第154回 「心の死神 ~人生はありがたい~」 2016.11
AV女優の星美りかさんが来月で引退、
しかも、
AV作品への出演だけでなく、
一切の芸能活動から身を引かれるとの事で、
とても淋しい今日この頃です。
YouTubeにアップされている、
星美りかさんが所属する
セクシーアイドルユニット・ミリオンガールズZの
『1000000テレパシー』のPVを
毎日何度も再生・視聴しては、
引退を惜しみ、感傷にふけっている始末。
「いい歳して、アホか!」と嘲笑されそうですが、
だって淋しいンだもん、本当に。
心にポッカリ穴が空いてしまったようで、仕事もする気になれません。
まぁ、幸い、
仕事はそんなに無く暇なので、
べつにいいンですけど・・・(幸い、じゃないだろ!(苦笑))。
そんな折、
東京からDVDが届きました。
中身は、『侵略!ガルパンダZ』を録画したもの。
『侵略!ガルパンダZ』とは、
今年の春に
TOKYO MXで放送されていた、
ミリオンガールズZ主演の特撮テレビ番組で、
内容は、
星美りかさんら
ミリオンガールズZが演じるガールズパンダZ星人(略してガルパンダZ)が、
地球侵略を果たすべく
女子高生に憑依して地球に潜伏するも、
クレイジーな、
地球人や他の宇宙人たちの言動に振り回されて、
なかなか計画を進められない・・・、
そんなバカバカしい “ゆるギャグ” な日々を
ちょっとエッチに描く、というもの。
監督は、
あの、河崎実さんです。
名古屋は視聴エリアではなかったため、
在京の友人であり、
この番組のナレーターでもある木全直弘さんが、
親切にわざわざ番組を録画して送ってくれたのですが、
僕が “星美りかロス”(笑) に陥っている事を
まるで知っていたかのような、
もう、絶妙のタイミング。
友情に感謝しつつ、飛びつくようにして観た次第です。
いやぁ、やっぱ、
めちゃくちゃ可愛いです、星美りかさんは。
堪能しました。
大満足の全18話。
続けて2回観てしまいました。
どんだけ暇やねん!
・・・って話はさておき(苦笑)、
それほど気に入りました、『侵略!ガルパンダZ』。
観る事が出来て、ホント良かった。
改めて、友情に感謝です。
ただ、
星美りかさんがめちゃくちゃ可愛い、
ってのは、
言ってみれば
観る前から解っていた当たり前の事。
続けて2回観てしまったのは、
実は、
そんな当たり前な星美りかさんの可愛さだけでなく、
ほかにも、僕の嗜好に合う要素があったからなのです。
それは、
星美りかさん以外の出演者の方々の、なんとも愉快な登場。
嬉々として狂気を演じる岩井志麻子さんや
自然体で変質者を演じる杉作J太郎さんには
思わず吹き出してしまうし、
パンチ佐藤さんが
高校野球の監督なのに熊谷組のユニフォームを着てたり、
村西とおるさんが
怪しい人生コンサルタント(正体は宇宙人)だったり・・・、
その、
ただのギャグに見えて実は深い意味のある可笑しさも、たまりません。
中でも、
いちばんの “ツボ” は、
憑依された女子高生の父親役で、タブレット純さんが出演されていた事。
最初に画面に映った瞬間、
「あ、タブレット純だ!」
と、
独りの部屋で声を出してしまいました。
僕、あの人、大好きなンです。
僕より10歳も若いのに、
ムード歌謡とかGSとかフォークソングとかにとても造詣が深く、
筋金入り、って感じで、感服してしまうンですよね。
なんたって、
小学校の卒業アルバムに、
好きな歌手:和田弘とマヒナスターズ
と書いていたというのですから、振るっています。
マヒナスターズなんて、
僕らの世代でも
知らないヤツの方が多かった気がしますから、
何世代も飛び越えたものを受信して “良さ” が理解出来る、
その、珍奇で優れた感性には、脱帽するしかありません。
凄いセンスだと思います。
しかも、
更に凄いのは、
大人になったら本当にマヒナスターズの一員になって
歌手デビューしちゃってる事。
そんな事ってあるのでしょうか・・・。
いくら歌が上手くて顔も綺麗だといっても、
子供の時に大好きで憧れていた音楽界の大御所グループに
実際に入れちゃうなんて奇蹟、
そうそう起こせるものではありません。
“選ばれた人”・・・、なンでしょうね、やっぱ。
そして、
御存知のように、
現在では
お笑い芸人としても活躍(算数の文章問題のネタ、サイコーですよね)。
いったい、どこまで凄いのでしょうか・・・。
『侵略!ガルパンダZ』における登場は
わずか3シーンのみでしたが、
僕の中では、主演の星美りかさんを食うほどの強烈なインパクト。
冒頭で、
YouTubeにアップされている
ミリオンガールズZの『1000000テレパシー』のPVを
繰り返し再生・視聴している、
と述べましたが、
以前何度か再生・視聴した事があって気に入っていた、
タブレット純(田渕純名義)さんの『夜をまきもどせ』のPVの事も思い出し、
今では、
『1000000テレパシー』以上の回数、繰り返し再生・視聴している毎日です。
どんだけ暇やねん!
って話は、
もう一度さておき(苦笑)、
あの『夜をまきもどせ』のPV、妙に惹かれるンですよねぇ・・・。
もちろん、
タブレット純さんが大好きだから、
ってのはありますが、
それよりも、
何か、こう、生理現象のような感覚で、ついつい観てしまうンです。
で、
何度も再生・視聴するうち、その理由に気づきました。
それは、
『怪奇大作戦』の第5話「死神の子守唄」で
悲劇のヒロイン・高木京子がクラブで歌うシーンを
思い出すから、
なンです。
『怪奇大作戦』は、
放映時4歳だった僕には
到底理解出来ないお話ばかりだったはずですが、
決して退屈に感じる事なく、
毎回、放送を楽しみにしていた記憶が、おぼろげながら残っています。
田口計さん演じる
キングアラジン(第1話「壁ぬけ男」に登場した怪盗)の
5円引きプロマイドなんかも、大事に大事に持っていましたしね。
第33回「実写ドラマ大好き!」の中でも述べたように、
僕は、
アニメ番組には興味が無く、
子供向け・大人向けに関わらず、
とにかく、
人間(役者)が出てくるテレビドラマが好き(たとえお話の内容が解らなくても)、
という変わった子供でしたので、
番組の、
なんとなくカッコいい雰囲気に、漠然と憧れていたンでしょう。
怪獣は出てこなくても、
『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』と
同じ系統の番組である(円谷プロ作品である)、って事も
子供心に解っていましたから、それも大きかったかもしれません。
なので、
断片的ではありますが、いろんなシーンを憶えているンです。
プラモデル屋さんで子供がオモチャのメガネをかけたら
急に景色が変わったシーン(第11話「ジャガーの眼は赤い」)とか、
落武者の幽霊と
SRIのメンバーが格闘してるシーン(第12話「霧の童話」)とか、
岸田森さん演じる牧史郎の目の前で
女の人が仏像に変わってしまうシーン(第25話「京都買います」)とか・・・。
ただ、
「京都買います」の
そのシーン、
大人になって再放送を観るまでは、
牧史郎が、
なんかグルグル回りながら仏像に変身した、
っていう、
ムチャクチャに間違った記憶になってましたけどね。
4歳の時ですから、なんといっても(苦笑)。
でも、
たとえ正確にではなくても、
そんな幼い頃に観たシーンがいくつも脳に貼り付いているのですから、
相当好きだったンだと思います、
『怪奇大作戦』っていう、お話の内容がよくわからない番組が。
で、
先述の、
第5話「死神の子守唄」で
悲劇のヒロイン・高木京子がクラブで歌うシーンも、
その、
断片的に憶えているシーンのひとつなのです。
大人になってから視聴し直したら、
あまりに悲しい物語でしたので、決して好きなエピソードではないのですが、
子供の頃の記憶や思い出に執着する性分の僕は、
お話の内容に関係なく、
記憶に残っているそのシーンには、愛情が湧いてしまうンです。
なので、
そんな理屈抜きで愛しい
“高木京子がクラブで歌うシーン”
を思い出す『夜をまきもどせ』のPVにも
自ずと吸い寄せられてしまう・・・、というわけ。
“クラブのステージにおける歌唱”
という、
共通のシチューエションだし、
“心が冷えるほど悲しい内容の歌を
美しい人が平然と歌っている異様さ”
も同じ。
その、なんだか怖い、
まさに死神に憑かれたような世界観が、
よく似てるンですよね。
ただ、
観ていて暗い気持ちにはならないンです。
むしろ、その逆。
『怪奇大作戦』を観ていた子供の頃の無垢な記憶に
大好きなタブレット純さんが絡む事で、
そのイメージに化学変化が起きるンですね、たぶん。
なんか、心が活気づいてくるンです。
おかげで、
“星美りかロス” で沈んでいた気持ちが、かなり和らぎました。
言うなれば、
死神が僕の心を元気にしてくれたわけです。
死神に救われるなんて変だ!
って思う人もいるかもしれませんが、そんな事はありません。
死神の仕事は、
なにも、死を誘う事だけではありませんから。
生と死を司る神様なわけですから、
生気を取り戻すよう促してくれる場合もあるでしょう。
死期が訪れるまで、
明るく元気に生きられるよう見守ってくれる存在、
それが死神だと、僕は解釈しています。
そういえば、
“死神絡み” の記憶で、
僕の心を元気にしてくれる思い出が、もうひとつあります。
それは、
第34回「幸せの青い鳥(ギャオス)」でも述べた、
虫歯治療の帰りに死神博士の人形を買ってもらった思い出。
今回は、
星美りか引退 → 侵略!ガルパンダZ → タブレット純 → 死神の子守唄、
と話がスライドしてきましたが、
最後に、
コレクションの紹介を兼ねて、
その死神博士人形の思い出話にもうひとつスライドして、終わる事にします。
死神博士 ポピー製、全長約12センチ。 『仮面ライダー』放映時(昭和46~47年)の商品ですが、 ソフビで遊ぶライダーキッズの “必須アイテム” だった、 と言っても過言ではない人形でしょう。 少なくとも、僕にとってはそう。 この1体があるだけで、 テレビや映画で観た場面の再現がよりリアルに出来て、 ソフビバトルワールドが一気に広がりますから。 |
僕は、
乳歯が抜けた後、
母親曰く “永久歯が虫歯で生えてくる” 子供でしたので、
物心付いた頃から小学低学年まで、ずっと歯医者に通っていました。
そんな年頃に味わう、
治療器具のドリルで歯を削られる音や痛みは、
恐怖以外の何物でもなく、
毎回、ワンワン泣いていました。
そんな歯医者通いの或る日、母親が言ったンです。
「今日、泣かなかったら帰りに買ってあげる」
と。
何をかというと、それは、
歯医者の近くにある駄菓子屋で売っていた死神博士のミニソフビの事。
歯医者に通う行き帰りですから、
当然、駄菓子屋なんかには入らないのですが、
店内の壁に画鋲で貼り付けてあるミニソフビの袋は
扉の外からでも確認出来たし、
特に、
死神博士のミニソフビは、
前述したとおり、
僕のソフビバトルワールドには必要不可欠な人形でしたので、
ひときわ輝いて見え、
店の前を通る度、「買って欲しい」とねだっていたのです。
だから、嬉しかったですね。飛び上がって喜びました。
ただ、駄目だったンです。
死神博士の人形獲得のため必死で頑張ったのですが、
怖くて痛くて、
結局泣いてしまいましたので・・・。
ところが、
母親は買ってくれたンです。その帰りに。
よその子が味わわなくて済んでる恐怖や痛みに襲われ
毎回泣いている我が子が、
おそらく可哀想でならなかったのでしょうけど、
約束を守れず泣いてしまった弱い子なのに・・・、
と、
少しばかり心苦しかったのを憶えています。
母親の優しさと
念願の死神博士の人形を手にする事が出来た喜び、
その二つが身に沁みて、
僕は、
自宅に着くまで、何回も「ありがとう」と母親に言っていました。
その事を母親も憶えていたのか、
大人(ソフビコレクター)になって僕がこの人形を
東京のアンティークTOYショップから通販で買い、
届いた箱から取り出したところを
たまたま見て、
「あぁ、憶えとるわ~、それ」
と懐かしそうに微笑んでいました。
そんなふうに、
幼い頃のと
大人になってからのと、
懐かしい思い出が二重になって
亡き母を偲ばせてくれるこの死神博士人形を、僕は愛さずにはいられないのです。
なんか、
この人形を通して、天国の母親と繋がってる気がするンですよね。
上界と下界を行き来する死神が、
この人形を通して僕の日常を見守り、その様子を母親に報告している・・・、
そんなふうに思っているンです。
なので、 コレクションケースの中のこの人形と目が合う度に、 僕は元気が出るンです。 母親の事を思い出して、 産み育ててもらった事や 今日まで生きてこられた事に対する “感謝” が、 自然と湧いてくるからでしょうね。 この世を生きてる、って、 ただそれだけで、とてもありがたい事なんだ、 って実感して、 穏やかで幸せな気持ちになれるンです。 |
サトウハチローさんの詩に、
母を想う日のわが心 すなおなり
というのがありますが、まさにそんな感じです。
・・・あ、そうそう、
サトウハチローさんがこの詩を書いたのは、
亡くなる直前、と言われています。
やはり、
サトウハチローさんの一生も、
死神が、
天国のお母様と繋がりなから、見守ってくれていたに違いありません。
それにしても、 僕が母親の事を思い出して この世に生を享けた喜びを悟る人形の、 キャラクターの名前が “死神” 博士、って、 なんか、 偶然とは思えないなぁ・・・。 |
そんな死神博士の正体は、御存知イカデビル。
大幹部の正体で超強力怪人、
という事で人気があったにも関わらず、
ソフビ人形は
『仮面ライダー』放映時には発売されず、
30年後の平成14年、ようやく世に放たれたました。
ライダーファンが待ち焦がれたソフビ、と言えます。
バンダイ製 仮面ライダー怪人シリーズ、 全長約17センチ。 |
こちらは、食玩ソフビ。 上の人形と同じく平成14年の発売です。 バンダイ製 仮面ライダーソフビ道、 全長約11センチ。 カッコいいです。 |
そういえば、
冒頭で述べた、ミリオンガールズZの『1000000テレパシー』の、
♪ 悪い子はイカんでしょ
って箇所の振り付けが
思わずニヤけてしまうほど可愛くて大好きなンですが、
“悪” と “イカ” で、
観る度に、
僕はイカデビル(=死神博士)を思い出していました。
いつか “星美りかロス” に陥ったら、その時は、“死神” が貴方を救いますよ、
って暗示だったのでしょうか・・・(笑)。
けど、あれだなぁ、
いくら大好きなAV女優の引退が淋しいからといって、
仕事もする気がなくなるくらい落ち込む52歳の息子を、
天国の母親は、
さぞかし可哀想だと思ったろうなぁ・・・。
もちろん、
歯医者が怖くて泣いていた幼い息子を可哀想だと思ったのとは
違う意味で(苦笑)。
死神さん、
今度あの世へ戻ったら、
「こんな、ええ歳こいてクソしょうもない馬鹿息子で、本当にごめんなさい」
って僕が謝っていた、と
母に伝えといてもらえませんか。 よろしくお願いします。
【追記】
『侵略!ガルパンダZ』の録画DVDを送ってくれた木全さんへのお礼メールに、
実は僕が星美りかファンで、引退発表を聞いて落ち込んでいた旨を
書き添えたところ、
なんと、
後日、今度はまた、こんな素敵なものが送られてきました。
と驚いてしまいました。
・・・いやぁ、嬉しい。幸せ。
はい。がんばります、僕。
星美りかさん、どうもありがとう!
引退された後も、ずっとずっと大好きだからね。お疲れさまでした。
そして、
木全さん、本当にありがとう!
お母さん、ありがとう!
死神さん、ありがとう!
人生はありがたい。
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