真水稔生の『ソフビ大好き!』


第186回 「ココアどこの細道じゃ ~甘くて苦い恋の味~」  2019.07

先ほど、近所のコンビニで、
ハッシュドポテトとフライドチキン、
それとアイスココア
(いつもだったらビールかお茶なンですけど、
 疲れているのでしょうか、体が甘味を欲しました)を買った際、

 「温かいものと冷たいもの、一緒に入れていいですか?」

と店員さんに聞かれました。

 いいわけないじゃん!

って思ったンですけど、
「はい」と答えてしまったので、
本当は帰宅してからゆっくり味わいたかった
ハッシュドポテトとフライドチキンとアイスココアを、
仕方なく店先ですぐに袋から取り出し、その場で素早く食べた今日この頃です(苦笑)。

だってぇ~、
「一緒に入れていいですか?」って聞かれたら、
「いいえ、分けて下さい」とは、言いづらいじゃないですかぁ~。

この、
コンビニにおける
温かいもの(温めた弁当とか揚げ物とか肉まんとか)と
冷たいもの(飲み物とかアイスとか)を
購入した際の店員さんの袋詰め、
毎度毎度の事なので、
僕、ずっと胸に引っ掛かってるンですけど、

 「一緒に入れていいですか?」っていう聞き方、違うンじゃない?

って思うンですよね。

要は、

 面倒くさいからそうしていいか?

って事でしょ。
そういう意味じゃない、そんなつもりはない、と言われても、そう聞こえます。

いや、

 「一緒に入れていいですか?」

って聞いている時点で、店員さんは、
もうすでに、全部一緒に入れるべく大きめの袋を手にしている場合がほとんどですので、
間違いなく、
そういう意味の、そんなつもりです(笑)。

そこから、

 「いいえ、分けて下さい」

とは、
やっぱ、言いづらいンですよね。
袋を分ける方が手間だって事は、客側だって解かっているのですから。

なので、
店側が、
“一緒に入れる” よりも手間のかかる、
“分けて入れる” 方を前提にして、

 「温かいものと冷たいもの、袋はお分けしますか?」

っていうふうに、
聞いてもらいたいです。
それなら、
「はい」も「いいえ」も言いやすいですから。

これが、
外国人の店員さんなら、
“一緒に入れていいですか?” と “お分けしますか?” の違い、
つまり、
日本語の細かいニュアンスや、行間を読み取るような日本の文化は、
理解出来ていないかもしれませんので、
端からそこまで要求する気は起こらないのですが、
日本人の店員さんだと、
なんか、いちいち気になっちゃうンですよね(先ほどの店員さんも日本人でした)。
店員さんの、
横着さ・客に対する配慮の不充分さを、感じてしまうのです。

まぁ、
僕のような、
“温かいものと冷たいものは袋を分けて入れてほしい”
って人は少数で、
“袋を分けずに全部一緒に入れてもらった方が、かさばらなくていい”
って人の方が多数かもしれませんが、
接客として正しいのは、
やはり、
“一緒に入れていいですか?” ではなく、“お分けしますか?” だと思いますし、
それに、
せっかく日本人同士なのですから、
ざっくりとした意味の理解だけで意思の疎通を図るのではなく、
言葉のチョイスや言い方から、ちょっとした相手の気遣いを感じて、
気持ち良く買い物をしたいものです。


・・・な~んて事を考えながら、
ちょっぴり不快な気持ちで、
ハッショドポテトとフライドチキンを
アイスココアで喉から胃袋に流し込みましたので、
帰宅した今も口の中に残っているココアの味には、
甘味よりも苦味が、
若干強めに感じられる次第です(笑)。


そこで、ふと、
このソフビの事を思い出ました。

じゃーん!
ココア色の成形色が優しく心に薫る、ココアミクラス(僕が勝手に命名)です!

 ブルマァク製 スタンダードサイズ、全長約23センチ

・・・と言いたいところですが、
実は、
違うンですよねぇ・・・。

これ、復刻品なンです。

なんでも、
昭和の終わり頃に
或るメーカーから発売される予定が直前で頓挫し、
出荷されないままどこかの倉庫に眠っていたものが古物業者に発見され、
市場に流出したもの、だそうです。

同じような出自としては、
赤茶色のアントラー人形(あちらはマルサンの復刻品)が有名ですよね。 

でも、そういう知識が、
このココアミクラスと出会った時(今から20年くらい前だったかな)の僕には、
無かったンですよねぇ、恥ずかしながら。

ブルマァクのミクラスの色違い(しかも、俗に言う “珍色”)だと思って、もう、歓喜の入手でした(苦笑)。

                   
   
購入後も、
甘く慕わしいココア色の成形色が
『ウルトラセブン』を観ていた幼少の頃の懐かしい思い出を
より愛しく甦らせてくれる感覚に
夜な夜な癒され、
やすらぎと幸せを満喫していたので、
復刻品だと知った際は、ちょっとショックでした。
まるで、
贋物つかまされて、何も知らず浮かれていたようで、
悔しいやら情けないやら・・・。
 

その時、
このココア色の成形色に、
今日のアイスココアの後味のような、
“甘味より若干強めの苦味” を、感じたわけです。

 
   
とはいえ、
復刻品だとわかって、そんな思いをした後も、
人形自体に対する僕の愛情は、決して薄れませんでしたけどね。

心底惚れた女なら、
二股かけられたりお金を騙し取られたりしても、
嫌いにならない、なれない、でしょ。
それと同じです。

・・・例えが変?(笑) 

まぁ、つまり、
復刻品だからといって、
このココア色が醸し出す魅力の美しさは、褪せたり濁ったりしなかった、という事です。
絶対的なものだったンですよね、僕にとって。

そもそもオリジナル品だって、
マルサンの型を使ってブルマァクが再販した、いわば “復刻品” だったわけですし・・・(笑)。 
       
    そして、
平成も終わって令和となった今では、
昭和の終わりに作られたソフビ人形なんて、立派なアンティークトイ。
しかも、
その昭和の終わりにコレクターとなった僕としては、
モニュメント的な意味合いも加わり、
このココアミクラスは、
僕のソフビコレクションの中でも、特別な存在となっているのであります。
               
            ちなみに、
ブルマァクのオリジナル品と比べると、
まったく同じ型と大きさでありながら、
おそらく材質が異なるからでしょう、
ココアミクラスの方が、かなり軽いです。

その明らかな軽さに、
“復刻品である” という身の程をわきまえている、
ココアミクラスの殊勝な心がけを感じます(笑)。

・・・って、やっぱ、
裏切られてもその女の事を良いように信じて思い込む、
“恋” に似てるなぁ・・・(苦笑)。
 
余談ですが、
昔、NHKで放送されていたクイズ番組『連想ゲーム』で、
お題(連想させるべきワード)が “ココア” だった際、
いろんなヒントを出すも、
なかなか正解出来ない解答者(確か、三橋達也さんだったと思う)に業を煮やした白組キャプテン・加藤芳郎さんが、
ヒントは一語でなければならない、というルールを無視して、

 「どこの細道じゃ」

っていうヒントを与えて強引に正解を導き出し、
同時に、観覧客の爆笑をさらったのを憶えています。

違反ヒントゆえ、減点されてましたけどね。 
今の僕が解答者だったら、
「ミクラス」とか「復刻」とかの一語ヒントで
すぐに正解出来るから、
減点なんかされないンだけどなぁ・・・(笑)。

ってか、
「どこの細道じゃ」ってのは、御存知『とおりゃんせ』ですから、

 ♪ 行きはよいよい 帰りはこわい~

なんて、
やっぱ、“恋” を思い浮かべちゃうなぁ・・・。
 今までどんな恋愛してきたンだ? 僕は・・・(笑)。


















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