真水稔生の『ソフビ大好き!』


第206回 「半世紀に亘る愛、さらに深まりて候。」  2021.3

前回お知らせした、
僕が出演する東海ローカルのテレビCMが、今月から放映されています。
YouTubeに動画もあがってますので、
東海地方にお住まいでない方も、どうぞご覧下さいませ。
こちらです。
  ↓
https://www.youtube.com/watch?v=nmJ4O_9cKys

名古屋では、
『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』を観てると必ず流れるので、
観てくれた友人・知人から次々と連絡が来て、
とても嬉しかったのですが、

 「カッコよかったよ」

 「ダンディーですねぇ~」

などと言ってくれる人が、何人かいました。
社交辞令やお世辞の類、あるいは揶揄、でしょうから、もちろん真には受けませんけれども、
あの役は、

 なんだかモサい学者、

という設定でしたので、
髪型や服装も、わざと清潔感の無いものにしてあるし、
演技も、
偉い先生なんだろうけど
薄くなった頭頂部がチラチラ見えるどうにもダサいオッサンが、一生懸命コメントしている “可笑しみ” を、
表現したつもりでしたので、
もしもそれが本当にカッコよく見えたりダンディーに思えたりしたのなら、
僕は役者失格です(笑)。


・・・それはそうと、
この、僕が演じた学者コメンテーターの、

 本人はいたって真面目なのに哀愁を秘めた滑稽さが滲み出てる、

って様、
なんか、ショッカー怪人に通じるものがあります。

ショッカー怪人、って、
見た目も怖いし、能力も凄いモンスターなのに、
詰めの甘い作戦の執行とともにどこか間の抜けた言動をとって、
ほぼ毎回、ライダーから同じ技を喰らって爆死、というワンパターンな最期を遂げますので、
鈍臭い、というか、
頭悪い、というか、
どうにも締まらないンですよね。

ドルゲ魔人のように
最初から開き直ってウケ狙いに走っていない分、
そのなんとも冴えない感じは、
たまらなく味わい深く、僕の感受性に響くンです。
仮面ライダーと同じ科学力で作られたのに・・・、ってのもありますしね。

 “カッコよく生きたいのに、どうにもうまくいかないオッサンの悲哀”

があります、ショッカー怪人には。

そういう意味では、
僕、子供の頃に憧れたショッカー怪人になれたのかな?(笑)


・・・というわけで、
そんなショッカー怪人について、
今回、また、その濃厚な想いを、綴らせていただこうと思います。

まぁ、愛するがゆえ、これまで幾度となくその魅力を述べてきてはいますが、
この度は、
自身をも投影して、より “怪人愛” が深まりましたのでね。
それに、
今年は『仮面ライダー』生誕50周年、という節目の年でもありますし、
グッドタイミングかな、と・・・。

ピックアップするのは、
番組放映当時、最も人気の高かった怪人であるザンジオーカミキリキッドです。

さて、ザンジオーとカミキリキッド、
いったい何を根拠に “最も人気が高かった” などと言えるのか、というと、
この2怪人、
当時『テレビマガジン』が行った “ショッカー怪人 人気コンテスト” で、
何を隠そう、
いちばん好きな怪人の2位と1位に選ばれているのです。

まぁ、
ザンジオーは『仮面ライダー対ショッカー』、
カミキリキッドは『仮面ライダー対じごく大使』、
という、
昭和47年に公開された映画で
それぞれ再生怪人たちを従えるリーダー的存在として描かれたのが、強く影響しているのですが、
実際、デザイン・造形も秀逸で、幼心を惹きつける力に満ちた、優れた怪人でしたし、
本当にみんな好きで、

 “仮面ライダーごっこ” で怪人役になった子がチョイスするのは、まず、この2怪人のどちらか、

っていうくらい、人気がありました。

とくに、ザンジオーは、
それまでテレビ放送には登場した事が一切無く、
映画を観に行って初めてその存在を知り、姿が拝める、という、
特別感にあふれた、
いわば “銀幕スター” として、
ほかの怪人よりもワンランク上、って感じの印象が強かったのです。

そんなザンジオーが2位でカミキリキッドが1位なのは、
この人気投票が
カミキリキッドがメインの『仮面ライダー対じごく大使』の公開直後だったからであり、
決して、
ザンジオーよりもカミキリキッドの方が人気があったというわけではないと思います。
リアルタイムな世代の僕の感覚では、
ザンジオーとカミキリキッドの人気は同率1位、でしたね。


それでは、
ソフビ人形とともに、各々を紹介していきましょう。 

まず、ザンジオーから・・・。


ザンジオーは、日本アルプスに棲む人喰い山椒魚の、改造人間。

人喰い山椒魚、て・・・。

もう、モチーフとなってる生き物からして既に恐怖ですが、
ザンジオー自体は、人間を食べたりしません。
さらっていった大道寺博士の娘・珠美(演ずるは斉藤浩子さん)も、
ちゃんと無事に返してくれましたしね(笑)。 

不気味だけど絶妙に愛嬌もあって、かつ、野性的な荒々しさもあって・・・、
僕ら当時の子供たちに愛されるべくして愛された、まことにもって魅力的な怪人でした。 

   
バンダイ製 仮面ライダー怪人シリーズ、全長約16センチ。

平成16年の発売。

私事で誠に恐縮ですが、
発売年の平成16年は、僕が、サラリーマンを辞めて、現在の事務所に役者として所属した年。

オモチャ屋さんの店頭に吊るされたこの人形を見て、

 お前は、たった一度の人生をどう生きたい? 何がしたい?
 子供の頃、何になりたいと思っていた?

って、
憧れの銀幕スターに言われた気がしたのを憶えています(マジ)。

僕の背中を押してくれたソフビなンです、これ。  



    こちらは、
番組放映当時(映画公開当時)のミニソフビ。

ポピー製、全長約11センチ。

子供の時も持ってました。
ショッカー怪人のミニソフビの価格は確か80円だったと思いますが、
先述したように
当時のザンジオーの “ワンランク上な特別感” は強烈でしたので、
買ってもらう際、

 ほかの怪人の人形と同じ値段でいいのか・・・?

って思ったのを憶えています(笑)。
     ・・・で、
買ってもらった後、
やはり特別な怪人ゆえ、ザンジオーだけは、
十数体持ってたほかのミニ怪人人形が入れてある箱には入れず、
本棚の下についてた引き出しの中にしまっていたのですが、

 「失くすから、ほかのと一緒の所にしまっておきなさい」

って母親に言われ、

 はぁ?
 僕がショッカー怪人の人形を失くすわけないがや!
 それも、よりによってザンジオーの人形を・・・。アホか!

って心の中で口答えしたした事も、憶えています(笑)。


続きましては、カミキリキッド。

カミキリキッドは、
その名のとおりカミキリムシの改造人間で、
映画に先んじて、
テレビ放送の第66話「ショッカー墓場 よみがえる怪人たち」にも、
やはり再生怪人を指揮するリーダー的存在の怪人として登場し、
映画でもその第66話でも、先のザンジオーをも配下に置いていた、超エリート怪人です。

・・・が、
残念な事に、子供のオモチャとしてのソフビ化は、されていないンですよねぇ・・・。

平成時代のバンダイの仮面ライダー怪人シリーズにも
ラインナップされませんでしたし、
第1話登場の蜘蛛男に始まり50種以上の怪人を商品化した昭和時代のバンダイ(ポピー)のミニソフビは、
第58話登場の毒トカゲ男をもって打ち止め、でしたし・・・。

人気No1.怪人だったのに、淋しい限りです。

ただ、
ソフビコレクターの大先輩である、著作家の元山掌さんが、

 子供の頃、カミキリキッドのミニソフビを持っていた、

と証言しているンですよね。

まぁ、
子供の頃の記憶なんて曖昧なものですし(僕が言うのもナンですが(苦笑))、
いまだに、ただの一度も市場に出てこないので、

 「事実ではない」、「元山さんの勘違いだ」、

なんて言う人が多いのですが、僕は信じたいと思っています。

なぜかというと、
一度だけ元山さんとお会いした事があるのですが、
その際に、

 カミキリキッドのミニソフビが存在した、というのは本当なのか、

尋ねてみたところ、

 オモチャ屋さんの店頭で販売されていたものを購入したのでなく、
 『仮面ライダー対じごく大使』を観に行った際に
 その映画館の売店で買った“福袋” の中に入っていた、

との事で、

 黒っぽい成形色の、塗装は一切されていない状態のものだった、

というのです。

つまり、

 いわば試作品どまりで一般販売には至らず、
 それが “福袋” に入れられる形で、東京近辺の映画館のみで限定発売された、

と考えられ、
それなら、可能性として、いまだに市場に出てこない事態にも、頷けますからね。

しかも、
もうひとつ、元山さんだけが証言している、

 マルサンの赤いガラモンは『ウルトラマン』放映時に “ピグモン” として売られていた、

という事に関しては、

 「絶対にその記憶に間違いはありませんか?」

って聞いたら、

 「そんなに強く言われると、自信無いけど・・・」

っておっしゃったのに(笑)、
カミキリキッドの件の方は、

 「絶対に勘違いじゃない。はっきり憶えている」

と断言なさったンですよね。

だから、信じたいのです。
子供の頃の記憶・思い出にこだわる僕ですので、余計にね。


・・・あぁ、そんなカミキリキッド、
どこかの家の納屋から、この令和の世に、ポロッと現れないかなぁ・・・。

なんたって、『仮面ライダー』生誕50周年なのですから、
“お祝い” の意味で、
それくらい粋な事、神様もしてくれたらいいのに・・・(笑)。

ザンジオーのミニソフビと、是非是非、ショーケースに並べたいものです。


そんな僕のショーケースには、
怪人たちがドッと押し寄せてくる状態をイメージして、コレクションたちを飾っています。

まさに、

 ♪迫るショッカー 地獄の軍団

です。



天国のお母さ~ん、
ほら、
今でもちゃんと言いつけを守って、
ザンジオー人形も
ほかの怪人人形と一緒の所にしまってあるよーっ!(笑)



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