第31回 「夏だ!ビールだ!ソフビが美味い!」 2006.8
「夏本番! ビールのおいしい季節になりましたねぇ〜!」
って、テレビのニュースで言っている。
僕の場合、
夏でなくても、特別体調がすぐれない場合を除いて、ビールはいつもおいしいのだけど(笑)、
暑い夏に飲む冷たいビールは、やはり格別の味である。
夏川を 越すうれしさよ 手に草履
と、俳句にもあるように、
暑い夏の中で冷たいものに接する事は、実に気持ちが良い事であり、心を爽やかにする。
ビールはその最高峰。
炭酸の刺激による清涼感と独特の苦味、そして程良いアルコールで、
喉と脳を刺激してくれるこの素敵な飲み物を
キンキンに冷やしてグイッと飲めば、
夏が何故暑いのか、何のために暑いのか、それが理解出来るような気がする(笑)。
古代エジプトでは、
神に捧げる神聖な飲み物であったビール。
そんな格式高く古い歴史を持つ飲み物が手軽に飲める事を、僕は大いに感謝したい。
ビールは本当においしい。
仕事の後のビールも堪えられないが、
休みの日に昼間っから(朝から、でも可)飲むビールも、幸せを感じるほどおいしい。
子供の頃、
父親がナイター中継を観ながら飲んでるビールを一口なめたら、
目がくらむほど強烈な匂いと尋常じゃない苦さに思わずペッと吐き出した。
こんなクソまずい飲み物、僕は一生飲まないゾ、
って思ったものだが、
今では父親と同じようにナイター中継を観ながら、当たり前のように飲んでいる。
いや、
ナイター中継の無い日も、当たり前のように飲んでいる。
そう、当たり前なのだ。
ビールが冷えていない冷蔵庫ほど無意味で非常識なものはない、とさえ思っているほどである。
・・・なんて事を書くと、
さぞかし僕が酒飲みで、いつも酔っ払ってるみたいだけど、
実は僕はお酒が苦手。とっても弱いのだ。
確かにビールは好きで毎日飲むが、中ジョッキ2杯もあればもう充分。
それ以上飲んだら、
吐き気に襲われて、つぶれて寝てしまう。
でも、
それがわかっているのに時々調子に乗って飲みすぎてしまう。
目覚めると頭痛がガンガンと響き、とても辛いが、
体調が戻るとまた飲みたくなる。
ビールとは、
まったくもって魅力的な飲み物だ(笑)。
ところで、
東京は下北沢に、“天狗ビール” なる地ビールがあるらしい。
下北沢には天狗が祀られたお寺がある事からこの名がついているそうだが、
なかなか美味しいそうなので、ぜひ飲んでみたい。
下北沢は、
最近、映画『男はソレを我慢できない』や上戸彩さん主演のテレビドラマなどで舞台にもなっている、
庶民的でありながらファッショナブルでお洒落な街だが、
僕にとっては、
やはり “懐かしいオモチャの街” という印象が強い。
アンティークTOYショップが数件集中していて、コレクターになった頃から憧れの街のひとつなのだ。
オモチャの歴史を探るなら “浅草” だが、
懐かしいオモチャと手っ取り早く出逢うには、“下北沢” である。
安くておいしい食べ物屋さんもたくさんあるので、そこで食事したり、
日本茶の喫茶店や洒落たカフェなどで休憩したりしながら、
ゆっくりと一軒一軒、ソフビ怪獣人形を求めてショップめぐりをする、あのなんとも胸がときめく感覚は、
僕のコレクター生活の原点でもある。
一日の仕事を終えてビールを飲んだ時、
この一口のために一日頑張って働いたような錯覚が起きるように、
数ヶ月お金を貯めて上京し、下北沢でショップめぐりをするサラリーマン時代の僕の休日は、
この日のために嫌な事も辛抱して働いてきたのだと思えるくらい、めちゃくちゃ楽しい時間だった。
最近は、ソフビ怪獣人形の値段もどんどん上昇し、モノも出難くなったので、
数ヶ月お金を貯めた程度では、なかなか昔のような楽しい買い物は出来ないが、
それでも、
駅を降りてあの商店街を歩けばテンションは自ずと上がる。
今でも下北沢へ行く時は胸が弾むのだ。
僕の気持ちはコレクターになりたての頃とまったく変わってない。
それに、
僕が通っていたほとんどのお店が、昨今のフィギュアブームや復刻ブームに踊らされる事なく、
骨董玩具メインで現在も営業を続けてくれている事も嬉しい。
あの頃、
下北沢で出逢うソフビ怪獣人形1体1体が涙が出るほど懐かしく、感動しながら買い物していたが、
現在では、
その事自体が懐かしく思えて、胸がいっぱいになってしまう。
懐かしいと思ってた事が懐かしい、という、
“懐かしい” がどんどん重なっていく、当たり前だけどなんだか不思議な時の流れを、
妙に感慨深く思う今日この頃である。
思えば、
初めて下北沢に行ったのも、ちょうど今ぐらいの暑い季節だった。
駅の近くの、冷房がよく効いた中華料理屋で、買ったばかりのウインダムを袋から出し、
マジマジと見つめながらギョーザをつまみ、生ビールを飲んだ事を思い出す。
アルコールに酔ったか、ソフビに酔ったか、
とにかく気持ちの良い印象しかない楽しい思い出だ。
“初めての下北沢”で購入以来、 20年近い付き合いになるウインダム。 ブルマァク製スタンダードサイズ。 今でも手にすると、口の中で唾液が ギョーザとビールの味になる(笑)。 実物の怪獣の迫力を損なう事なく、子供のオモチャとして 見事にデフォルメされている優しい姿は、 マルサンソフビの真骨頂と言える造形である。 また、その素晴らしい金型を用いて、 メタリックな水色の塗装を施し 綺麗にまとめあげているいるところが、 ブルマァクソフビの真骨頂でもある。 マルサンの良さもブルマァクの良さも同時に味わえる、 一粒で二度おいしいソフビだ。 |
ウインダムと一緒に購入したムササビードル。 バンダイ製スタンダードサイズ。 「このムササビードルはいくらですか?」 とお店の人に尋ねたら、 「は? あ、狼男ね。 えーっと、狼男はねぇ・・・」 と言って値段を教えてくれた。 お店の人はライダー世代じゃないようで、 怪人の評価はいい加減なものだった。 どうしても狼男として売りたいようだったので(笑)、 そのまま狼男として購入した。 人違いのまま適当に値段をつけられていたとは、 まったくもって可哀想な人形だが、 その分僕が大切に愛してあげているので、 きっと喜んでくれていると思う。 ほら、嬉しそうに笑ってるでしょ?(笑) 足をガッと開いて大地に仁王立ちしているような力強い姿と、 真夏の灼熱の太陽を思わせる成形色が、 暑さに負けないスタミナをくれる、 まるで焼肉を思い起こさせるような、おいしいソフビだ。 ビールにも合いますね(笑)。 |
夏は、僕が生まれた季節。
そして、
その36年後、僕を生んでくれた母親が亡くなった季節でもある。
僕は子供の頃から、なぜか、最愛の母親が死んではじめて自分の本当の人生が始まる気がしていた。
だから、
心身共に、夏は僕にとってスタートの季節なのである。
しかも、
今述べたように、夏は、僕が下北沢に初めてソフビ怪獣人形を買いに行った季節でもある。
僕がコレクターになった季節なのだ。
人一倍汗っかきで暑がりな僕が、四季の中で夏がいちばん好きなのは、
夏が、あらゆる面で自分自身が始まった季節である、という事実によるものなのかもしれない。
・・・というわけで、
そろそろドラゴンズのナイター中継が始まるようです。
今日の先発は、僕の好きな山本昌投手。
たのむぞ、マサ!
先ほど水道水に浸した冷凍枝豆もそろそろ解凍出来たようなので、
今から缶ビールを開けたいと思います。
それでは、今回はこの辺で。
プシュッ!