真水稔生の『ソフビ大好き!』


第162回 「ウルトラマンの日」  2017.7

前から言おうと思っていたのですが、
僕のウィキペディアを書いて下さった方(方々?)、どうもありがとうございます。
とても嬉しいです。

出来てる事を知ったのは2、3年前ですが、
いまだに、
パソコンの画面に出して記述を眺めては、

 幸せだなぁ・・・、

と、感慨深く、美味しいビールを飲んでます(笑)。

・・・え?

 どんだけ自分が好きなんだ!?

って?

ハハハ。
・・・だってさぁ、
“俳優” っていったって、
べつにそれで食えてるわけではないし、誰も知らないし、
実情は、
サラリーマン生活をドロップアウトしてアルバイトで生計を立てている、ただの冴えないオッサンですからねぇ。
それが “ウィキペディア” て・・・。
しかも、
なんか、めっちゃカッコよく書いてあるし、アレ。

若干の気恥ずかしさはありますけど、
少なくとも、
書いて下さった方は僕を応援して下さっているわけですから、
嬉しいですよ、そりゃあ。

 辛い事や悔しい事があっても頑張ろっ、

って気になりますもん。
ありがたい事です、本当に。

どこのどなたか、は存じませんが、
記述内容からして、
この『ソフビ大好き!』を読んで下さっている方だと思いますので、
この場を借りて、熱くお礼を言わせて頂きます。

ってか、
僕についてあんなに詳しく知っているのは、
たぶん『セーラーファイト!』のファンの方か関係者の方だと思うので、
もしかしたら、
どこのどなたか存じているかもしれませんけどね。

だとしたら、誰だろうなぁ・・・???

そういえば、以前、
『セーラーファイト!』の監督である喜井竜児さんに、

 「僕のウィキペディア書いてくれたの、もしかして、喜井さん?」

って聞いた事があるのですが、

 「なんで俺がそんな面倒くさい事しなかんの?」

と鼻で笑われました。
ごもっとも、でございます(汗)。

親しい知人でも面倒くさいと思うような事なのですから、
やはり、感謝、感謝です。
本当にありがとうございます。


さて、
今回、そんなウィキペディアのお礼のほかに、
もうひとつ、
僕のプロフィールに関して、述べたい事があります。

それは、“誕生日” について。

僕の誕生日は、7月10日。
これ、
特撮の神様・円谷英二さんの、戸籍上の誕生日と同じなンですよね。
この『ソフビ大好き!』でも以前述べましたし、
特撮ファンの人と話す際には、
自慢したり、話のきっかけにしたり、なにかと重宝しているネタなのですが、
先日、
アルバイト先にいる特撮ファンの人から、

 「もっと単純に、“ウルトラマンの日” って言った方が、
  わかりやすくてカッコいいよ」

とアドバイス(笑)されました。

そうなンですよね。
いつ制定されたのか知りませんけど、
“7月10日” って、“ウルトラマンの日” なンです。

昭和41年の7月17日に
記念すべき第1話が放送された『ウルトラマン』ですが、
実は、
その1週間前の7月10日に、
『ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生』という番組が
放送されているンです(まぁ、特撮ファンの方なら御存知でしょうけど・・・)。

番組の内容は、
杉並公会堂で開催されたイベントの公開録画中継で、
ウルトラマンと
バルタン星人やレッドキングなどの怪獣軍団、
そして科学特捜隊のメンバーや、なんと円谷英二さんまでもが
舞台に上がって、
次週から始まる新番組『ウルトラマン』のPRをするものでした。

つまり、
テレビ画面に初めてウルトラマンが現れた日、それが7月10日。
ゆえに、
“7月10日” が “ウルトラマンの日” に制定されたというわけなのです。

・・・いやぁ、嬉しいですよね、これは。
ウルトラマン世代で、
ウルトラマンや怪獣が大好きで、
ウルトラマンや怪獣のオモチャの蒐集に
人生の大半の日々を捧げてしまっている僕の誕生日が、“ウルトラマンの日” だなんて・・・。

もちろん、
ただの偶然ですし、

 「だから何なンだ?」
 
 「それがどーした?」

ってツッコミを入れられる事必至の話なンですけど、
やっぱ、嬉しいものですよ。

・・・あ、
僕のウィキペディア書いて下さった方、

 誕生日が “ウルトラマンの日” である、

って記述、
追加しといてくれないかなぁ・・・(笑)。


今回は、
そんなわけで、“ウルトラマンの日” に曰くのある、この怪獣をピックアップ。
  アントラー

『ウルトラマン』第7話「バラージの青い石」に登場した怪獣です。
スペシウム光線も効かない強敵で、
何でも吸い寄せてしまう、虹色の電磁波光線を放ちます。 
 
このアントラー、
なぜ、“ウルトラマンの日” に曰くがあるのかというと、
その、第7話「バラージの青い石」に先駆けて、
前述の、
7月10日の『ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生』にも
バルタン星人やレッドキングたちと一緒に登場していまして、
その際、
スーツアクターが、
着ぐるみの胴体部を、なんと、前と後ろ逆に着てしまっているのです。 
   会場にいた子供たちも
 テレビで番組を観た子供たちも、
 アントラーは初お目見えゆえ、間違いだとは気づかないまでも、

  なんか不格好な怪獣だなぁ・・・、

 と思ったに違いありません。 
  実は、
その『ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生』という番組、
樋口雄三さんと実相寺昭雄さんが演出されたのですが、
当日、段取りがうまくいかず、
ほとんど放送事故のような内容になってしまってるンですよね。

あまりの恥ずかしさから、
実相寺さんが、
自分たちのクレジットを
こっそりとテレシネから消してしまったエピソードは、
ウルトラファンの間では有名です。

胴体の前と後ろが逆のアントラーは、
その放送事故のような不手際を、まさに象徴するもの。
“ウルトラマンの日” に因んで紹介するに相応しい (笑)、存在なのです。  
          それにしても、ホント、不格好(笑)。

進行がうまくいかなくてパニクってる当日の舞台裏が、
想像出来ますね。 
             
             
         スーツアクターが正しく着ぐるみに入れば、
 こんなにもカッコいい怪獣になります。

 バンダイ製 ウルトラ怪獣シリーズ、全長約16センチ。 

 
       
  ただ、
このアントラー人形は、
平成17年に発売されたウルトラ怪獣シリーズの最新版で、
それ以前は
このような前傾姿勢をとっておらず、
直立した状態の造形である初版の型が、下記のようにずっと流用されていたので(すべて全長約17センチ)、
前と後ろを間違えて着てしまった状態と大差ない、今ひとつ垢抜けない印象でした。 
               
           
      昭和58年発売の
ウルトラ怪獣シリーズ(ウルトラ怪獣コレクション)初版。
      昭和63年発売の2期。
唯一、袋に入って販売されていた時期のものです。
               
               
           
      平成3年に、
価格を500円から600円に値上げするタイミングで、
このカラーリングに変更。
      平成7年に、PL法対策で、
素材を従来のものよりも軟らかいソフビに変更。
その際、胸部の塗装色も、微差ではありますが変更されています。
         
         
      平成12年、
600円から700円へと更に値上げとなり、
このカラーリングに・・・。

 色や値段ばっかコロコロ変えて、なんで型はそのまんまなンだてェ!

ってブータレながら(笑)、購入した事を憶えています。

   
 
食玩のソフビも
下記のようにいろいろありますが、
どれも、平成に入ってから開発された商品ゆえ、
さすがに直立状態では造形されておらず、戦闘態勢でカッコいいです。
 
           バンダイ製 ウルトラマン全集、全長約8センチ。

 平成7年に発売された、
 いちばん最初の食玩アントラーです。 
 アゴが短いですが、直立されるよりは全然マシ(笑)。 
               
             バンダイ製 ウルトラマンソフビ道、全長約9センチ。

 平成14年の発売です。
 700円のアントラー人形よりも
 200円のお菓子のオマケのアントラー人形の方がカッコいい、
 という不思議な時期でした。

 ウルトラ怪獣シリーズの担当者の方も、

  いくらなんでも、
  もうそろそろ新規で造形しないと、まずいンじゃないか・・・、

 と、この自社製品で気づかされたかもしれません(笑)。
 
             
         バンダイ製 プレイヒーローモンスター ウルトラマンモンスターズ、
 全長約9センチ。

 平成19年の発売です。
 購入後、この人形を箱から取り出して手に取り、

  やっぱ、アントラーはカッコいいなぁ・・・、

 と、しみじみ実感した事を憶えています。 
             
         バンダイ製 プレイヒーロー VS ウルトラマン対決セット、
 全長約9センチ。

 上の商品と同じ型を用いて、
 ゴモラ(レイオニックバースト)人形とのセットで、
 平成21年に発売されました。
 
   
  元々カッコいいデザイン・造形の怪獣なのですから、
これら食玩ソフビを見ても解るように、ちょっと腰を曲げるだけで、断然見栄えが良くなります。
なのに、
前述のウルトラ怪獣シリーズは、
なぜ、20年以上も、突っ立てるだけの初版の型を流用し続けたのか、疑問。

人気怪獣ゆえ、
わざわざ新造形にしなくても充分売れるので、
バンダイさんも胡座をかいていたのでしょうか・・・?(笑)
     
  とはいえ、
昭和の終わり頃までは、
これでも、

 “超リアルに再現!”

なんて謳うテレビCMが、流れてたンですけどね。


 
  そしてそれは、
買う側としても、納得出来る謳い文句でした。
なぜなら、
ひとつ前の時代(昭和50年代半ば)の人形が、
これでしたから・・・。 
   ↓
   ポピー製 キングザウルスシリーズ、全長約17センチ。

 造形はもちろん直立状態。
 おまけに、
 みなしごハッチのお友達みたいな顔。

 これが、男の子向けの玩具で、
 アントラーが、スペシウム光線も効かない強力怪獣である事を、
 メーカーがちゃんと理解していたとは、到底思えない人形です。 
   
  これまでに何度も述べていますが、
昭和50年代は、
ソフビ怪獣人形の造形が、
デフォルメして愛嬌を持たせたものから、実物の姿を忠実に再現したものへと、
移り変わろうとしていた時代。
ポピーのキングザウルスシリーズは、まさにその象徴と言える商品。

怪獣によっては、
現在でも通用するリアルな造形のものもあるだけに、
ウルトラ怪獣の中でも屈指のカッコいい怪獣であるアントラーの人形が、
このようにデフォルメ表現の方を選択されてしまったのは、残念な事です。 
     
  ・・・などと言いながらも、
コレクションケースの中を覗いてこの人形と目が合うと、

 「こんにちは!」

って笑顔で挨拶された気がして、
健やかな気分になる僕なンですけどね(笑)。


なんたって、
マルサン・ブルマァクのデフォルメソフビで育った世代ですから。
 
  “怪獣” は、
アメリカ映画のモンスターのような、
恐怖を煽るだけの、おぞましい存在ではありません。
強暴さの中にも、
どこか滑稽に感じる部分や哀愁みたいなものを秘めています。
それは、日本人独特の美意識。

マルサンやブルマァクは、
幼い子供が肌身離さず持って愛する事を想定し、
実物の怪獣の姿形を
優しく愉快にアレンジして、怪獣人形を作ったのですが、
その結果、
児童文化の歴史を変える奇跡が起きました。

滑稽、哀愁、といった怪獣の秘めたる魅力が、形として現れたのです。
怪獣の外形をデフォルメした結果、
怪獣の内面が、“リアル” に表現される事になったわけです。

美意識と愛の結晶であるその怪獣人形は、
当然の事ながら、飛ぶように売れまくり、怪獣ブームを牽引していきました。

それをリアルタイムで目撃・体感した僕らの世代が、
いくら昨今の実物そっくりのカッコいい怪獣人形に惹かれるからといって、
可愛らしくデフォルメされた昭和の怪獣人形を
全否定する事は無いのです。
その面白さ、その素晴らしさを、身をもって理解しているわけですから。
     
 
 マルサン製、全長約23センチ。

 『ウルトラマン』放映時に発売された、いわゆる初版(1期)人形。
 直立した姿で造形されていますが、
 頭、手足、更には、左右のアゴ、と
 可動部分が7箇所もあるので、
 ポピーやバンダイの、ただ突っ立ってるだけの人形とは違って、
 前傾姿勢もとれるし、遊び甲斐があります。
   
                     
     
   同じくマルサンの、追加生産分(2期)の人形です。全長約23センチ。

 胸部に黄色の塗装が加わってます。
 右のアゴに製造過程で出来てしまった円形の凹みがありますが、
 これも、また “味”。 
   これもマルサン製。全長約23センチ。
 
 さすがに人気怪獣の人気商品、更に追加生産されたようで、
 今度は全身のブルーの塗装が、メタリックからマットなものにマイナーチェンジしています。
 何期の人形か、は不明。
 
   こちらは、
 ブルマァク製 スタンダードサイズ、全長約23センチ。

 マルサンの型を用いています。
 昭和45、46年頃の商品かと思われます。

 カラーリングが全体的に明るく軽い感じになっているのと、
 サイズがマルサンの人形よりも若干小さいのが、特徴です。

   
  そして、ブルマァクは、
上記のスタンダードサイズ人形と同時期に、ミニサイズ人形も発売しました。
全長約10センチで、
下記の2種類を確認済みです。 まだ違うバージョンもあるのかなぁ・・・? 
           
  前            前  後 
 
 
そういえば、
アントラーが登場する第7話「バラージの青い石」の舞台である、
中近東に存在する幻の町・バラージは、
三船敏郎さん主演の映画『奇巌城の冒険』のオープンセットを借りての撮影だったそうですが、
そんな裏事情を知らない子供の頃は、

 海外でロケするなんて、やっぱ『ウルトラマン』は凄いなぁ・・・、

なんて思ってました(苦笑)。

アントラーという強くてカッコいい怪獣共々、
あの町の風景や雰囲気は、幼心にとても印象的だったわけです。

そしてまた、
そのバラージの町を治める元首チャータムを演じた、弓恵子さんの存在も忘れられません。

 いちばん偉い人である、
 特殊能力を具えている、

という設定に説得力を感じる、その気品のある美しさに惹かれました。

『ウルトラマン』から数年後、
『マドモアゼル通り』に出演されているのを観た時に、

 あっ、アントラーの時の女王様だ!

と喜んだ程です。

弓恵子さんは、
『仮面ライダー』のゾル大佐を演じた宮口二郎さんの奥様であり、
『好き!すき!!魔女先生』の校長先生を演じた潮万太郎さんの御息女。
特撮ファンならば、
女優としてだけでなく、その私生活にも憧れてしまいますが(笑)、
ホント、素敵な女優さんですよね。
知性と色香が絶妙なバランスで漂っていて、すごく魅力的。
大好きなンです、僕。

昨年、同じ円谷プロの作品で、『恐怖劇場アンバランス』というテレビドラマが
チャンネルNECOで再放送されていましたが、
弓恵子さんが出演された第11話「吸血鬼の絶叫」だけ、録画したものを消さずに残してあります。
弓恵子さんをいつでも観られるように(照)。

夏純子さんが好きだった、
って話を
以前書きましたが(第111回「夏の兄」参照)、
幼い頃、
つまり、まだ性の対象として女優さんを見ない時期に、
その美貌や演技上の所作に惹かれて好きになった女優さんには、
なんか、特別な思いがありますね。

弓恵子さんや夏純子さんのほかにも、
『ウルトラセブン』のアンヌ隊員を演じた菱見百合子さんとか、
『キャプテンウルトラ』でアカネ隊員を演じた城野ゆきさんとか、
あと、
特撮とは関係ないところでは、
上村香子さんとか土田早苗さんとか三浦真弓さんとか本阿弥周子さんとか・・・。
今でも、
昔のテレビドラマの再放送を観ていて、そこに出演されているお姿を拝見する度、
胸がホワンとなります(・・・わかります?、この表現)。

同じ好きでも、
坂口良子さんや松坂慶子さんのように、
思春期に “下半身への刺激込み” で恋焦がれた女優さんとは、
またちょっと違う感情が湧いてくるンですよね。

単に “女性” というのではなく、
“女神” のような要素を多分に含んで脳に刷り込まれている・・・、
そんな感覚なのです、僕の中では。

弓恵子さんは、その代表的な存在。
特に、チャータムを演じられた際のお姿は、まさにそれを象徴していました。

第7話「バラージの青い石」は
『奇巌城の冒険』の撮影が始まる前の早朝に行われたそうですが、
弓恵子さんには、
そのまま『奇巌城の冒険』の方にも、出てもらいたかったものです。
何の違和感も無いし、
映画自体がもっと面白くなった(個人的に、ですが(苦笑))はずですから。

・・・そうだ、
アントラーも、そのまま『奇巌城の冒険』に出てたら面白かったのにな。
三船さん演じる大角が突き落とされたあの谷底に、
『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』のクモンガみたく生息する怪獣として・・・(笑)。
操るのは
天本英世さん演じる “妖婆” ですから、
めちゃくちゃ見応えのあるシーンになったのではないか・・・、と。

まぁ、でも、
『ゴジラ』の監督を断った谷口千吉さんですから、
そんなシーンは撮ってくれないかもしれませんけどね(笑)。

・・・あ、
『奇巌城の冒険』を観た事が無い人には
ナンノコッチャ解らん話でしたね。スミマセン(汗)。
ってか、
話が逸れましたね。
失礼しました。
では、
もう一度、“ウルトラマンの日” に話を戻して、終わりにします。

“ウルトラマンの日” 制定の、
その要因となった、『ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生』、
番組の内容は放送事故でも、
やはり、当時の怪獣人気は凄まじく、視聴率が良かったそうで、
局やスポンサーは、たいそう喜んだとか。

内容は悪くても結果は良い・・・、
なんか、
実情はカッコ悪くても
ウィキペディアではカッコ良い僕のプロフィールと、似ています(笑)。

あぁ、やっぱ、僕は、
“ウルトラマンの日” に生まれるべくして生まれてきた人間なのかもしれない・・・。

幸せだなぁ・・・(いろんな意味で(笑))。




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