第163回 「夢見る頃を過ぎても」 2017.8
真夏の暑さに加え、
なぜか雨降りばかりの、
どうにも過ごしづらい今日この頃ですが、
それもたいして苦にならないくらい、僕は、必死な毎日を送っています。
といいますのは、
本番を10月にひかえた舞台に出演する事になり、
ひたすら稽古稽古の日々だからなのです。
名古屋市の中村文化小劇場の座付き劇団の公演で、
タイトルは『夏、なかむらの夜の夢』。
原作は、
シェイクスピアの『夏の夜の夢』なのですが、
その舞台設定であるアテネの森を、
現在の日本の、
名古屋市中村区にある豊国神社の森に
無理矢理(笑)置き換えてアレンジした物語になっています。
・・・が、
何がそんなに必死なのか、って、
実は、この芝居、
僕は、代役、つまりピンチヒッターなのであります。
出演予定だった劇団員の方が諸事情で降板してしまい、
急遽、出演する事になったのです。
劇団員の皆さんが4月から稽古してきたところに、
この8月から参加ですので、
台詞はもちろん、歌(ソロも有り)も踊りの振り付けも、
今からおぼえなければならず、大変なンです。
まぁ、でも、
ここは腕の見せどころだ、
と思って、
張り切ってやってますけどね。
必死、というよりは、夢中、って感じでしょうか。
追い込まれた状況を楽しんでます。
それと、
“シェイクスピアの作品をアレンジ” って企画そのものに惹かれた、
というのも、
暑さや悪天候を忘れてしまうくらい稽古に夢中になれる理由ですね。
今回の代理出演の依頼があって、
スタッフの方から内容の説明を受けた際、
シェイクスピアの “言葉” とか “論理” とかを守りつつ、
“名古屋” の地域性や郷土愛をもって『夏の夜の夢』を弾けさせる・・・、
というコンセプトは、
有意義で面白いものだと思いましたし、
同じようにシェイクスピアの作品を原作にした、
昔のSF映画(『テンペスト』を基にした『禁断の惑星』)の事も思い出して、
なんか、カッコいいなぁ・・・、
と思い、
その場ですぐに、
「是非、やらせて下さい」
と返事をしたンです。
・・・で、
台本を受け取った瞬間、
まだ1頁も開いていないその時点から、
もう、あれやこれやと自由にイメージを膨らませ、
胸をときめかせながら今に至っている次第。
以前にもチラッと述べた事がありますが、
僕が芝居の世界に惹かれるのは、
その、
“イメージを自由に膨らます”
という作業を共通項に、
幼い頃にソフビ怪獣人形を闘わせて遊んでいた時と同じ、
“夢見る感覚” がよみがえるから、
なんですよね。
まぁ、だからといって、
台本を読む前からその作品を気に入ってしまうなんて安易だし、
ましてや、
本番直前の、既に立ち稽古が始まってるような芝居への途中参加を
二つ返事でOKしてしまうなど、
「無謀だ」
「軽率だ」
「安請け合いだ」
と非難する人もいるかもしれません。
けれど、これは、
直感、つまり本能的なものが成せる業ですので、それで良いと思っています。
なんとなく興味が湧いたもの、
理由はよく解らないけど惹かれるもの、
生理的に自分に合ってるような気がしたもの、
そういうものを僕は信じていて、
迷わずその方向に進むよう、心がけているのです。
どっちみち、
世の中、自分の思いどおりにいく事なんか滅多にないのですから、
失敗を恐れて慎重に前もってよく考えるなんて、
時間の無駄だし、
やりたい事をやる前からあきらめて何もしないなら、
もう、その人生そのものが無駄。
とりあえず一歩踏み出す事、それが大事なンです。
一歩踏み出せば、
いろんな事が動き出しますから、
思惑と違ったり、何かやり損じたりしたとしても、
好きで進んできた道なら、
その時その時で、また次の刺激的展開が待ってますからね。
それを積み重ねていく事が、“充実した毎日・楽しい人生” となっていくのです。
好きな方向に夢見て踏み出さなくて、何が人生か、
何もしない人生を無事に生きて、生命に感謝なんて本当に出来るのか、
そう思っています。
生まれ育った愛する名古屋で今も暮らしている僕が、
シェイクスピア作品を名古屋版にアレンジした芝居の舞台に立たせてもらえる、
しかも、SF映画『禁断の惑星』の存在がそれを後押し・・・、
そんな嬉しい機会、
僕の脳が “止まれ” や “注意” の信号を出すはずがありません。
見えてるのは、くっきりとした青信号のGOサイン。
当然、踏み出して進みますよ、僕は。
なんなら、走っていきます(笑)。
ところで、
『禁断の惑星』には
ロビー・ザ・ロボットというキャラクターが登場しますが、
そのロビー・ザ・ロボットで、思い出す事があります。
もう、20年以上前の話ですが、
或るアンティークTOYショップで、
レジ横に座っていた店長さんの背後の棚に
ロボコンの仲間たちのミニソフビが数体並んでいて、
その中の、ロボメカが欲しかったので、
「スミマセン、後ろのロボメカ、ちょっと見せてもらえますか?」
ってお願いしたら、
その店長さんは、やや馬鹿にしたような口調で、
「ロボメカと言われても・・・」
と呟きました。
僕よりも少し年上とお見受けしたその店長は、
たぶん、
ロボットと言えば鉄腕アトムか鉄人28号、といった世代の方で、
『がんばれ!!ロボコン』に登場したキャラクターなんか、
名前で言われても、さっぱり解らんよ、
とでも言いたげでした。
なので、
「その、水色の、
左胸に小さいハートがいっぱい付いてるヤツ(ガンツ先生)と
手が注射になってる看護婦さん(ロボペチャ)の間の後ろにある、
黒い・・・」
って説明したら、
「このロビーみたいなヤツ?」
と解って下さり、
「そうそう、そうです。それ。ロビーみたいなヤツ」
と話が通じて、
手に取って見る事が出来たのです。
状態も新品同然でピカピカでしたので、
迷わず購入したのですが、
しっかりプレミア価格が付いていました。
といっても、
20年以上も昔の事ですので、
今思えば、まだまだ安かったンですけど、
その時は、
名前も知らんキャラクターの人形に、
何を根拠や自信にして、こんな法外な値段つけとンねん!
と、若干イラッとした事を憶えています(笑)。
それ以来、
『がんばれロボコン!!』を観ていなかったであろう世代の人に
ロボメカの形状の説明をする際には、
“ロビーみたいなヤツ” という表現を用いるようになりました。
・・・まぁ、でも、
『がんばれロボコン!!』を観ていなかったであろう世代の人に
ロボメカの形状の説明をする機会なんて、滅多にありませんけどね(笑)。
ロボメカ ポピー製 ミニサイズ、全長約12センチ。 ガリ勉ロボット・ロボガリの弟。 弟ロボット、つまり、新式な機械ゆえ、 自分は兄(旧式)のロボガリよりも優秀である、と主張する、生意気なヤツです(笑)。 |
|
こちらは、 その兄・ロボガリ。 ポピー製 ミニサイズ、全長約10センチ。 兄なのに弟よりも性能が劣る自分に、苦悩するンですよね。 ロボットなのに、 人間以上に人間臭いのが、 『がんばれ!!ロボコン』に登場するロボットたちの、愛しき特徴でした。 |
頭脳明晰なロボット同士ゆえ、 プライドとプライドがぶつかって、そりゃあ確執は起きるでしょうけれども、 僕のコレクションケースの中では、いつも兄弟仲良くしていてほしいものです(笑)。 |
そんなわけで、
仕事(芝居)も
趣味(ソフビコレクション)も、
相変わらず生活度外視で夢だけ見て生きてる僕ですが、
どちらも、
愛と魂を込めて、一生懸命やってます。
『夏、なかむらの夜の夢』、御都合よろしい方は、是非、観に来て下さいね。
劇団 座・なかむら 第2回公演 『夏、なかむらの夜の夢』
|
急な代役ゆえ、 チラシの名前は、降板した劇団員の方の上に、 シールで貼られています。 この手作り感、まさに芝居の内容を象徴しています(笑)。 舞台の上から、 ロボガリやロボメカみたいな人間臭さを、 愉快に温かく、観客席にお届け出来たら・・・、と思っています。 よろしくお願いします。 |
【追記】
稽古終了後は、夜勤のアルバイトに精を出す毎日ですが、
今回の舞台の事を考えながら作業していたせいか、
作業場の段差につまずいて転びそうになり、
その際、足の裏(土踏まず)を痛めてしまいました。
あまりに痛いので整形外科に行ったら、足底腱膜炎と診断されました。
現在、
薬を飲み、湿布してサポーター付けて、痛い足を引きずりながら稽古しています。
痛くて辛いし、不自由だし、治療費はかかるし、
最初は、
なんでこんな目に遭わすんだ!?
僕が何した!?
と、
神様に文句の一つも言ってやろうか、と思いましたが、
本番前じゃなくて良かった!
と思い直し、
神様には感謝する事にしました。
・・・大人だなぁ、僕(笑)。
ちなみに、
この足底腱膜炎、
発症するのは、主に40~50代だとか。
つまり、
オッサンがなる病気、って事ですな(苦笑)。
50歳を過ぎて、
老眼も始まり、
オシッコの切れも悪くなり、
頭髪のみならず髭や鼻毛にも白いものが混ざり出し、
ちょっとつまずいただけで怪我をしてしまう、オンボロな体になりました。
心がどれだけ芝居やソフビコレクションで夢見ていても、
体は確実に老化・劣化しているようです。トホホ。
・・・当たり前の事ですけどね(笑)。
まぁ、とにかく、
たった一度きりの人生、命尽きるまで夢を見続け、精一杯、楽しんで生き抜こう!
そう思っています。