第140回 「ソフビ怪獣散歩」 2015.9
【出演】 メ・・・メフィラス星人(マルサン製、全長約23センチ) ラ・・・ラゴン(ブルマァク製、全長約34センチ) ジ・・・ジャミラ(ブルマァク製、全長約21センチ) |
メ「『ウルトラ怪獣散歩』、おもしろいですねぇ」 ラ「あれをソフビでやろう、と?」 ジ「それで今日は僕ら3体が、 御主人様のコレクションケースを飛び出して、 こうしてお天道様の下にいるわけなンですね」 メ「たまにはイイでしょ?こういうのも」 ラ「イイけど・・・」 メ「ん?どうかしました?ラゴンさん」 ラ「いや、俺だけ、サイズが違うンで、見た目が変じゃないかな?って・・・」 |
メ「仕方ないじゃないですか、 ラゴンさんだけ、スタンダードサイズで発売されてないンですから」 ラ「うわ、なんか、軽い “仲間はずれ感” ・・・」 ジ「ひがまない、ひがまない」 メ「そうですよ。大きいサイズで発売されたなんて、光栄な事じゃないですか。 私もジャミラさんも、 そのサイズにはなれなかったから、憧れましたよ、当時」 ラ「・・・そう?」 メ「ええ。だって人気怪獣である証だもん」 |
ラ「人気怪獣?俺が?」 メ「思い出してごらんなさいよ、大きいサイズで発売された面々を。 バルタン星人さんにレッドキングさん、 それから、 ゴモラさん、ゼットンさん・・・、あ、あとキングジョーさんも!」 ラ「ホントだぁ!」 メ「ね?だから明るく元気に行きましょう!」 ラ「うん!」 |
ジ「・・・ねぇねぇ、メフィラスさん、 特に人気が高いわけでもないのに 大きいサイズの人形になってた怪獣もいましたよ。 ベル星人さんとかドラコさんとか・・・。 ラゴンさん、って そっちじゃないの? そもそも、スタンダードサイズの人形になっていない時点で 人気怪獣じゃないでしょ?」 メ「しっ!せっかく機嫌直してくれたンだから」 ラ「なんか言った?」 |
メ「え? あ、いやいや、何も。 ・・・そうだ! まず、この公園の説明をしましょうね。 え~っと、ここはですねぇ、 このエッセイの連載でお世話になってるゲイトウエイさんの、 店舗の裏にある小学校に隣接してる公園なンです。 なんと、 運動場から敷地が繋がってるンですよ。 広いですし、 ブランコや滑り台のほか、怪獣みたいな遊具もあって、 気持ちよく遊べる場所です」 |
ラ「緑もいっぱいあって、散歩にも最適な空間だなぁ・・・」 メ「そうなンですよ。 さすがラゴンさん、わかってらっしゃる。 だからこの公園を選んだンです。 散歩に最適なこの公園からスタートして、 周りをぶらぶらしながら、 途中、ゲイトウエイさんにも顔を出して、 んでもって、最後はまたこの公園に戻ってこようか、と・・・」 ラ「なるほど、いいねぇ」 |
ジ「それにしても、 子供達が集う小学校・公園と 大人になりきれない子供達(笑)が集うゲイトウエイさんが、 路地を挟んで並んでいるとは、 なんとも皮肉なロケーションですねぇ・・・」 メ「ハハハ。 では、そんな哀愁も味わいつつ、趣深く参りましょう!」 |
メ「最寄りの駅は、 地下鉄鶴舞線の塩釜口駅。 近くに塩竃神社があるので、この名前なンでしょうね。 塩竃神社への参詣口、それで塩釜口」 ラ「塩竃神社?」 メ「安産やお宮参りの御祈祷をして下さる神社です。 うちの御主人様も、御主人様のお子さんも、 代々お世話になってますよ。 確か、 御祭神は塩土老翁神、海を司る神様ですね」 |
ラ「え? じゃあ、行かなきゃ」 ジ「ラゴンさんは海底原人ですからねぇ、なんたって」 ラ「さぁ行こう、メフィラスさん!」 メ「ラゴンさん、 お気持ちは解りますが、ダメですね」 ラ「なんで?」 メ『ウルトラ怪獣散歩』、観てないンですか? 我々怪獣は、 神聖な場所にそぐわない、という理由で、 神社仏閣では撮影させてもらえないンですよォ」 ラ「そんなぁ~」 |
ジ「そうだ! すぐ近くに川があるから、そこに行きませんか?」 メ「植田川ですね」 ジ「川は海に繋がってるわけですから、 その流れを見つめながら、 海の神様に思いを馳せればいいじゃないですか」 ラ「おぉ、それは名案! ありがとう、ジャミラさん」 ジ「さぁ、行きましょう、行きましょう!」 |
メ「着きましたよ」 ジ「ほら、魚もあんなにたくさんいますよ、ラゴンさん」 |
||
ラ「あぁ、放流してあるンだぁ。 取らないでください 植田川をきれいにする会・・・、か。 けど、 それ、鯉だろ? 鯉なんか泳がしたって、べつに川はきれいにはならないンだけどなぁ・・・。 それどころか、 生態系に悪影響を与えて、水辺が壊滅しちゃうよ」 |
ジ「偽善者はいつもこうだ。文句だけは美しいけれど・・・」 メ「どっかで聞いた台詞だなぁ・・・。 でも、 この場合、 偽善者じゃなくて、 ただ生態系について無知なだけなんだと思うよ、 植田川をきれいにする会、って人たちが」 ジ「どっちにしろ、人間は勝手だ、って事ですよ」 メ「・・・」 |
ジ「・・・ん? なんか、重い空気になっちゃいました? スミマセン(汗)。 では、え~っと、 あぁ、あそこは何ですか?メフィラスさん、 なにやら 美味しそうな匂いがしてますけど・・・」 |
メ「“かつら” っていう焼肉屋さんですね。 美味しいンだぁ、この店。 焼肉以外に、 定食なんかも20種類以上あって、 ゲイトウエイの店長さんや私達の御主人様も、 よくここで食事してますよ」 |
ジ「あ、なんか、扉にギターの絵が描いてある・・・」 ラ「ここは何?」 |
メ「バンドの練習やレコーディングを行う音楽スタジオですね。 “ゼロスタジオ”っていいます。 ・・・あ、そうそう、 ゼロ、と言えば、 雑誌『特撮ゼロ』で、 うちの御主人様のエッセイの連載が始まりましたね」 ジ「その名も、 “真水稔生の『詫ビ寂ビ・ソフビ・夢遊ビ』”」 |
ラ「出たーっ、宣伝! わざとらしい “こじつけ” が、 いかにもうちの御主人様だなぁ(笑)。 ・・・あ、もしかして、 この宣伝のために、俺達、散歩させられてンじゃないの?」 ジ「ハハハ。そんな事はないと思いますが・・・。 まぁ、 『ソフビ大好き!』同様、 こちらの方もよろしくお願いします、という事で・・・」 |
メ「そうこうしているうちに、 到着しました、ゲイトウエイ!」 |
メ「早速、中へ入ってみましょう」 ラ「ワクワクするなぁ・・・」 ジ「おじゃましまーすっ!」 |
ラ「わぉ、“とびだすえほん” だ! ・・・懐かしい」 |
メ「プラモデルも、いろいろあるなぁ・・・」 |
ジ「わぁ、すげェ! オモチャだけじゃなくて、こんな生活雑貨まで扱ってるンだぁ。 見てるだけでも楽しいなぁ」 |
ラ「あっ、うちの子だ! 返してもらわなきゃ」 ジ「ダメダメ! それは この店の売り物ですよ、ラゴンさん。 あなたのお子さんは、 ちゃんと御主人様のコレクションケースにいますからぁ!」 |
メ「店長さん、 このチビラくんのシャンプーボトルを あなたにあげましょう、と言ってくれないかね?」 ジ「だから、売り物だってばぁ! それで「はい、どうぞ」なんて言って モノくれる人なんかいませんよ、メフィラスさん。 昔もそれで 地球人から地球を奪うの失敗したでしょ?」 |
メ「ハハハ。いや、失敬、失敬。 オモチャだらけで、 つい、テンションが上がってしまったもんで・・・」 |
ジ「まぁ、地球をもらう事は無理でも、 オモチャなら、お金を払えば手に入れる事は可能ですから、 御主人様に 頑張ってお金貯めてもらいましょうよ、メフィラスさん」 メ「いやぁ、それは厳しいなぁ。 うちの御主人様、たまにしか仕事しないから」 ラ「たまにしか仕事が来ないンだから、どうしようもないよ」 ジ「そういえば、 コレクションも、最近、全然増えませんね」 |
メ「サラリーマン時代はねぇ、 しょっちゅう、こちらのゲイトウエイさんでもソフビ買ってたンですが・・・。 昔はここのお隣さんが “マタンゴ” って名前のカレー屋さんでね」 ラ「あぁ、憶えてる、憶えてる!」 メ「そこで、うちの御主人様は、 窓際の席に座って カレーを食べながら黒ビールを飲む、ってのが 休日の昼間の習慣だったンです。 んでもって、 お酒弱いからすぐに眠くなって、 そのままうたた寝してると、 ガラガラガラガラ、ってゲイトウエイさんのシャッターが開く音が聞こえてきて、 それで目を覚ます」 ラ「んでもって、 マタンゴさんを出てゲイトウエイさんに入り、 店長さんと雑談しながらソフビ購入」 ジ「ずいぶんと、のどかな人生だったンですねぇ」 ラ「それが今や、 明日喰う米も心配な・・・(苦笑)」 |
メ「・・・あ、 こんな所で駄弁ってたら商売の邪魔ですね。 そろそろ公園の方に戻りましょう」 ジ「そうですね」 ラ「どうも、おじゃましましたぁ!」 |
|
メ「さて、公園に戻ってまいりました。 ラゴンさんにジャミラさん、 初めてのソフビ怪獣散歩、いかがでしたか?」 ラ「いやぁ、楽しかった」 ジ「また、やりたいですね」 メ「そうですね。もっといろんな所に行きたいですね」 |
メ「それでは、みなさん・・・」 メ ラ「ごきげんよう!」 ジ |
はい、カット! OKでーす! | |||
おつかれさまでしたーっ! | |||
メ「・・・いやぁ、よく歩いてよくしゃべったから喉が渇いちゃった。 水飲も、っと」 ジ「あ、僕も僕もっ!」 |
ジ「うわっ、水だっ!助けて~」 ラ「水が苦手なのに、なんで水を飲もうと思ったンだよ!?」 メ「しっかり者のようで、意外と “天然” ですね、ジャミラさん」 |