第205回 「テレビっ子純情 ~歓喜のCM出演~」 2021.2
先日、この春から東海地方で流れる、或るテレビCMの撮影があったのですが、 ついに出られた! やっと出られた! って幸せを、噛み締めています。 というのも、 “初めて” なンですよね、テレビCMに出演させていただくのが。 ナレーションやキャラクターの声なら、いくつかやらせていただいていたのですが、 自分自身が出る・映る、っていうテレビCMは 今まで一度も無くて、 出たい、出たい、 と、ずっと思っていたので、念願叶って、とても嬉しいンです。 もちろん、 ナレーションやキャラクターの声での出演、という仕事も、 やらせていただける事は光栄の至りですので、とても嬉しいに決まってますが、 役者だ、って自分で言っている以上、やっぱ、顔を出したいのでね。 それに、 幼少の頃から思春期にかけて夢中でテレビを観ていた、いわゆる “テレビっ子” と呼ばれた世代ゆえ、 ドラマにしろバラエティにしろ、それこそCMにしろ、 テレビ画面に映し出されるその世界を “おとぎの国” のような感覚で捉えて、 そこにいる人(出演者)には、 それはそれは強い憧れを抱いて育ちましたので、 その思いが、 ずっと、心に根深く残っているンです。 16年前にサラリーマンを辞めて40歳でこの世界に飛び込んだのも、 “芝居がしたい” というよりは、 “テレビに出たい” っていう思いからでしたし・・・。 なので、 “演じる” 仕事をいろいろさせていただく中で、 特に、“テレビに出る” という事に、こだわっちゃうンですよね、どうしても。 「そんなの、ただのミーハーだ」 とか、 「お前には純然たる役者魂が無い」 とか言ってバカにしてくる人もいますけど、 ♪うっせぇ うっせぇ うっせぇわ! って、 Adoさんよりずっと以前から叫んでました(笑)。 心の中で、ですけど(苦笑)。 だって、 僕の師匠でも恩師でもないのに、そんな偉そうに批判なんかしてきて、 お宅、どちらさん? って話ですし、 そもそも、 他人の “夢” や “本気”、“一生懸命”、といったものを 否定したり嘲笑ったりするようなヤツは、 そうする事で、 何しに生まれてきたのか解らないような味気ない自分の人生を無理矢理正当化したいだけの、 実にくだらない人間であり、 そんなハナクソみたいな連中に、 僕が人生を捧げてしまうほど愛してこだわっている事に、安っぽいケチをつけられる筋合いなど、 まったくもって無いわけでして・・・、 あれ?何の話でしたっけ? ・・・あぁ、そうだ、CM、CM。 初めてテレビCMに出られる事になって嬉しい、って話でしたね。スミマセン。 えーっと、 では、話を戻しまして・・・(汗)。 そんな僕ですので、 オーディションに受かった時は欣喜雀躍でしたし、 リハや本番の最中のみならず、 メイクしてもらっている時間、弁当食べてる時間、待ち時間、移動時間・・・、ずっと幸せな気持ちだったわけなのです。 とくに移動時間に関しては、 東海ローカルのCMながら撮影は東京のスタジオでしたので(しかもロケバスで名古屋東京間往復)、 長い道中、ずっと、 子供の頃から観てきて記憶に残ってるテレビCMをいくつか思い出しながら、 あの “おとぎの国” にいる人に、僕、なれたンだぁ・・・、 って改めて感じ入り、 独り、歓びに浸っていました。 その余韻の中、今でもボーッと暮らしてる感じです(苦笑)。 そこで、今回は、 その、ロケバスに揺られながら思い出していたテレビCMについて、綴らせていただこうと思います。 たくさんありましたが、 特に心惹かれて好きだったものを2つ、取り上げますね。 以前、第66回「過去、現在、そして未来へ」の中で、 愛昇殿(名古屋を中心に葬儀場を展開している会社)のテレビCMを観て感動した、って話をしましたが、 あれは大人になってからの事ですので、 もっと昔、子供の頃に観たヤツ、それも、全国区のテレビCMを、ね。 あんまり東海ローカルの話ばかりして、 ほかの地方の人に 知らんし・・・、 なんて退屈に思われて、途中で読むのをやめられても悲しいので・・・(苦笑)。 まず、一つめは、 カステラで有名な “文明堂” の、テレビCM。 一般的には、 ♪カステラ1番 電話は2番 ってヤツがよく知られてますけど、 僕の心に残っているのは、それじゃないンですよね。 ♪目をつぶってごらん~ 聞こえるかしら~ (中略) ♪ハニーの世界 ハニ~ カステラ文明堂~ っていう歌のヤツで、 僕が小学生の高学年から中学生にかけての頃だったと思いますので、 昭和50年代のはじめでしょうか、よく流れてました。 なんか、 高原のような場所で、 4、5歳の外国人の女の子と、 擬人化した動物(クマとかウサギとかだったかな)の着ぐるみ数体が戯れている、 っていう、 まさに “メルヘン” って感じの、 不思議な世界観ではあるけれども、温かみを感じるやさしい映像で、 それがまた、 バックで流れてる先述の歌の、 メロディの美しさや歌っていた女性の声の聴き心地良さと、絶妙にマッチしてたンですよねぇ。 感情を甘く柔らかく刺激してくれる、とても素敵なCMでした。 ただ、 まだ一般家庭にビデオデッキが普及する前の時代のものゆえ、 YouTubeに録画映像をあげてる人も当然いなくて、今はまったく観られないンですよねぇ・・・。 ドラマなら、 そんな時代のものでも、 再放送されたり映像ソフト化されてたりすれば、今でも観られますが、 CMですからね、なんといっても・・・。 あぁ、もう一度観たいなぁ・・・。 そして、2つめは、 その文明堂のCMよりも更に昔、僕が小学1年生の時(昭和46年)に流れていた、 “DXアンテナ株式会社” というアンテナメーカーの、テレビCMです。 なんで、 “小学1年生の時”、 ってはっきり憶えているのか、というと、 それは、 『仮面ライダー』を観ていると必ず流れたから、 なのです。 おそらく番組のスポンサーだったンだと思います。 赤い風船を持って遊んでいた男の子(今度は日本人で4、5歳)が、 誤って風船から手を放してしまうのですが、 なんと、その風船、 屋根の上のテレビアンテナに吸い込まれるように消えてしまうのです。 それを見た男の子は、 何か、ひらめいたか気づいたか、急いで自宅に戻り、テレビのスイッチを入れます。 すると、 テレビ画面に、さっきの風船が空を飛んでいる様子が映し出され、 それを観た男の子が、嬉しそうに笑う・・・、 っていう、 なんとも夢のある内容で、 バックで流れる歌が、パンチが効いてて、かつ、味わい深くて、凄く良かったンです。 おじさんコーラスで、 ♪ル~ル~ルルル~ アアア~ ♪DXアンテナ~ 1本あ~れば~ ♪明るくきれいな~ 世界が映る~ って歌でした。 そのメロディと歌声に乗って、心が映像の中へ自然にスーッと入っていくような不思議な感覚を、 観る度に覚えたものです。 小学1年生(7歳)、という年齢は、 『仮面ライダー』の世界は虚構であり、 そこに映っているライダーや怪人たちが実際にこの世にいるわけではない、 と頭では解っていながらも、 それでも、神社や雑木林の近くを通れば、 ショッカーの戦闘員や怪人が出てくるような気がして、怖くて震えていたような年頃。 なので、 そのDXアンテナのCMも、 飛んでった風船が アンテナに吸い込まれてその家のテレビ画面に映る、 なんて事は、実際には起きない、 と頭では解っていながらも、 もしかして・・・、 と思って、 自分でも実際にアンテナに向けて風船を放してみたくなったのを憶えています。 以前にも述べましたが、 僕はひとりっ子で、 父親は毎晩仕事から帰ってくるのが遅く、 母親はテレビには興味が無くひたすら家事、って人でしたので、 そんな家庭環境の中、 誰にも邪魔される事無く、 静かに集中してテレビを観る事が出来たので(第141回「ひとりっ子・テレビっ子 ~忘れえぬ心の妹~」参照)、 『仮面ライダー』の物語だけでなく、 途中で流れるそんなCMにまでも、深く感情移入出来たンですよね。 あぁ、これまた、もう一度観たいなぁ・・・。 ・・・と、ここで、驚きの展開です。 今、この原稿を書きながら、 昭和50年代はじめの文明堂のテレビCMがYouTubeにあがっていないンだから、 それよりも更に昔の、 昭和46年に流れてたこのDXアンテナのテレビCMが今観られるわけがない、 と思いつつも、 ダメ元で検索してみたら、 CMの映像はやはり無かったものの、 歌の方が、 なんと、レコードが存在していたようで、 それを所有しておられる方が、音源をYouTubeにあげて下さっていたンです。 いやぁ、凄い! テレビサイズのものとはアレンジが若干違ってますが、 まぎれもなく、 あのテレビCMのバックで流れていた、 あの歌、あのおじさんコーラスの声、でしたので、めちゃくちゃ感動しました。 こちらです。 ↓ https://www.youtube.com/watch?v=C4CKqIgZNtA あまりに懐かしくて、涙がこぼれてしまいましたが、 コメント欄をふと見たら、 涙が止まりません、 生きてるうちにまた聴けて本当に感謝、 なんて書いてる人がいて、 同感! と心の中で叫びました。 いやぁ、嬉しい。ホント感激。 でもって、 このYouTube動画を観て初めて知ったンですけど、 作詞作曲は、 あの、歌謡界の大御所・和田昭治さんで、 歌っていたのは、 和田さん御本人と、ハニーナイツの皆さん。 特撮やアニメ番組の主題歌を数多く歌ってらっしゃった、あの、ハニーナイツです。 “おじさんコーラス” なんて言って、大変失礼いたしました(笑)。 和田昭治さんが作ってハニーナイツさんと歌えば、 そりゃあ、 名曲として僕の琴線に触れますよね。 50年後にして、今更ながら大きく納得した次第です。 さて、 ソフビコレクションの紹介ですが、 何かテレビCMにまつわるものはないか・・・、と考えまして、 今回は、こちら、ケムール人を、ピックアップさせていただく事にしました。 |
ケムール人は、 『ウルトラQ』第19話「2020年の挑戦」に登場した宇宙人で、 ケムール星の医学の発達によって、500年も生きられるようになったものの、 肉体の衰えだけは止められなかったため、 地球人の若い肉体を手に入れようと、 2020年のケムール星から1966年(番組放映時)の地球にやってきた、 という、時空を超える宇宙の誘拐魔でしたが、 時代が平成に入ってから(1995、6年でしたでしょうか)、 サントリーのアイスジンのCMに、なんと、出演したンですよねぇ。 それも、 当時の大人気アイドル・森高千里さんと共演で・・・。 ♪ジン ジン ジン ソーダとジンでケムール人 っていう森高さん歌唱の歌に合わせて、森高さんとケムール人が踊っている・・・、 という、シュールな映像でした。 |
バルタン星人やカネゴンのような、 誰もが知ってる有名なキャラクターではなくて、 特定の世代の人しか知らない “ケムール人” というチョイスがふるっていましたし、 その、 一般人には聞き馴染みのない名称を、 円谷プロの関係者とか 特撮マニアのオッサンとかでなく、 女性アイドルの森高千里さんが、当たり前のように口にする、 というのが、 なんだか嬉しかったので、よく憶えています。 |
そういえば、 昨年も、NTTドコモのCMに、 突然、ゼニクレージーが登場して驚かされましたが、 ああいう、 僕らの世代や特撮マニアしか知らないキャラクターが当たり前のように出てくると、 妙に嬉しいンですよね。 |
バンダイ製 ウルトラ怪獣シリーズ、全長約19センチ。 平成12年の発売。 やはり、 一般的知名度の低さからか、 マルサンからもブルマァクからもポピーからも ソフビ人形として商品化されなかったケムール人ですが、 それでも、 『ウルトラQ』からウルトラシリーズを観てきた僕らの世代にとっては、 押しも押されぬ人気怪獣ですから、 この人形の発売には、 現役の子供たちよりも、僕ら大人たちが喜んだものです。 「バンダイさん、ありがとう!」 と皆が口を揃えて言いました。 |
上の初版人形発売から数か月後、 600円から700円の値上げを機にヴァージョンアップ。 実物の、あの、目がぎょろぎょろ動く様を強調しようとしたのか、 目の横の皺が、 下の向かって右側の写真のように、黒く塗られました。 |
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ただ、 初版人形と異なる点は、これのみでしたので、 「なめとんか、バンダイ!」 と皆が口を揃えて言いました(笑)。 |
ところで、 ケムール人、って、 2020年のケムール星の人なンですから、 そのまま2020年の地球に来ればいいのに、 なんでわざわざ違う時代の地球に来たのか、 ずっと疑問だったのですが、 2020年になった去年、ようやく、その理由が解りました。 2020年の地球は、あんな地球(コロナ禍)でしたからね。 そりゃあ、避けますよね。 |
・・・けどさぁ、 2020年の地球があんな事になる、って知ってたのなら、 パトカーと駆けっこしたり遊園地で遊んだりする前に、 ちゃんと教えといてよ、ケムールさん。 そしたら、未然に防げたかもしれないのに・・・。 不親切だわ、あなたは・・・。 僕が、今、1966年の『ウルトラQ』の世界へ行けたのなら、 「ケムールさん、 あなたの挑戦は失敗に終わりますから、この時代にいても無駄ですよ。 それより、もっと先の時代の地球へ行きなさい。 そうすれば、 あの森高千里と共演で、テレビCMに出られますから!」 って、親切に教えてあげるけどなぁ・・・(笑)。 |