真水稔生の『ソフビ大好き!』


第180回 「松本さん」  2019.1

先日、『ワイドナショー』を観ていたら、
ZOZOの前澤社長がツイッター上で実施した、
御自身のアカウントをフォローしてリツイートした人の中から
抽選で100名に現金100万円(総額1億円)をプレゼントする、
という “お年玉企画” に対して、
ダウンタウンの松本さんが、

 「(同じお金持ちでも)こういう事を僕はやらない」

とコメントされていました。
理由は、

 「オカンに怒られそうな気がするから・・・。
  “お金で遊ぶな” という躾を受けてきたので・・・」

との事。

・・・泣きそうになりました。

 僕はやっぱりこの人が好きだなぁ・・・、

って、しみじみ思いましたね。

以前も述べましたが、
昔(僕が大学生の頃ですから、今から30年以上前)、
ダウンタウンさんの “クイズネタ” の漫才をテレビで観て、
内臓が口から飛び出る気がするほど笑い倒して以来、
僕は、
松本さんを “笑いの天才” だと思ってずっと尊敬しているのですが、
ただおもしろいから好きなのではなく、
なんでしょう、
“肌に合う” というか、“心地良い” というか、
生理的にも惹かれるンですよね、
松本さんの表現するものや発信するものには。

今回の、この、
前澤社長の “お年玉企画”、
べつに悪い事ではないと思うのですが、
なんとなく嫌悪感のようなものを僕は抱いていて、
ただ、
それが何故なのか自分でも巧く説明出来ず、
そんな状態で否定的な意見を言って “貧乏人の僻み” と思われるのも癪なので、 
周りの友人・知人たちが話題にしていても
あえてその輪の中へ入っていきませんでした。

そんな僕ですので、

 「否定はしないけど、ちょっと引いたかな」

で、まとめた松本さんのこの見解・発言が、胸に沁みたわけです。

どうして自分が嫌悪感のようなものを抱いていたか、が、

 あぁ、そうか、そういう事だったのか・・・、

と解かってスッキリしたのと同時に、
母の教えを大切にしている松本さんの人間性も伺えて、感銘を受けたのです。
テレビに向かって独り、

 「さすが、松ちゃん!」

と声を発してしまいました。

どうせお金持ちから100万円のお年玉をもらうなら、
前澤社長からではなく、
松本さんから、
僕はもらいたいですね(笑)。

・・・あ、松本さんはそんな事やらないンだった(苦笑)。


ところで、
僕が
ダウンタウンさんの “クイズネタ” の漫才に
内臓が口から飛び出る気がするほど笑い倒した翌年、
大学を卒業して就職すると、
程なく、
我が地元・名古屋のCBCテレビで、ダウンタウンさんの番組が、深夜に始まりました。
お2人が主演のギャグドラマ『ダウンタウン物語』と、
お2人がMCをつとめられるトークバラエティ『DAY BREAK』と『流行笑會』です。

『ダウンタウン物語』は、大阪は毎日放送の制作でしたが、
『DAY BREAK』と『流行笑會』は、なんとCBCテレビ制作(名古屋も捨てたモンじゃない(笑))。

どれもおもしろかったのはもちろんの事、
何より、嬉しかったですね。
当時はまだ、
ダウンタウンさんは今日のような全国区の超有名タレントではありませんでしたので、

 毎週、ダウンタウンをテレビで観られる、

という事が、
ファンとしてはとてもありがたかったのです。

放送の翌日などは、
職場で必ず話題にして、先輩や同期の社員に、

 「あの人たちは絶対に天下を獲る!」

と力説していたものです。

あぁ、懐かしい・・・。


そうそう、
懐かしいといえば、
その頃のCBCテレビの深夜は、個人的にとても熱くて、
大好きなダウンタウンさんの番組だけでなく、
なんと、
『ウルトラQ』と『ウルトラセブン』の再放送
(後に『ウルトラマン』と『帰ってきたウルトラマン』の再放送へと続いていきました)まで
あったのです。

これも以前に述べた事ですが、
このウルトラシリーズの再放送によって少年時代の夢が復活し、
それが僕をソフビコレクターへと導いていきましたので、
今にして思うと、あの再放送は、
人生において実に重要な鍵となるものでした。

 ダウンタウンさんの番組で笑い、
 ウルトラシリーズの再放送で懐かしさに涙しながら胸をときめかす・・・、

あの頃のCBCテレビの深夜は、
夢も目的も無くなんとなく就職して、
不本意ながらつまらない大人になってしまった事に脱力していた僕に、
生きるエネルギーさえ、与えてくれていた気がします。

大袈裟に言っているわけではありません。
本当にそれくらいの充実を感じるものだったのです。
だって、
“ウルトラ” に関して言えば、
再放送だけでなく、
CBCテレビ制作で “ウルトラマン” の特別番組(確か、2時間半の深夜生放送)まで
あったのですから。

思い出してもワクワクしてきます。

その特別番組、
内容は、
懐かしい映像が流れたり、
円谷プロの満田監督がいろんな “こぼれ話” を披露して下さったり、
かと思えば、
バルタン星人と立花理佐さんが
延々とじゃんけんをし続ける(理佐さんが延々とグーで勝ち続ける)という、
シュールかつグダグダで笑える場面があったり・・・、と
とても面白いものだったのですが、
中でも
いちばん強く記憶に残っているのは、
ウルトラマン好きの有名人の方たちが集まって熱く語り合うコーナーがあって、
そこで、
出演者の1人だったつボイノリオさんが、

 「『ウルトラマン』の第1話に、
     松本喜臣さん、っていう名古屋の俳優さんが出てるンですよ」

っておっしゃった事です。

番組の進行的には、

 へぇ、そうなンですかぁ、

って雰囲気でサラッと流されちゃったのですが、
やっぱ、
僕の中に、“俳優” ってワードに引っ掛かるアンテナが立っていたのでしょう、
とても印象的で、今でもしっかり憶えているンです。


・・・で、実は、
事務所の後輩にその松本喜臣さんが代表をつとめる劇団の団員がいまして、
以前、仕事の打ち上げでその後輩と飲んだ際に、

 「松本さん、って『ウルトラマン』の第1話に出てるよね」

って、話した事があるンです。

すると、
それを聞いたその後輩が、

 「うわぁ~、さすが真水さん、よく知ってますねぇ~」

なんて言って、たいそう感心してくれたものですから、

 「ウルトラマンの特番を観てて、偶然知っただけ」

とは正直に言えなくなり、

 「ウルトラマン世代が名古屋で役者やってて、
      それを知らないなんて、許されないだろ?」

なんて言って、
カッコつけてしまいました。
・・・相変わらず、しょうもない見栄を張る悪い癖(苦笑)。


さて、
ダウンタウンの松本人志さんの話から
“松本さんつながり” というわけではないのですが、
名古屋の俳優・松本喜臣さんの話になりましたので、
今回は、
その、大先輩・松本喜臣さんも出演されている『ウルトラマン』第1話に登場した怪獣、
ベムラーをピックアップして、
僕のソフビコレクションを紹介する事にします。 

  ブルマァク製 スタンダードサイズ、全長約21センチ。

昭和40年代半ば、第2次怪獣ブームの最中に発売された商品。
・・・なのですが、
なぜか、当時僕はこの人形をオモチャ屋さんで見かけた記憶が無く、
大人になってソフビのコレクションを始めるまで、その存在を知りませんでした。

新人サラリーマン時代
(・・・そう、
 先述の、ダウンタウンさんの番組やウルトラの再放送・特番を深夜に観ていた頃)、
関東方面に2週間出張に行かされた事があり、
その際、
初日の仕事終わりに
東京の或るアンティークトイショップに立ち寄ってこの人形を見つけ、

 ベムラーの人形、出てたンだぁ!

と感動して購入した事を憶えています。
以降、
名古屋に戻るまでの間、泊まってたビジネスホテルの部屋で、
毎晩、缶ビールを飲みながら、
しみじみ眺めたり、頭部や手足を動かして遊んだりして、独り楽しんでました。
     
           

昭和のソフビですから、
実物のベムラーとそっくり、とまではいきませんが、
やや前方に傾いた頭部や
悪戯っぽく出してる舌など、
ベムラーの特徴を、巧くかつ愉快に捉えた造形だと思います。
   
            それでもって、
体中の棘は尖ってないし、歯も全部四角くて、子供の手に安全。

いつも同じ事を言って、
ホント、申し訳ありませんが、
昭和のソフビは優秀なオモチャです。素晴らしい!  
                                 
                               
         
    こちらは、
同じくブルマァク製で、全長約10センチのミニサイズ。

腹部に塗装が有るタイプと無いタイプが、存在するようです。

向かって右側の、腹部に塗装の有る方、
頭部パーツと胴体パーツのかん着の具合で、
小首を傾げているように見えて、かわいいです。 
       
       
   
 
           ポピー製 キングザウルスシリーズ、全長約14センチ。

           ブルマァクの時代から約10年後、昭和50年代半ばの商品ですね。
           この2体、成形色も塗装色も、ほぼ同じですが、
           目の表現が違うだけで、ずいぶん印象が変わっています。
      たけりたつベムラーの鳴き声が聞こえてきそうな、
この口の開き具合が好きです。 
   
   
  ここからは、
バンダイ製 ウルトラ怪獣コレクション(ウルトラ怪獣シリーズ)。 
 



まずは、
昭和50年代の終わりに発売された初版。
全長約17センチ。












      そして、
      こちらが2期。昭和60年代初めの商品です。
      全長約16センチ。 




 
 
      この『ソフビ大好き!』で
バンダイのウルトラ怪獣コレクションを取上げる際、
初版の人形の方が大きくて迫力がある事をお伝えするため、
いつも紹介する、
恒例の(笑)、サイズ比較写真。 
       
  平成3年、
価格が500円から600円に値上がりした際のリニューアル版。
全長約16センチ。 

                     2体とも同時期の人形なのですが、
                   塗装の仕方(位置や濃さ)が個体によってまちまち(要は、粗雑(笑))なので、
                   異なる時期・異なるヴァージョンの人形同士に思えてしまいます。
     
   

平成7年、
実物そっくりの造形にリニューアル。
全長約18センチ。

・・・めちゃくちゃカッコいい。

     
 

平成12年、
価格が700円に値上がりして、塗装が若干豪華に・・・。
 

こちらは、
平成13年に、
ウルトラマンフェスティバルの会場で限定発売されたヴァージョン。

“ウルトラマン生誕35周年記念 原点回帰セット” という商品名で、
ベムラーとウルトラマン、
そして青い球体と赤い球体が、
すべてクリア成形のソフビでセットになってました。


 
  『ウルトラマン』第1話の冒頭、
竜ヶ森の湖畔でキャンプをしていた若者たちが目撃した、空飛ぶ球体。
青い方はベムラーの飛行形態で、
赤い方はウルトラマンが乗ってる宇宙船でした。
あの美しい2つの球体に、
以降半世紀以上にわたって愛され続ける “夢” が、詰まっていたわけです。
ゆえに、
この玩具化は、なんとも嬉しかったですね。


ちなみに、
キャンプをしていた若者たちの中の、
ウクレレを弾きながら『星に祈りを』を歌っていたのが、松本喜臣さんです。
     
 

平成19年には、つや消し成形にリニューアル。
   
  子供のオモチャに
ここまでの精巧なつくりが追求された “平成” という時代も、
もう終わってしまうンですね。
新しい時代のソフビは、これからどう変化していくのでしょうか・・・。





・・・あ、そうだ。
平成のソフビを紹介する上で、ミニサイズ人形も忘れてはいけませんね。
もちろん、
チープでかわいい昭和のミニサイズ人形と違って、
カッコいいリアル造形です。
    向かって左側が、
ウルトラマンソフビ道、全長約9センチ。
平成13年の発売。

右側が、
プレイヒーロー、全長約10センチ。
平成19年の発売。

どちらもバンダイ製で、食玩、つまり “お菓子のおまけ” です。 
   
  このようなリアル造形のベムラー人形を見て改めて思うのは、

 なんでこれが宇宙怪獣(地球以外の星からやってきた生き物)なのか?

って事です。
見るからにトカゲやイグアナの仲間(爬虫類)、
って感じだし、
腕がティラノサウルスみたく細くて短いし、
地球の生き物、それも恐竜・古代生物の生き残り、って設定にした方が
しっくり来る気がするンですけどね。

まぁ、
この怪獣を追ってウルトラマンが地球にやってくる筋書き上、
宇宙怪獣じゃないとマズいでしょうから、
それならば、
バルタン星人やゼットンのように、
明らかに地球の生き物ではない事が一目で解かるような、
ぶっ飛んだ姿をしていないと・・・。

それが証拠に、
その圧倒的なインパクトを誇る姿形をしたバルタン星人が
続く第2話に登場したせいで
ベムラーの存在感、かすんでしまってますからね。
栄えある、
『ウルトラマン』第1話の怪獣でありながら、一般的知名度がビミョーに低いのです。
『仮面ライダー』の、同じ第1話の敵・蜘蛛男は、
いちばん最初の怪人という事で、あんなにも有名で人気があるのに・・・。

まぁ、でも、
そのビミョーに低い知名度や地味な存在感が、
通好みのする “シブさ” に繋がり、
怪獣が三度の飯より好きな僕らの心をくすぐる、ベムラーの魅力にもなってますけどね。

そして、
これは僕の超個人的な理由ですが、
名古屋の役者の大先輩・松本喜臣さんが若き日に遭遇した怪獣である、
っていうのも、
ベムラーの、加えて大きな魅力のひとつです(笑)。
 
 



【追記】

今回、筆を取ったのは、
ダウンタウンの松本さんの、
『ワイドナショー』における、
前澤社長の “お年玉企画” に対するコメントが僕の心に響いたからですが、
ネット上では、
そのコメントよりも、
同じ回の別の話題の際に松本さんが指原莉乃さんに向けた、

 「お得意の体を使って・・・」

って発言の方が、
話題(っていうか問題)になってました(笑)。

やれ失礼だ、やれセクハラだ、と
いわゆる “炎上” 状態にまで発展していましたが、
それを、

 「松本さんが干されますように」

の一言のツイートで、
いとも簡単に丸く収めてしまった指原さんは、とても素敵だと思いましたね。

ってか、
指原さんがそういう “返し” が出来る、レベルの高いタレントだからこそ、
松本さんは指原さんをイジったわけで、
なんでそんな事が解からないンですかね、松本さん叩きをしている人たちは。

カメラの回っていないところで
松本さんが指原さんにあんな事を言ったというのなら話は別ですが、
あれは、TVショーです。
バラエティ番組におけるプロとプロのやりとりです。
それ以外の何物でもありません。

なので、
今回の “炎上” 騒ぎ、
僕には、
松本さんの事を嫌いな人が、
自身の単なる “好み” を勝手に “正義” にすり替えて
難癖つけてるだけのようにしか、思えませんね。
みっともないンですよ、そういうの。

番組を観ていたわけでもないのに
ネット上にあがった部分的な動画だけを見て、
勝手な思い込みで無作法・無責任に松本さんや番組を批判した、
あの、
勘違いも甚だしい元アナウンサーの女性の、
恥知らずな事この上ない、ハナクソみたいなツイートが、その顕著な例。

憂さ晴らしか、目立ちたいのか、はたまた、本当のバカなのか、
何なのかよく解かりませんが、
吐き気がするほど愚かな言動です。

それに迷惑。
やめてほしいです、ホント。
だって、
松本さんが、
それで番組を降ろされる事は無くても、
ゴチャゴチャ言われるのが煩わしくなって、

 「もう、やっとれんわ!」

って言って自ら番組を降りてしまう可能性はありますからね。
現に、
次の週の『ワイドナショー』では、
この騒動を受けて、

 「今日をもって無口なコメンテーターになろうかな」

とか

 「今度、指原が番組に来る時は、俺は休む」

とか、
冗談交じりにおっしゃってましたから。
ちょっと心配です。

松本さんが降りて、
『ダウンタウンのごっつええ感じ』みたいに
『ワイドナショー』が終わってしまったら、どうしてくれるンだ!? って話です。

松本さんへのリスペクトも無く、
“笑い” を理解する器量も無いゆえバラエティ番組にも興味が無く、
松本さんが出演される番組を普段から観ないような人たちと違って、
こっちは、
松本さんが好きで、
『ワイドナショー』だって毎週楽しみに観ているのですから。

困りますもん、嫌ですもん、
松本さんをテレビで観られなくなったら。

30年前と違い、
もう、CBCテレビだって、
ダウンタウンさんの番組は作ってくれないだろうし・・・(笑)。

人間であるがゆえ、
当然、好き嫌いはありますから、
松本さんの事を嫌いでも、それは仕方の無い事ですが、
だからといって
場外から変な横槍を入れるような事は、しないでほしいものです。

フジテレビの宮内社長が
定例社長会見で今回の騒動に触れ、

 「視聴者の受け止め方は多様化しているので、
  時代の流れに敏感でなければ・・・」

って語ったそうですが、
放送を観ないで、
ネット上にあがった部分的な動画だけを見て難癖つけてる人たちは、
そもそも番組の視聴者ではないのですから、
受け止め方もヘッタクレもないと思うンですけどねぇ・・・。

平成が終わって今年から新しい元号に変わりますが、
松本さんを否定する人たちが闊歩するような時代になる、というのなら、
終わってしまった平成の時代を、
『ウルトラマン』があった昭和の時代よりも、僕は恋しく想うでしょう。


・・・でも、まぁ、
来ないと思いますけどね、そんな時代は。
だって、
あの凄い才能は、好きとか嫌いとかで左右される次元のものではありませんから。

松本さんを嫌いな人、ざまぁみろ、です(笑)。






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