第199回 「つくしにまつわるエトセトラ」 2020.8
今日のビールのつまみは何にしよう・・・、と 近所のスーパーマーケットの惣菜売り場で物色していたら、 近くにいた7、8歳くらいの女の子の、ハイテンションな声が耳に飛び込んできました。 「お母さん、“つくし” って食べられるの?」 ・・・なんとも季節外れな質問でしたが、 その総菜売り場にあった焼き鳥の “つくね”を見て、 商品名を読み間違えたか(笑)、 あるいは、 どこかで知り得た “つくしが食べられる” という情報を その “つくね” の “つく” で思い出したか・・・、 何にせよ、 その女の子の興味津々な様子がなんとも微笑ましくて、気持ちが癒された次第です。 同時に、懐かしくも思いました。 というのは、 僕も、その女の子と同じくらいの年齢の頃、母親に同じ質問をした事があったからです。 それも、 同じようにハイテンションで・・・。 やはり、子供にとって、 つくし(つまり、道端に生えてるもの)が食べられる、 という情報は、衝撃的なンですよね(笑)。 僕の場合は、 テレビで観て知り得た情報だったと思いますが、 こんな猛暑の最中でなく、しっかり春先でしたので、 「うん、食べられるよ。食べたいの?」 と答えてくれた母親と、 数日後、近所の原っぱへ摘みに出かけ、 佃煮にしてもらって、その日の夜に食べた事を憶えています。 味はというと、 まぁ、可もなく不可もなく・・・、ってところだったでしょうか。 ・・・あ、 べつに、僕の母親は料理が下手だった、って事じゃないですよ(笑)。 つくし料理の味は、 カレーやハンバーグが好きな子供の味覚では充分に堪能出来るものではなかった、っていうだけの話です。 大人になった今は、 ちゃんと良さが解りますので、美味しいと思いますもん、つくし料理・・・。 それに、 その女の子のお母さんは、「美味しくないよ」とそっけなく答えて、 ハイテンションだった女の子の表情を曇らせていましたが、 僕の母親は、 ちゃんと一緒に摘みに出かけてくれて、料理して食べさせてくれたわけですから、 とても感謝していますし、誇りにも思っています。 だって、 “美味しい・美味しくない” は、人それぞれですので、 その食べ物に興味を抱いてる子供に 親が個人的な嗜好でマイナスな先入観を植え付けるのは、良くない事ですからね。 僕に、“可もなく不可もなく・・・” っていう、 子供の頃の自分の舌で感じたつくしの味の記憶がある事は、とても幸せな事だと思うのです。 そういえば、 『ウルトラセブン』第32話「散歩する惑星」の撮影の際、 ロケ現場の草原に生えていたつくしを、 アンヌ隊員こと菱見百合子(現:ひし美ゆり子)さんが大量に摘んで持ち帰り、 調理して、翌日、スタッフや共演者に振舞ったとか。 羨ましい話です。 僕も食べたいな、アンヌ隊員が作ったつくし料理・・・。 そんなの、 めちゃくちゃ美味しいに決まってるから、 “可もなく不可もなく・・・” なんて事には、絶対になりませんから(笑)。 |
・・・というわけで、 今回は、 その、アンヌ隊員がロケの合間につくしを摘んだ回・『ウルトラセブン』第32話「散歩する惑星」に登場した、 リッガーのソフビを紹介します。
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キングザウルスシリーズは、 別名 “足型シリーズ” と呼ばれた、すべての怪獣人形の足裏に足型のモールドが施されているソフビなのですが、 このリッガー人形、 三本指なのに足型は4本指。 ・・・どういう事?(笑) |
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実物のリッガーの足の指は4本ですので、 足型の方が正しい、といえば正しいンですが、 実物のリッガーの足裏には、こんな足型なんてありませんので、考えるだけ無駄な話です(笑)。 まぁ、昭和のデフォルメ造形ゆえの “緩さ” という事で・・・。 |
・・・そうそう、“緩さ” って事で言うと、 この、強引に上に向けた上あごも、なかなか “ご愛敬” です。 “咆哮している迫力” を出そうとしたンでしょうけど、 そのせいで、 実物とは全く異なる印象の顔になっちゃってますし、 そもそも、 こんな上あご、不自然過ぎて、生き物に見えませんからね。 ただ、 実物のリッガーが、 “メカニズム怪獣” という、怪獣なのかロボットなのかよく判らない謎のキャラクターゆえ、 このソフビは、 実物にあまり似ていないデフォルメ造形でありながら、 実物の持つ、その正体不明な魅力を、奇跡的に、リアルに伝えている事になります(笑)。 |
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・・・さて、 結局、今日のつまみは、“つくね”にしました(笑)。 あと、 つくしの佃煮に見立てて “ぜんまいの旨煮” も・・・(全然違うものだけど、なんとなく(笑))。 今、この原稿を書きながら一杯やってるところですが、 その昔、息子たちが保育園に通っていた頃、 お遊戯会を観に行ったら、 長男が、 ♪つくしが出たよ もう春だぁ~ って歌っていたのを思い出しました。 舞台上から客席の僕と妻を見つけて、嬉しそうに微笑んだ後、 頑張ってるところを見せようと、大きく口を開けて一生懸命歌っていた姿が、とても愛しく感じられたものです。 懐かしいなぁ・・・。 そんな長男も、 今では所帯持ち・・・。 月日は流れたものです(しみじみ)。 それにしても、 母親の事、リッガー(アンヌ隊員)の事、更には息子たちの事・・・、 つくしひとつで、 我ながら、よくまぁ、いろんな事を思い出して楽しめるものです。 春(つくしの季節)でもないのにね。 怪獣とオモチャの事ばかり考えてる僕の頭の中は、年中春、って事なのかな?(笑) |