第132回 「あなたに真水と音楽を」 2015.1
ヒーローソングの話をしてみたかったンです。
ずっとそう考えていながら
なかなか実現に至らなかったのですが、
前回、
『電子戦隊デンジマン』の主題歌についてチラッと述べた際、
そうだ! この機会にほかの特撮ヒーロー番組の主題歌についても・・・、
と思いつきましたので、
今回、それを果たす事にしました。
僕の好きなヒーローソングトップ5を挙げ、熱い想いを綴っていきます。
珠玉の名曲の数々の中から
たった5曲に絞るのは難しいですが、
楽しい作業でもありますので、張り切っていきたいと思います。
・・・え?
お前のトップ5なんかどーでもいい?
まぁ、そうおっしゃらずに(笑)。
それぞれの楽曲に対する愛情にソフビコレクションを添えて、
子供の頃の記憶を慈しむように進めていきますので、
どうか読みながら、
御自身のトップ5も思い浮かべていただき、
CDやネット等で改めて聴き直したり、
懐かしく口ずさんだり、
あるいはカラオケで歌ったり・・・、
そんな、ピュアな時間を過ごすきっかけにしていただければ、と思います。
胸躍る名曲の数々を心の中に復活させて、
癒されて、諭されて、励まされて、
毎日を明るく生きてく鋭気を、今一度養おうではありませんか。
♪
それでは、早速参りましょう。
第1位は、
やっぱり、これ。
『ぼくらのバロム・1』
作詞:八手三郎 作曲:菊池俊輔 歌:水木一郎、コロムビアゆりかご会
ご存知『超人バロム・1』の主題歌です。
もう、
この楽曲を超えるヒーローソングは
未来永劫生まれないであろうと思うほどの、名曲中の名曲。
めちゃくちゃ好きです。
なんといっても、
ブロロロロロー! とか
ズババババーン! とか、
擬音をすべて口で言っちゃってる頭の悪い歌詞(笑)のインパクトが強烈ですが、
この曲の勝因は実はそれではなく、
切ないまでに美しい、メロディーの良さにあります。
ずっと以前、
第54回 「僕らのバロム・1」の中でも述べましたが、
元気や勇気が湧いてくる力強い曲調でありながら、
その、魂を熱く揺さぶるようなメロディーは、涙腺をも刺激します。
そこがたまりません。
アレンジも、
そんな絶品のメロディーをこれでもかと言わんばかりに盛り上げ、
グイグイと迫ってきます。
最高なのです。
水木一郎さんの歌唱もシビれますし・・・。
完全なる『仮面ライダー』の亜流でありながら、
『仮面ライダー』のカッコよさには到底至っていない、
言ってみればちょっとダサいヒーロー番組であった『超人バロム・1』が、
“不滅のヒーロー番組” として
僕らの心に好印象で根深く残っているのは、
間違いなく、
この素敵なオープニング主題歌による効果が大。
音楽の力は凄いです。
続きまして第2位は、
『ロボット刑事』
作詞:八手三郎 作曲:菊池俊輔 歌:水木一郎
その曲名どおり、
『ロボット刑事』の主題歌です。
『ぼくらのバロム・1』が、
番組の世界観を
まるで体当たりでアピールしてくるような主題歌であったのに対し、
こちらは、
同じ重厚な迫力あるサウンドでも、
ちょっと抑えた渋めのタッチで、番組の魅力を伝えています。
機械でありながら人間として生きたいと願う、
主人公・ロボット刑事Kの悲哀を、
意図的に音楽と融合させたのだと思われますが、
洗練されたそのメロディーとアレンジからは、どことなく、物悲しさが感じられます。
当時番組を観ていた人なら、
この、勇壮な中にも哀愁が漂う主題歌が、
健気で清らかなKのキャラクターと絶妙にマッチしている事を実感し、
間違いなく胸が奮えるはず。
もちろん、僕もその1人。
痛みを秘めたカッコよさが心に沁みる、“技あり” なヒーローソングだと思います。
どんどん行きましょう。
第3位は、
『トリプルファイターのうた』
作詞:東京一 作曲:宮内国郎 歌:谷あきら、杉並児童合唱団、コールフェニックス
『トリプルファイター』の主題歌です。
当時の視聴者であった僕ら子供たちに、
番組自体のクオリティを
実際よりも高めて美化したまま記憶させる事に一役買った、誠にもって優れた主題歌。
そういった意味では、
『ぼくらのバロム・1』と同等の価値がある主題歌、と言えます。
憶えやすいメロディーが
格調高いアレンジと子門真人(谷あきら名義)さんのパンチの効いた歌声によって、
気高く熱く、幼い胸に響きました。
主題歌だけがあまりに良すぎて一人歩きしたか、
番組の内容はほとんど憶えてないけど歌は歌える、なんて人も、僕の周りには何人かいます。
そして第4位は、
『帰ってきたウルトラマン』
作詞:東京一 作曲:すぎやまこういち 歌:団次郎、みすず児童合唱団
主人公・郷秀樹を演じた団次郎さんが自ら歌った、
『帰ってきたウルトラマン』の主題歌です。
ロマンティックな歌詞と爽やかなメロディーが、
幼い頃にウルトラの星へ飛んでいった僕の心を、いまだに返してくれません(笑)。
こんなにも美しいヒーローソングがほかにあるでしょうか。
ホルン、ハープ、フルート、シロフォン、ティンパニ・・・etc.
それらは、
“夢見る子供たち専用のオーケストラ” とでも言いましょうか、
軽快さも迫力も、
すべてが汚れ無い輝きに満ちた、とても心地よいサウンドを届けてくれます。
ウルトラの世界がいかに素晴らしいものであるかを
“音楽” で表現するとこうなる、って感じ。
とても素敵です。
『帰ってきたウルトラマン』という番組が始まる事を、
僕は父親に教えてもらいました。
或る日の朝、
新聞を読んでいた父親が、
台本を手にした団次郎さんの写真が載った記事を見つけて、
「ウルトラマン、また、やるがや」
と呟いたのです。
なんだか妙に印象的でした。
数日後、
“もうすぐ始まるよ” 的なテレビスポットが流れ始めたのですが、
最初、そこに映っていたタッコングを見て、
新しいウルトラマンには、すげェ怪獣が出る・・・、
と思った事を、今でもよく憶えています。
そのテレビスポットは結構頻繁に流れていましたので、
日に日に胸が高揚していきました。
そして、
待ちに待った第1回目の放送。
キラキラと輝く映像とともに僕の中に飛び込んできたこの名曲は、
本編のお話に入るのを待たずして、
心を番組の虜にしてくれました。
今でも、この曲を聴くたびに、
子供の頃のときめきが甦り、幸せな気持ちになります。
そういえば、
僕ら特撮ファンなら誰もが知っている事ですが、
この名曲主題歌とは別に
『MATチームのうた』という曲もあり、
これには、
団次郎さんの歌唱によるもののほかに、
西田敏行さんが吹き込んだバージョンも存在します。
で、昨年、
『探偵ナイトスクープ』を観ていたら、
我が愛知県に
マツダのコスモスポーツを
劇中と同じマットビハイクル仕様にして走っておられる方がいて、
その方を探して欲しい、
という依頼が採用された際、
メインMCの西田敏行さんが、
「僕、若い頃、『MATチームのうた』ってのをレコーディングしてるンです」
とおっしゃられたので、驚きました。
ウルトラマンや怪獣になど特に思い入れのない世代である西田さんが、
何十年も昔にやられた仕事のひとつ、
しかも主題歌でないマイナーな存在の曲ゆえ、
御本人としてはとうに忘れてしまっている事だと、僕は思い込んでいたからです。
うわぁ、憶えていらっしゃるンだぁ・・・、
と感激しました。
おまけに、
♪基地は〜 海底〜
なんて、
さわりの部分を歌って下さりもして、目頭が熱くなってしまいました。
嬉しかったなぁ、あれは。
・・・話がそれましたが、
まぁ、とにかく、
僕は『帰ってきたウルトラマン』という番組には特別な思い入れがあり、
その美しい主題歌が大好きである、
という事でございます。
最後に第5位、
『突撃!ヒューマン!!』
作詞:高瀬タカシ 作曲:森岡賢一郎 歌:コロムビアゆりかご会、トマトケチャップ
第2次怪獣ブーム・変身ブームの真っ只中、
“舞台の公開録画” というスタイルをとった、
異色のヒーロー番組『突撃!ヒューマン!!』の主題歌です。
『突撃!ヒューマン!!』は、
『仮面ライダー』の裏番組だったため認知度が低い、
と言われていますが、
ここ名古屋では、
『仮面ライダー』の裏番組ではなかったので、
第1話から最終回まで、しっかり視聴する事が出来ました。
僕はこの番組が大好きでした。
“舞台の公開録画”って事は、
要するに怪獣アトラクショーなわけで、
演出をどう凝ったものにしたって、
他の特撮ヒーロー番組と比べたら見劣りする事は否めない、
チープでウソ臭くて、失笑すらしかねない内容だったと思うのですが、
当時、全くそんな事は感じませんでした。
それはおそらく、
ヒューマンや怪獣たちのデザイン・造形のカッコ良さに惹かれていたのと、
なんといっても、
この、洒落たオープニング主題歌の輝きのせいだったと思います。
僕はこの主題歌が大好きでした。
これを、
「フレンチポップスの『そよ風にのって』のパクリだ!」
と、
鬼の首を取ったような表情で指摘する人や
鼻で笑って馬鹿にする人が、
特撮ファンの中にも時々いますが、
そういう人と接すると、
もっと素直に感動出来ないのかなぁ・・・、
って憐れんでしまいますね、僕は。
風が吹くように現れるヒューマンの “ヒュー” と、
風つながりで、
『そよ風にのって』をチョイスしたアイデアとセンスは面白いし、
また、それを、
日本の特撮ヒーロー番組の主題歌として
ちゃんと昇華させている、このサウンドの成立は見事だと思うのです。
僕は歌謡曲が好きだから
余計にこういう捉え方をしてしまうのかもしれませんが、
洋楽のエッセンスを取り入れて、
日本人が馴染みやすい独自の音楽に仕上げる事を、
安易に “パクリ” と言われると、
なんだか “難癖” をつけられているような気がしてしまいます。
カレーうどんを食べて
「インド料理のカレーのパクリだ!」
なんてケチつける人がいますか? と言いたいですね。
今もこの原稿を書きながらCDをかけていますが、
実に素敵な曲だと、改めて強く思います。
健全で快活で、
心が澄みきっていくようです。
また、その働きが、
番組におけるいろんな記憶を、気持ち良く脳裏に甦らせてもくれます。
ヒューマンに変身する体育教師・岩城淳一郎を演じていた夏夕介さんの
爽やかでたくましいカッコよさ、
シビレッタやブルゲリラ(ブルゲリラーだったかな?)など、
芸術的魅力に満ちた登場怪獣たちの姿形、
ヒューマンの登場を願い、
ヒューマンサイン(指を入れる穴の空いた円盤状の厚紙)を
グルグル回す会場の子供たちの熱気、
キラキラ輝くヒューマンのマスク(ステンレス製ゆえ照明を反射)の眩さ、
キャンディーズのスーちゃんとしてデビューする以前に
この番組に新聞記者役でレギュラー出演していた田中好子さんが、
最終回のラストシーンで
泣きながら台詞を発していた一生懸命な姿・・・etc.
うぅぅ、もう辛抱たまらん! 泣くぞーっ、歌うぞーっ!
♪ぼくらの先生〜
♪ヒュー!ヒュー!ヒュー!
♪ヒュー!ヒュー!ヒュー!
うぉーっ! やっぱ、いい曲だーっ!
・・・あ、そうそう、
先生と言えば、
『好き!すき!魔女先生』の主題歌、
あれもいい曲でしたねぇ・・・。
心をやさしく包み込んでくれるようなメロディーが
まさに魔法のように心の傷を治してくれる、癒し効果満点の名曲。
歌詞の、
♪ピカピカ光る
って部分は、
歌声までもピカピカ光っているように聴こえて、
歌手・堀江美都子さんの魅力と実力を痛感せずにはいられません。
素晴らしいです。
・・・あ、
トップ5と言いながら、つい6曲目も語ってしまった(笑)。
やっぱ、無理だな、5曲に絞るなんて・・・。
まだまだ取り上げたい曲や言いたい事がいっぱいあります。
『戦え!仮面ライダーX3』の完成度の高さ
(特に、2番と3番の間の間奏のシビレるようなカッコよさは無敵です)とか、
『がんばれ!!ロボコン』の、
♪プ〜ロペラ ブルルン 空飛んで〜
って箇所の泣けてくるような感覚とか・・・、
あとは、
『ウルトラマンエース』、『ウルトラマンレオ』、
『アイアンキング』に『ジャンボーグA』、
それから、
ライオン丸の『風よ光よ』に『スペクトルマン・ゴーゴー』、
それからそれから、『コンドールマン』に『仮面ライダースーパー1』、
・・・あ、
赤影の『忍者マーチ』、あれなんかも傑作だなぁ・・・。
ホント、名曲ばっか。名曲だらけ。
それに、
今回はオープニング主題歌に絞りましたが、
挿入歌やエンディング主題歌等にも、
『ULTRA SEVEN』とか
『ロンリー仮面ライダー』とか『ぼくらのキカイダー』とか
『仮面ライダー讃歌』とか『X3アクション』とか・・・、
大好きな曲がまだまだたくさんありますので、
また、いつか、
それらについても想いを綴ってみたいです。
やっぱいいですよね、ヒーローソング、って。
心の洗濯・心の充電には、
他のどんな音楽よりも優れた効果を発揮する気がします。
大好き。
♪
ところで、
この度、なんと僕も、ヒーローソングを作りました。
それは、
『セーラーファイト!』の生誕20周年記念ソングです。
ご存知ない方のために説明いたしますと、
『セーラーファイト!』とは、
平成5年から8年まで中京テレビで放送されていた、
『今甦る!昭和ヒーロー列伝』という
深夜番組(第13回「玩具協力スタッフ奮闘記」参照)の中のコーナー企画で、
1話完結・約5分間のミニドラマです。
僕は出演者の1人でした。
その『セーラーファイト!』が
生誕20周年という事で、
昨年、オフィシャルサイトが出来まして、
そこから毎月新作エピソードがネット配信されているのですが、
復活を祝う喜びと、
作品の存在をずっと忘れずにいて下さった、
稀有な(笑)ファンの皆様への感謝の気持ちを込めまして、
僭越ながら、
20周年の記念として、作らせていただきました。
新作エピソード同様、
オフィシャルサイト上で公開されております。
まぁ、所詮、
素人が見よう見まねで作った(パクリではないよ(笑))拙い曲ですから
お耳汚しではありますが、
僕のヒーローソング愛の結晶でもありますので、
是非、聴いて下さい。
よろしくお願いします。
『セーラーファイト!』生誕20周年記念ソング『あなたのために』
実は、
平成15年にも、
『セーラーファイト!』は生誕10周年という事で復活しておりまして、
その時は、
30分の新作エピソードが
『セーラーファイト!2003』という特別番組として放送されたのですが、
僕はそこで
エンディング主題歌を作らせていただきました。
なので、
『セーラーファイト!』に関する曲を作ったのは、今回で2回目。
ヒーローソングが大好きなので、
番組が復活すると、
“歌を作りたい” という創作意欲が、自然と湧いてきてしまうようです。
それにしても、 10周年、20周年、と10年毎に復活するなんて、 『セーラーファイト!』って、 なんか、『俺たちの旅』みたいでカッコいいなぁ・・・(笑)。 30周年もあるのかな? もし、その時が来ても元気で生きていたら、 ぜひとも、 また出演させていただきたいものです。 |