「それもそうですね」 |
油「“目玉おやじ清めの水” で手を清めて・・・」 | 角「一反木綿の鳥居をくぐり、境内へ」 |
油「御神体(高さ約3メートルの黒御影石と樹齢300年の欅)には、 生前、水木先生自ら入魂されたそうです」 牛「間違いなく、御利益がありそうですね」 油 角 目「人々が皆幸せに暮らせる、平和な世の中になりますように・・・」 牛 傘 油「では、再び、散歩に戻りましょう!」 |
牛「あ、ぬりかべだ」 油「ぬりかべは行く手を阻む妖怪だけど、 こんな小さなサイズなら、 僕たち、先へ進めますね(笑)」 牛「なんか、脂汗かいてるけど、 体調悪いのかな? ・・・あ、雨に濡れてるだけか(笑)」 |
牛「今度は泥田坊がいる!」 目「田を返せ~、って言ってるよ」 油「僕たちに言われても・・・」 牛「とりあえず、怖いから逃げましょう(笑)」 |
角「廃家などで放ったらかしにされた古雑巾が 積年の埃や湿気のせいで妖怪と化す、 白うねり」 目「さすがは元・雑巾、 濡れてる状態も、絵になりますね(笑)」 |
油「・・・ん? 誰かが後ろからついて来てるような・・・」 |
油「あぁ、やっぱり(笑)。 べとべとさん、先へお越し」 |
目「あっ、僕だ! イェ~イ、並ンじゃお、っと」 牛「一つ目小僧は、いたずら好きで有名な妖怪だよね」 油「そのいたずらを人間の大人に注意されると、 決まって言う言葉が・・・」 目「黙っていよ」 角「タチの悪いガキだな(笑)」 |
油「ところで、 一角大王さん、何してるンですか?」 角「何してる、って、ほら、 柿の実は、熟したら取って食べてあげないと 妖怪に化けちゃうから・・・」 油「たんころりん、でしょ? よく見て下さい。もう、化けちゃってますよ」 角「えっ!? ・・・って、 しょうもないボケに付き合ってくれて、ありがとう(笑)」 油「どういたしまして(笑)」 |
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目「饅頭屋さんの前で、なんと、雪女と遭遇! 今降ってるのは 雪ではなくて雨なのに・・・(笑)」 油「ちなみに、 ここで売ってる妖怪饅頭は、冷やして食べると凄く美味しいンだって」 目「なんで知ってるンですか?」 油「さっき、僕たちの御主人様が、 お店の人にそう勧められて試食した後、“納得” って顔して買ってたから・・・」 目「へぇ、そうなンですか。 けど、 冷やして食べると美味しい、なんて、雪女効果かな?(笑)」 |
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傘「・・・あれ? そういえば、御主人様の姿が見えませんけど・・・」 油「あぁ、今、 隣にある水木しげる記念館で、 鼻の下伸ばして猫娘さんとデートしてるよ」 牛「もはや、 若い娘なら、妖怪もそういう対象なンだ・・・」 角「っていうか、 人間の女性に相手にされないもんだから、ヤケクソなンじゃないか?」 淋しいンだよ、きっと」 目「哀れな御主人様・・・」 油「まぁ、せっかくですから、 そんな御主人様の面倒はこのまま猫娘さんに見て頂いて(笑)、 僕たちは散歩を続けましょう」 |
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傘「あ、土転び!」 油「山道にいきなり現れて、 こうやって抱きついてくる妖怪だね」 傘「土転びさんとしては、 ただ遊んでほしいだけなので、 こんなに怖がらなくていいンですけどね、人間は」 油「いやいや、 妖怪にいきなり抱きつかれたら、そりゃ、怖いでしょ。 ・・・同じ妖怪の僕が言うのも何だけどサ(笑)」 |
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目「ねぇねぇ、天井なめさん、 天井、ってそんなに美味しいンですか? 僕も舐めてみようかな・・・(笑)」 |
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油「あれ? なんか、急に雨脚が強くなってきたゾ。 カッコいい木の葉天狗の像も、びしょ濡れだぁ」 |
油「・・・と思ったら、雨ふり小僧! そっかぁ、 どおりでよく降るはずだ。 君がここにいたからなンだね(笑)」 |
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目「あっ、からかさ君が・・・」 傘「ねずみ男につかまっちゃったよぉ! たすけてぇ~」 |
牛「嬉しそうな顔しちゃってぇ。 いいねぇ、子供は無邪気で・・・」 油「そういえば、 からかさ君や一つ目小僧君って、何百年も前からずっと子供だね(笑)」 傘「元祖 “永遠の少年” です(笑)」 |
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油「あ、僕の像だ。 ふぅ~、やっと会えた」 角「油すまし、って妖怪は、 昔からその存在は言い伝わっていたものの、 どんな姿形をしてるか、は不明だったンだよな?」 油「それを水木先生が空想を膨らませて描いて下さったのが、この姿。 なので、 水木しげるロードには、 絶対建ってなきゃいけない像なンです。エヘン」 |
牛「僕も、自分の像、見っけ! ただ、これは、 “石見(いわみ)の牛鬼” なので、 大映の映画に出てきた僕とは姿が違ってるンですけどね。 でも、まぁ、 うしおにには違いないから、一応」 |
角「一応でも、自分の像があるから羨ましいよ。 俺の像、無いもんなぁ・・・」 |
傘「そんな暗い顔しないで、一角大王さん」 油「一角大王さんは水木漫画には出てこないですからね。 けど、 そもそも妖怪の姿なんて、曖昧なものなンですから、 像が無いのも、 その存在に神秘性が増して、いいンじゃないですか?」 角「上手い事、言うなぁ・・・」 油「さぁ、明るく散歩を続けましょう! 妖怪は陽気におどけながら行進するもの、と 昔から決まっていますし・・・」 牛「百鬼夜行の鉄則(笑)ですね」 角「今は昼だけど(笑)、 でも、まぁ、確かにそのとおりだな。 よしっ、 一丁、歌でも歌いながら陽気に行くか!」 |
角「♪カラ~ン コロ~ン」 油「♪カランカラン コロン」 目 牛「♪カラ~ン コロ~ン カランカラン コロン」 傘 |
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牛「・・・というわけで、 鬼太郎さん、こんにちは。 え~っと、 お父さん、お隣は親戚のお子さんですか?(笑)」 |
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油「ねずみ男が寝転がってるから、 僕たちも、ここでひと休みしましょう」 牛「結構、歩きましたね」 角「一つ目小僧とからかさは、子供なのに、 よく俺たちのペースについてこられたな。 なかなか、体力あるじゃん、お前ら」 目「周りに妖怪がいっぱいいるから、元気が出るンです」 牛「じゃあ、もっと元気が出る所、行く? なんでも、 妖怪ミストが噴出して癒し効果満点の “河童の泉” ってオアシスが、 この近くにあるらしいンだよ。 さっき歩いてたカップルが話してた」 傘「行きたい、行きたい!」 油「よぉし、じゃあ、探しながら向かおう!」 |
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油「ねぇねぇ、いそがしさん、 “河童の泉” って、どこにありますか? って、 やっぱ、忙しいから教えてくれないのね(笑)」 |
目「あ、あそこに河童の像が・・・!」 角「あの辺りなのかな?」 |
目「あのォ、 御歓談中、スミマセン。 “河童の泉” に行きたいンですけど、どこですか? ・・・って答えてくれるわけないか(笑)」 角「・・・ん? おい、あそこの信号のところ、 なんかそれっぽい公園があるぞ。行ってみよう」 |
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油「あった! ここだぁ!」 角「うわ~」 牛「すげェ~」 目「やっほーい!」 傘「わーい!」 |
牛「くぅ~っ、妖怪ミスト、出てる出てる! 」 油「気持ちが安らぐね」 |
牛「河童以外にも、いろんな妖怪の像があるよ!」 |
油「ねぇねぇ、小豆洗いさん、 僕にもショキショキやらせて下さいよ(笑)」 角「人間が小豆洗いに近づくと、 川にドボンと落とされちゃうンだけど、 ソフビ人形とは言え、さすが妖怪だな、油すまし。 近づくどころか、 背中に乗っちゃっても、全然平気じゃないか(笑)」 油「ヘヘヘ」 |
角「そして俺は、 ねずみ男と一緒に水泳を満喫中。 ほれ、スーイスイ、っと」 |
傘「僕は、 さざえ鬼さんと鬼ごっこ。わーい!」 |
目「あ、鬼太郎さん、 ダメですよ、そんな所でオシッコしちゃあ! ・・・え? 黙っていよ? これは一本取られました! ハハハ」 |
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油「・・・といったところで、 そろそろ、お別れの時間です」 傘「えぇ~っ? まだ帰りたくないよぉ~」 目「もっといたいのになぁ・・・」 角「電車の時間もあるからな、仕方ない」 牛「でも、 からかさ君や一つ目小僧君の気持ち、わかりますよね。 ここ、居心地いいもん。 まさに “妖怪の聖地”!」 |
傘「ホント、楽しかったぁ~」 角「雨で良かったな、逆に。 味のある散歩になったよ」 油「妖怪は、命や自然を愛する心の “象徴” でもありますから、 優しい気持ちで生きていれば雨降りもまた楽し、って事が伝えられて、 妖怪の面目躍如、といったところですね」 牛「それに、 雨の中を散歩だなんて、 ブリキや超合金のオモチャでは不可能な事ですから、 僕たちソフビ人形の良さもアピール出来て、嬉しかったです」 目「それでは皆さん、 そんな最高の気分で、元気に名古屋へ帰りましょう!」 油「おっ、切り替え、早いね」 角「タチの良いガキだ(笑)」 油 角 目「ハハハ!」 牛 傘 |
・・・そして、その日の夜。
「いやぁ、 昼間は賑やかだったなぁ・・・。 悪天候も何のその。 ソフビ人形とは言え、さすが妖怪だ。 さて、 丑三つ時、今度は我々の時間。 鬼太郎の歌にもあるように、 昼がお散歩、 とくれば、 夜は運動会。 さぁ、妖怪ブロンズ像の諸君、 昼間の妖怪ソフビに負けないよう、今夜も大いに盛り上がろうではないか。 行こ~~~うっ!」 |