第255回 「忍法 いかずち包丁!」 2025.4
撮影や収録が明け方に終わったり、 アルバイトも、ほとんどが夜勤だったりするので、 朝や真っ昼間に “晩酌” を楽しんでる事が多い僕ですが、 今日も、それ。 昨日の夜から始まった撮影の仕事を今朝終えて (といっても、そんなにいっぱい出るわけじゃないので、半分以上は待ち時間でしたが(苦笑))、 今は帰宅して午後2時過ぎ。 お天道様はまだまだ頭上にいらっしゃいますが、 「今日も1日、お疲れ、僕!」 と、心の中で自分を労っているところです。 ![]() この時のビールは、格別の味がするンですよねぇ・・・。 ただの “仕事の後の一杯” ではなく、 そこに、今述べた “お天道様がまだまだ頭上にいらっしゃる” って付加価値(笑)が乗っかるところがポイントなのです。 昼夜逆転の生活ゆえ、仕方ないんだ、 これは、“晩酌” なんだ、“仕事の後の一杯” なんだ、 すべての労働者に平等に与えらている “権利” なんだ、 と、その正当性をいくら自身に言い聞かせても、 やはり、明るいうちから飲むお酒には、 どこか、退廃的な生活状況に身を置いている背徳感のようなものがつきまといますからね。 映画『男はつらいよ』(第何作目かは憶えていないのですが)で、 渥美清さん演じる寅さんも、 お昼に或る食堂に入ってビールを注文する際、 「ビールの1本でも、もらうか。 それとも、昼間っから働いている労働者諸君に悪いか・・・」 って言ってましたから。 その、ちょっとだけ気が引けるような微妙な精神状態で飲み干すビールの味は、 ほろ苦いけど幸せを感じる、まさに “人生の味” ではないか・・・、そう思うのです。 そして、 そんなビールに欠かせないのが、おつまみ。 おつまみなんか、べつに何でもいい、無くてもいい、 って人もいるかもしれませんが、僕はそういうわけにはいきません。 だって、 ビールの味が人生の味なら、おつまみは、その人生のお供。僕の人生で言ったら、ソフビに相当しますから(笑)。 そりゃあ、欠かせません。 さて、 そんなおつまみ、 料理が得意で、自分でいろいろと作る事が出来たり、 または、そんなパートナーでもいてくれたりしたら良いのですが、 僕の場合、そのどちらにも該当しないので、もっぱら、スーパーで売ってる惣菜が主、となります。 今日のおつまみは、“うめご”。 サメの皮の煮凝りの事なのですが、名古屋では昔から “うめご” っていうンですよね。 これが、実は、 知る人ぞ知る、レアな食べ物でして、 名古屋市内のどこのスーパーでも売ってるわけではなく、 漁業の町として栄えた下之一色町の在った、現在の中川区の、一部のスーパーでしか、見かけないのです。 大好きなので、どこのスーパーでも扱ってほしいンですけどね。 |
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ゼラチン質のぷにょぷにょとした食感と、 それを楽しんでいるうちにふわっと広がる魚のうま味が、 たまらなく愛おしいンですよねぇ。 そのまま食べても美味しいですが、僕はわさびをつけて食べるのが気に入っています。 冬季限定の商品ゆえ、 これがスーパーの惣菜売り場から消えると、春到来。 まだ買えたという事は、季節はまだ冬、というわけです。 寒いのが大の苦手な僕ですので、早く春が来てほしいけど、 そうなると、“うめご” が食べられなくなるので、複雑なところです(笑)。 |
ただ、この “うめご”、 ぷにょぷにょしているゆえ包丁で切りにくく、 それが面倒くさいので、 もう、上の写真のように切り分ける事はせず、 ずっと、この、買ってきた塊の状態のものをそのままかぶりついていたのですが(苦笑)、 ![]() さっき、撮影現場で、 今日、帰ったら、“うめご” で一杯やる事に決めてる・・・、 って話を休憩時間にした際、 “うめご” を知っている女性スタッフの方がいて、 「クセのある味じゃないし、食感が気持ちいいから、何切れでも食べちゃいますよね」 っておっしゃったので、 その、 包丁で切りにくいから、面倒なのでそのままかぶりついて食い千切ってる・・・、 って話をしたら、 お前は犬か! とでも言いたげな、ひきつった笑顔をされてしまいました(苦笑)。 ただ、すぐに、 「切る前に、お湯で包丁を温めると切りやすいですよ。 ケーキなんかも、そうやって切ると、きれいに切れるから・・・」 って、優しくアドバイスして下さり、 帰宅後、早速、やってみたら、 本当に簡単に、そして上手く切れたンですよねぇ・・・。それが嬉しくて、今回、写真付きで紹介した次第です。 ・・・え? しょうもない? 包丁を温めて使う事くらい、誰でも知ってる? まぁまぁまぁまぁ、 そんな刺々しく突っかかってこないで(笑)、話は最後まで聞いて下さい。 その、お湯で温めた包丁で “うめご” が上手く切れた際に、思い出した事があるのです。 それは、“忍法 いかずち剣”。 子供の時に観ていた『快傑ライオン丸』(昭和47年~48年に放映)において、ライオン丸が用いた秘技です。 ギンザメ(その名のとおり、魚の “ギンザメ” の怪人)が出てくる回で、 最後、ライオン丸とギンザメが、馬に乗ったまま一騎打ちとなるのですが、 ライオン丸が、 「忍法、いかずち剣!」 と叫ぶと、ライオン丸の持っていた刀の刃が、たちまり真紅に染まり、 ライオン丸は乗ってる馬の脇腹に身を隠した状態で、 すれ違いざまに、その真紅の刃に変じた刀をギンザメに突き刺し、勝利するのです。 子供心に、めちゃくちゃカッコいいと思った反面、 その、真紅に色が変わった刀の刃にどんな特別な能力があるのか、劇中において何の説明も無く、 “忍法 いかずち剣” がいかなる忍法なのか、解からなかったンですよねぇ・・・。 同世代(特に特撮ファン)の人と飲む際には、よく話題に出して、 詳細・正解を知らないか聞いてみるのですが、 みんな、知らない・・・ってか、それ以前に、 そんな忍法をライオン丸が使った事も、ギンザメって怪人がいた事も、全然憶えてなくて、話にならないンです(苦笑)。 けど、先ほど、 お湯で温めた包丁で “うめご” が簡単に上手く切れた事で、 あぁ、そうか! あの、ライオン丸の “忍法 いかずち剣” は、 真紅に変じた刃に、“いかずち” っていうくらいだから “放電熱” が発生しており、 その大きな熱の力のおかげで、ギンザメを一刺しで鮮やかに切り倒す事が出来たンだな。 うん、そうに違いない! と納得出来たのです。 長年のモヤモヤが解消出来て、実にすっきりした気分。 ただでさえ格別の味がするビールがさらに美味い、ってなもんです(笑)。 それも、 お湯で温めた包丁で切ったのが、“うめご”、つまりはサメの皮の煮凝りで、 “忍法 いかずち剣” で切ったのが、“ギンザメ”、つまりはサメの怪人、 と来てますから、 もう、目には見えぬ壮大な力で動かされてる運命を、感じずにはいられないのです(笑)。 こういうの、ホント、好きなンですよねぇ・・・。楽しくなってきます。 ・・・ただ、まぁ、 厳密に言うと、ギンザメという魚は、系統学的にサメとは異なるグループに分類される魚ゆえ、 サメの皮の煮凝りである “うめご” と、ぴったりとは繋がっていないンですけどね(苦笑)。 でも、サメに似た魚ですし、それゆえ名前に “サメ” が付いてるわけですから、 “目には見えぬ壮大な力で動かされてる運命” を感じて人生を楽しむのに、たいした支障はありません(笑)。 |
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ギンザメ ブルマァク製、全長約15センチ。 番組放映時の商品です。 |
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以前、第65回「最後のチャンバラ世代」の中でもチラッと紹介した人形ですが、 敵キャラがソフビ人形として商品化された例は、 ウルトラシリーズとライダーシリーズ以外の作品では極めて少なく、 主役のヒーローのみしか商品化されていない場合がほとんどなので、 こういう、子供の時に毎週『快傑ライオン丸』を観ていた同世代の飲み仲間たちでさえ その存在をまったく憶えていない・・・、 なんていうマイナーな敵キャラが、 ちゃんとソフビ人形になってる、って事態は、コレクターにとって、とても嬉しい事です。 ![]() |
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なので僕は、 コレクションケースの中にいるこの人形を見るたび、 僕は憶えているぞ、君の事・・・。 “忍法 いかずち剣” でやられちゃったンだよな。 あの一騎打ちはカッコよかった。 死ぬまで忘れないからね。夢をありがとう・・・、 って、心で語りかけ、愛と感謝を伝えています。 |
そういえば・・・あ、これはまったくの余談になりますが、 その『快傑ライオン丸』の3、4年後でしたか、 由利徹さん、笑福亭鶴光さん、エバさん、ずうとるびさん・・・といった方々がレギュラー出演されていた、 公開録画スタイルの『学校そば屋テレビ局』っていうコント番組がありまして、 その主題歌の、 ♪学校のそばが おそば屋で そば屋のそばが テレビ局 って部分のメロディーが、 『快傑ライオン丸』のエンディング主題歌『ライオン丸がやってくる』の、 ♪ゴースン魔神と戦って ぼくらを助ける強い人 って部分のメロディーと、よく似てたンですよね。 なので、『学校そば屋テレビ局』を観ていて、 その主題歌を耳にする(確か、出演者全員で踊りながら合唱してました)たびに、 僕はライオン丸の事を思い出していました(笑)。 ホント、よく似てましたから・・・。 今、思えば、 『ライオン丸がやってくる』の作曲者である小林亜星さんが、当時、もしこれを知ったら、 “記念樹事件 (服部克久さん作曲の『記念樹』を、 小林亜星さんが、御自身による作曲の『どこまでも行こう』の盗作だ、と訴えて 裁判沙汰になった平成時代の出来事)” みたいな展開になったかもしれません。それくらい似てました。 でも、『学校そば屋テレビ局』の主題歌の作曲者も 小林亜星さんの可能性もあるので、わかりませんけどね。 莫大な数の曲をお作りになっておられる方ですので、 つい、うっかり、 以前に発表された作品のメロディーを無意識のうちに用いてしまわれていたのかもしれませんし・・・。 現に、小林亜星さんは、 テレビアニメ『キックの鬼』のエンディング主題歌と、 日本酒の大関のCMソング(♪酒ぇはぁ~ 大関 心意気ぃ~ 、ってヤツね)のように、 御自身が作曲された二つの楽曲のメロディーがよく似てる、って例が、過去にもありましたのでね。 それでいうと、 テレビ番組『クリス松村の注文の多いレコード店』の、 南佳孝さんがゲストの回で、 南佳孝さんが大滝裕子さんに提供された『黄色いかぶと虫』(作詞は康珍化さん)と 南佳孝さん御自身の曲である『素敵なパメラ』(作詞は松本隆さん)のレコードをかけて “聴き比べ” が行われ、 両曲のメロディーがよく似てる(ってか、ほぼ同じ)事を MCのクリス松村さんに指摘された南佳孝さんが、 「全く同じじゃん!」、「自分で自分を盗作してんのか!?」 とおっしゃって、初めてそれに気づかされる・・・、って一幕がありました。 クリス松村さんは、 南佳孝さんへのリスペクトとMCとしての気遣いから、 「この頃、とってもお忙しかったでしょうから・・・」 とフォローされてましたが、 南佳孝さんが、 「いやいや、これは、いかんでしょう」 とおっしゃって反省されてたのを、とても印象的に憶えています。 なので、 長年、音楽活動を続けてこられて、何十曲、何百曲と作曲していくと、 過去に自分がそのメロディーを作った事を忘れてしまい、 今、そのメロディーが浮かんだ、と錯覚して、 そのまま新作・新曲として世に出してしまう事もある、って事ですよね。 ただ、先述の、 ギンザメという魚は、 サメに似てはいるけれども、厳密には、系統学的にサメとは異なるグループに分類される・・・、 ってのと同じで、 観ている(聴いている)側からすれば、大した問題じゃないンですけどね。 サメとギンザメが似ている魚である、というだけでは、 “うめご” から怪人ギンザメに思いを馳せるのは不可能、 なんて事はないし、 『ライオン丸がやってくる』にメロディーが似てるから、 『学校そば屋テレビ局』の主題歌を楽しむのは不可能、 なんて事もないのです。 大切なのは、味、味わいです。理屈ではありません。 そもそも “うめご” だって、 べつに、サメの皮だから好きなわけじゃなくて、美味しいから好き、なンですから・・・。 ・・・と、 余談がダラダラ長くなってしまったので強引に締める今回、でありました(苦笑)。 |
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それでは、また来月。 今回も、最後まで読んで下さり、ありがとうございました。 ![]() |